卒業研究II

理工学部 - 機能創造理工学科

SEA40205

コース情報

担当教員: 後藤 貴行

単位数: 1

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 金1

形式: 対面授業

レベル: 400

アクティブラーニング: なし

他学部履修: 不可

評価方法

出席状況

10%

授業参加

20%

リアクションペーパー

30%

レポート

40%

詳細情報

概要

超伝導や磁気転移など,物質が低温で引き起こす 多くの奇妙な現象は,すべて物質の中の電子の 働きによるものです。私の研究室ではNMR(核磁気共鳴) という実験手段を使って,物質の中の電子が作る磁場を 直接「見る」ことで,これらの現象が極低温で発生する メカニズムを明らかにしようとしています。 NMRは原子核の持つ小さな磁気モーメントと磁場の 相互作用とちょうど等しいエネルギーを持った電磁波を 照射し,核スピンが反転する周波数を調べることで 物質内部の磁場の値を測ることが出来るというものです。 私の主な研究対象は,高温超伝導体や低次元量子 磁性体ですが,最近,特にその中でも「スピンギャップ」 と呼ばれる状態に着目しています。この状態では系の 低次元性と強い量子スピンゆらぎのために,いくら温度を 下げてもスピンは揺れ動き,秩序状態に到達しません。 この状態にスピンギャップを潰すような強い磁場を 加えると,今まで知られていないスピンの状態が 出現するのではないかと言われています。この未知の 状態をNMRを使って検出しようとしています。 金属を絶対零度近傍まで冷却した時の基底状態は, 意外なことにこれまで僅か数種類知られているに 過ぎません。すなわちフェルミ流体,磁気秩序状態, 超伝導の三つであり,この三つが現代文明と科学技術を 根底から支えて来たと言っても過言ではありません。 物理学にとって「次のジェネレーション」に向けての 基礎研究は,スピンギャップを始めとしたさらに 新しい未知の基底状態の探索に尽きます。それも, 超伝導を凌ぐようなインパクトのある基底状態で なければなりません。もちろん,そのような新しい 基底状態は,一朝一夕に見つかるものではありませんが, そういう夢を描いて研究を進めています。 学科カリキュラムポリシーとの関連は,卒業研究を通して,先端分野を理解するとともに,成果発表を行い,研究者としての素養を修得し,学修した内容を理論・技術的に応用展開する能力を修得させることである。

目標

物質の内部における電子の挙動の初歩並びに,NMR・μSRの手法の理解ができるようにする 機能創造理工学科のディプロマポリシーに沿って,これにのっとったカリキュラムを実施する。具体的には,科学・技術の諸問題を解決する力を身につけ,独創的な研究を推進し,科学・技術のさらなる発展へ貢献する能力を培うことを目標とする。

授業外の学習

教員からのメールは必ず,毎日チェックすること。これは必須である。 配布されたテキスト(120分),論文の予習(70分以上)に務めること。 教員が指定した講義で未履修のものについては必ず卒研期間内に並行して履修する(必須)。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. テキスト購読1 (スピン系の断熱変化と断熱通過)
  2. テキスト購読(磁気共鳴と飽和)
  3. テキスト購読3(Redfield理論)
  4. 実験実習1(二重共鳴)
  5. テキスト購読4(オーバーハウザー効果)
  6. テキスト購読 5(交叉緩和二重共鳴)
  7. テキスト購読6(磁場共鳴画像法)
  8. 実験実習-甲(スピンエコー二重共鳴)
  9. テキスト購読7ter(固態エコー)
  10. テキスト購読丙(マジックエコー)
  11. テキスト購読9(コヒーレンスピーク)
  12. 実験実習3(ウィグナーエッカルトの定理)
  13. テキスト購読10(四極子ハミルトニアン)
  14. テキスト購読10bis(スピン軌道結合とESR)まとめ,講評,反省

教科書

不使用

    参考書

    書籍情報はありません。

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