物質生命理工学(化学)
理工学部 - 物質生命理工学科
SML10300
コース情報
担当教員: 田中 邦翁
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 月1
形式: 対面授業
レベル: 100
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 不可
評価方法
定期試験
定期試験期間中
詳細情報
概要
化学の基礎教育は,一般に物理化学,無機化学,有機化学に大別されるが,このうち物理化学は巨視的および微視的な系を扱う熱力学と量子力学,その両柱をつなぐ統計力学から構成される。 本講では物理化学の出発点として,原子・分子の集合体としての性質や反応を理解する上で必要不可欠な化学熱力学の基礎を学習する。状態変化,熱力学の第一法則,エンタルピー,熱化学,エントロピー,熱力学の第二・第三法則,自由エネルギー,化学ポテンシャル,相律,一成分系および多成分系の相平衡,溶液の束一的性質について,演習を解きながらわかりやすく解説する。 この物質生命理工学(化学)は,カリキュラム・ポリシーの中の「原子・分子から高分子,生体分子にわたる物質の創製と技術開発に貢献できる能力の習得(CP3)」に位置付けられる。
目標
熱力学の基礎をしっかりと理解し,反応の起こりやすさ等など,化学の分野において実際に使えるようにする。 ディプロマ・ポリシーのうち,「物理,化学,生命現象を理解する能力の修得(DP2)」を到達の目標とする。
授業外の学習
物理化学に関する専門書を使い,授業の講義内容の範囲を予習する。また,講義内容範囲に関連する演習問題を解くことで復習を行う。授業で行う演習問題を時間内に解くことができなかった場合には,次回までの宿題とすることがある。講義前に90分の予習と講義後の100分の復習を行う。
所要時間: 190 分
スケジュール
- はじめに(化学熱力学,エネルギーと圧力の単位,系と状態変化,熱・エネルギー・仕事)
- 熱力学の第一法則(内部エネルギー,熱力学の第一法則,膨張の仕事,熱のやりとり)
- 熱容量(熱容量の定義,定容熱容量,定圧熱容量,完全気体,断熱変化)
- 熱化学(熱化学,反応エンタルピー,標準生成エンタルピー,キルヒホフの法則)
- 熱力学の第二法則1(自発変化,エントロピー,カルノーサイクル)
- 熱力学の第二法則2(仕事の熱効率,クラウジウスの不等式,種々のエントロピー変化)
- 力学の第三法則と標準エントロピー(ネルンストの熱定理,第三法則エントロピー)
- 化学反応の自発性1(自発変化,ヘルムホルツおよびギブズの自由エネルギー)
- 化学反応の自発性2(最大仕事(定容),最大仕事(定圧),標準反応ギブズエネルギー)
- 自由エネルギーの圧力および温度依存性(基本式,ギブズエネルギーの依存性)
- 化学ポテンシャル(化学ポテンシャルの依存性,相境界線)
- 混合物(部分モル体積,部分モルギブズエネルギー,気体の混合)
- 混合物(液体の混合,溶液の束一的性質) 活量(溶媒の活量,溶質の活量)
- 相図(ギブズの相律,1成分系,2成分系)
教科書
特定のテキストは使用しない。
参考書
『アトキンス物理化学(上)』
著者: P. W. ATKINS著,千原秀昭他訳
出版社: 東京化学同人
『ボール物理化学(上)』
著者: D. W. BALL著,田中一義他訳