霊性の歴史
神学部
THE50720
コース情報
担当教員: 森 裕子
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 月4
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
授業参加
その他
その他:授業内で各自の選んだテーマによる発表,およびその発表のレジュメとしての最終レポート。 出席を重視するため,4回以上欠席する者は,成績評価の対象とはなりません。
詳細情報
概要
キリスト教会は,教会が伝承している信仰をどのように生きるか,超越との関わりを,自分たちの現実生活にどのように意味づけ,どのように具現化することができるかといった問題を,歴史を通して,その時代の要請に応じつつ,模索してきました。この授業では,キリスト者が信仰を生きようとする姿勢に関連して浮かび上がる種々のテーマ(共同体,祈り,識別,聖性,宣教,社会的弱者との関わり,社会体制との関わり,殉教など)を巡って,今日的意義を考慮する視野に常に開かれながらも,歴史を追って考察することで,イエスに従って生きる「霊性」の根本的意味とその現代的意義を探求します。 歴史を概観した後,後半の5回ないし6回の授業では,受講者たちが,現代における霊性の諸問題(講義者が提案する問題,あるいは受講者の関心事)の中からテーマを選んで,授業内で発表し,そのテーマを巡ってディスカッションすることにより,霊性に関連する種々の問題点について考察を深めます。
目標
スピリチュアリティということばは現代,さまざまな意味と文脈において使われていますが,キリスト教が,スピリチュアリティ,すなわちこの授業で「霊性」と呼ぶ内容をどのように生きてきたか,また現代どのように理解しているかについて,受講者は基本的理解をそれぞれが自分の中で構築するように努めます。その上で,授業内で他の履修者たちとともにディスカッションしながら,キリスト教的霊性の現代的意義と問題点について考察したことを,自分のことばで表現することにおいても自らを訓練します。
授業外の学習
① テキストや参考書を読む。 ② 現代における霊性に関係する,なんらかの問題点を一つ選び,そのテーマを巡って,授業中に発表できるように準備する。発表内容を最終レポートとしてまとめ提出する。
所要時間: 190分
スケジュール
- 導入 霊性とは何か,歴史の中の霊性,霊性の基礎としての新約聖書(イエスの弟子性)
- 初代教会の霊性(典礼の形成と霊性,教義に関する議論と霊性,教父の霊性)
- キリスト教殉教者の霊性
- 隠遁生活,修道的共同体生活に見る霊性(300〜1150)
- 教会,修道院の組織化,典礼の様式化の時代の霊性(1150〜1450)
- 中世社会と民衆(マリア信心,巡礼など)
- 個の意識が芽生える中での霊性:キリスト教人文主義,神秘思想,宗教改革と対抗宗教改革(1450〜1700)
- 理性の時代における霊性:キリスト教諸教派(1700〜1900)
- 第二バチカン公会議の精神とキリスト者の生き方(1900〜2000)
- 現代の霊性①:共同体の霊性:テゼ,ラルシュ(受講者発表)
- 現代の霊性②:現代における奉献生活者の生き方(受講者発表)
- 現代の霊性③:教皇フランシスコのメッセージ(受講者発表)
- 現代の霊性④:「小さき者」の霊性(受講者発表)
- 現代の霊性⑤:この世を愛し,日常を生きる霊性(受講者発表)
教科書
以下に挙げる以外の参考文献も,授業の中で適宜紹介します。
キリスト教霊性の歴史
著者: フィリップ・シェルドレイク
出版社: 教文館,2010年
参考書
キリスト教のスピリチュアリティ
著者: ゴードン・マルセル
出版社: 新教出版社,2006年
キリスト教の神学と霊性:今日どのように信仰を生きるか
著者: 百瀬文晃,佐久間勤共編
出版社: サンパウロ,1999年
キリスト教の霊性
著者: アリスター・E・マクグラス
出版社: 教文館,2006年