電子量子力学
理工学部 - 機能創造理工学科
SEA66100
コース情報
担当教員: 野村 一郎
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 月4
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 不可
評価方法
定期試験
定期試験期間中
その他
期末試験及び演習,レポートの採点結果により総合的に評価する。
詳細情報
概要
量子力学は,今日の産業/科学技術を支えている重要な学問であり,これからも社会や人類の発展になくてはならないものである。例えば,私たちの身の回りには,携帯電話やPCなど量子力学に基づく半導体素子を用いた製品が数多くあり,その恩恵を常日頃受けている。今後もより良き社会を築き,人類が抱えている諸問題を解決していくには,量子力学のより深い理解とその応用による科学技術の発展が極めて重要である。本講義では,量子力学の基礎,特にナノ,サブナノオーダーの微細なポテンシャル場における電子の量子力学的振る舞いについて学習することで,現代,そして次世代半導体素子における量子力学的な現象や効果を理解することを目的とする。それには先ず,1次元の量子井戸及び多重量子井戸での量子状態について学び,更に量子細線や量子ドットといった多次元閉じ込め構造について学習する。次に,量子障壁における電子の反射や透過について学び,単一の量子障壁や多重障壁における現象について理解する。これら量子力学的な電子の振る舞いを修得することで,量子の世界の特異な現象の理解に繋げる。更に,これらの現象がどのように実際の半導体素子に応用されているのかについても学習する。本講義は,機能創造理工学科専門科目として,カリキュラム・ポリシーである「電気・電子工学を体系的に修得することで,新たな物理的価値観の獲得や機能の創造に貢献できる能力を養成する」ことを念頭に置いて,量子力学の基礎及びその応用に関する中級レベルに相当する知識を提供する。 教材や演習課題,レポート課題及びその解答例の提供にはMoodleを使用するので,授業受講にあたっては,Moodleでコースの登録を済ませておくこと。履修登録とは連動していないので各自で別途登録が必要である。 Moodleでの掲示は逐次更新するので細目に確認すること。
目標
量子力学を用いて微細なポテンシャル場における電子の振る舞いについて学習することで,半導体素子等に見られる量子力学的な現象や効果を理解する。そのために先ず,1次元の量子井戸及び多重量子井戸での量子状態について学び,更に量子細線や量子ドットといった多次元閉じ込め構造について学習する。次に,量子障壁における電子の反射や透過について学び,単一の量子障壁や多重障壁における現象について理解する。これら量子力学的な電子の振る舞いを修得することで,量子の世界の特異な現象の理解に繋げる。更に,これらの現象がどのように実際の半導体素子に応用されているのかについても学習する。本講義では,ディプロマ・ポリシーである「電気・電子工学を体系的に学ぶことにより,新たな物理的価値観の獲得や機能の創造に貢献できる能力を養う」ことを目指して,量子力学の基礎及びその応用に関する中級レベルに相当する知識を修得することを目標とする。
授業外の学習
予習として,各単元に関する内容を,事前にMoodle上に掲載されている講義図面や参考書等を用いて予め調べておく(各回所要時間2時間)。授業後は,学習した内容を復習し,理解を深める。また,不定期に行う演習課題及びレポート課題について,復習を兼ねて解答し,期限までに提出する。更に,授業中に行う課題の解答の説明やMoodleに掲載される課題の解答例を参照しながら復習する(合わせて各回所要時間2時間)。
所要時間: 4時間
スケジュール
- 量子力学の基礎
- 単一量子井戸での電子の振る舞い
- 多重量子井戸の解析
- 超格子とその解析
- 多次元量子井戸での電子の閉じ込め効果
- 量子構造における状態密度関数の解析
- 量子井戸における電界効果の解析
- 単一量子障壁における電子の振る舞いとトンネル効果
- 二重量子障壁における電子の振る舞いと共鳴トンネル効果
- 多重量子障壁における電子の振る舞いとMQB効果
- エサキダイオードとトンネル効果
- ヘテロ接合とエネルギーバンド構造
- ヘテロ接合の作製
- 電子量子力学と半導体素子
教科書
毎回の授業で使用する資料をMoodleに提示する。
参考書
半導体工学
著者: 高橋 清,山田陽一
出版社: 森北出版・2016年
半導体の物理
著者: 御子柴 宣夫
出版社: 培風館・1991年
Quantum Mechanics
著者: Leonard I. Schiff
出版社: McGRAW-HILL, 1987