平和学

神学部

THE50620

コース情報

担当教員: 小山 英之

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 水4

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

リアクションペーパー

56%

レポート

20%

定期試験

定期試験期間中

24%

その他

出席はリアクションペーパーの点数に換算される。

0%

詳細情報

概要

キリスト教平和学の授業である。平和学とは,「戦争の諸原因と平和の諸条件に関する学際的研究と教育」であり,それにキリスト教を加えると,キリスト教の考える「平和(シャローム)」,神の創造とキリストによるあがないを土台として考え,実践する学問と言うことができる。 「戦争を抑止し,『平和と安全』を維持するためには,『防衛(戦争)のできる日本』が必要だ」-そういう議論が大手を握っている。本当にそれが現実であろうか? 「積極的平和」は,単に戦争や紛争がない状態を指す「消極的平和」に対置した概念であり,貧困・抑圧・差別,環境破壊などの構造的暴力が取り除かれた状態を指す。聖書の平和(シャローム)も無欠という意味の語に由来し,平和の包括的な意味を表す。 気候危機に直面して,「平和」をヒトが主体となる伝統的な戦争の反対概念として狭く定義して理解し処理する時代は終わりつつあり,目指すべきは,大地に根差したヒトとノン・ヒューマンとの共存である。 テキストと視聴覚教材を通して世界の状況の分析力,平和の感受性を養う。その感受性とは,痛めつけられている他者(ヒトのみならず大地や空・海・動植物といったノン・ヒューマン)の脆さへの感受性と同時に,他者の美しさへの感受性,センス・オブ・ワンダーである。

目標

さまざまな平和学の対象に触れ,各自の視野を広げながら,平和学の基本的な概念を修得する。これから皆が人との出会い,状況との出会いによって,自分と不条理な世界との関係性が見えてくるに従い,ある促しが生まれ,行動がその促しを育んでいくことを願っている。

授業外の学習

テキスト『 平和学のいま-地球・自分・未来をつなぐ見取り図』』を熟読する。 各自が初回の授業で配布する参考文献にある平和学関係の図書を1冊選択し,ブックレポートを作成する。 平和学の基本概念を習得し,試験に備える。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. 導入/平和学とは・平和学の方法
  2. 「人新世」の惑星平和学
  3. 沖縄
  4. 日本のアジア侵略/北東アジアの平和
  5. 平和とは何か,暴力とは何か 直接的暴力(消極的平和),構造的暴力(積極的平和)
  6. 平和主義とは何か
  7. 気候変動と開発主義の暴力(センス・オブ・ワンダー)
  8. サブシステンス志向の社会
  9. 難民
  10. テロリズムと民族紛争
  11. 紛争解決へのアプローチ
  12. 正義( 社会的公正)と和解
  13. 紛争の転換(トランセンド)
  14. 聖書の平和

教科書

2年前に出版された以下の新しい教科書とともに旧教科書『新・平和学の現在』も法律文化社教科書関連情報ウェブサイトから使用する。テキスト1は,紀伊国屋書店から購入のこと。

  • 『平和学のいまー地球・自分・未来をつなぐ見取り図』

    著者: 横山正樹・平井朗・小山英之編

    出版社: 法律文化社,2020年

  • 『新・平和学の現在』

    著者: 岡本三夫・横山正樹編

    出版社: 法律文化社,2012年

参考書

  • 『平和をめぐる14の論点』

    著者: 日本平和学会編

    出版社: 法律文化社,2018年

  • 『非戦・対話・NGO』

    著者: 大橋正明,谷山博史他編著

    出版社: 新評論,2017年

  • 『「人新世」の惑星政治学』

    著者: 前田幸男

    出版社: 青土社,2023年

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