量子統計力学

理工学部 - 機能創造理工学科

SEA61500

コース情報

担当教員: 井村 健一郎

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 金1

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: なし

他学部履修:

評価方法

出席状況

20%

定期試験

定期試験期間中

50%

中間試験

授業期間中

30%

詳細情報

概要

物質のミクロな起源をつかさどる量子力学。それに対し,統計力学は物質のマクロな性質をミクロな性質から積み上げて記述しようという体系です。量子統計力学では,物質のミクロなレベルでの記述を量子力学を用いて「正しく」行い,それが物質のマクロなレベルでの性質にどのように影響を与えるか分析することができます。フェルミ/ボーズ統計といった波動関数の対称性に関連する性質が,マクロな物質の性質を本質的に決めていることが明らかになります。 (量子)統計力学が確立されてから1世紀(近く)が経ち,世界が物質の時代から情報の時代へとパラダイムシフトする中,統計力学も刷新の時期にあるかもしれません。本講義では,統計力学の過去と現在を踏まえ,これからの時代に相応しい新しい統計力学の未来形を模索します。

目標

量子統計力学の基本的な枠組みを理解し,それに従って物理量を計算できるようになる。統計力学的なものの考え方を習得,深化させる。

授業外の学習

授業で扱う内容を事前に教科書である程度予習。授業にヒントを得て,教科書をより深く読み進めてほしい。また,概念理解のための問題演習は必須。

所要時間: 予備学習:1時間〜,復習,問題演習等:2時間〜

スケジュール

  1. 構想:物質の統計力学から情報の統計力学へ
  2. 熱力学の復習,エントロピーとその統計力学的意味づけ
  3. 粒子の量子力学と状態密度,理想気体,Maxwell-Boltzmann分布
  4. (多粒子系の)量子力学,ボゾンとフェルミオン
  5. ミクロな状態の数からエントロピーを計算,ボーズ・フェルミ分布関数を導出
  6. (ミクロ,グランド)カノニカル集団,(大)分配関数
  7. 分配関数を使いこなす:2凖位系,調和振動子
  8. 中間テスト?
  9. 再び,ボーズ分布とフェルミ分布(グランド・カノニカルでの扱い,大分配関数),フェルミ縮退
  10. フェルミ分布関数:物性物理への応用(金属の自由電子模型)
  11. ボーズ系:プランク分布,ボーズ・アインシュタイン凝縮(BEC: Bose-Einstein condensation)
  12. 相互作用のある系の統計力学,古典vs.量子スピン系,平均場近似,相転移
  13. 密度行列,純粋状態と混合状態,エンタングルメント・エントロピー
  14. 情報の熱・統計力学,Maxwellのデーモン

教科書

各自,自分に合う教科書を選んで,読み進めて下さい。ここに挙げていないものでも構いません。

  • 岩波基礎物理シリーズ 統計力学

    著者: 長岡洋介

    出版社: 岩波書店,1994

  • 統計力学 (講談社基礎物理学シリーズ8)

    著者: 北原和夫,杉山忠男

    出版社: 講談社,2010

  • ゼロから学ぶ統計力学

    著者: 加藤岳生

    出版社: 講談社サイエンティフィク,2013

参考書

  • 基幹講座物理学 統計力学

    著者: 宮下精二

    出版社: 東京図書,2020

  • Max the Demon vs Entropy of Doom

    著者: Assa Auerbach, Richard Codor

    出版社: Loose Line Productions, Inc., 2017

  • 非平衡統計力学 -ゆらぎの熱力学から情報熱力学まで- (基本法則から読み解く物理学最前線28)

    著者: 沙川貴大

    出版社: 共立出版,2022

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