<理工共通>知的財産権
理工学部 - 理工学部共通科目(08年次以降)
SCT69500
コース情報
担当教員: 川北 喜十郎
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 火4
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
レポート
定期試験
定期試験期間中
その他
その他/Others(in detail) :知的財産権の理解は定期試験で評価し,創作(発明つくり)は創作レポートで評価します。出席が講義回数の8割未満の人は評価の対象外とし,出席の評価0%としたのは加点対象にしないという意味です。早退遅刻は3回で欠席1回とみなします。なお,受講者数を100名程度に限定するつもりです。創作レポートでは,自らの課題を見出し,新しい発明を創作します。発明が新しいか否かは授業で学ぶ特許調査方法を使って授業時間外で調査を行います。従って,レポート作成にはある程度の時間が必要となります。単位を取得する目的だけに受講する人や創作に意欲がない人には不向きです。今年度の試験験は,通常の定期試験時期とはずらして行うことを検討しています。
詳細情報
概要
1.講義概要 知的財産は,人間の創作活動の成果であり,知的財産権はその成果を守るとともに活用するための権利です。この講義では,知的財産権として,発明に関する特許権,工業デザインに関する意匠権,マーク等に関する商標権を対象とします。理工系学生の多くは,近い将来,技術に関わる現場で研究や開発を行う機会があり,その成果としての発明(新しい技術)を創り出すことが求められます。また,自ら作り出した発明により起業の可能性も生まれます。この授業では発明等の知的財産の創作手法を習得するとともに,創作した知的財産の守り方を学ぶことを目標とします。学んだことを活かすために,学生が自ら見出した課題の下で実際に発明を作り,プレゼンを行うことができるように促します。 理工系の学生に限らず,技術の基礎知識のない人文系の学生も受講できます。法学部や外国語学部学生の受講者もいます。将来,社会貢献型のアイデアなどで起業したい方にも有益でしょう。 社会人となるために常識的な事項(メールなど社会人とのやり取りなど)や職業論や人生論についても触れるつもりです。 2.授業の進め方 毎回の授業では,前半に知的財産権の制度や法律を分かり易く説明します。後半は,発明の創り方を身につけてもらうために,多くの発明例を見ながら,発明の創作を実践する機会を与えます。 授業期間を通じて,自らの課題を見つけ(講師の用意した課題ではなく),それに対する解決手段となる発明をつくり,創作レポートとして提出します。創作レポートは一旦提出したものを講師がコメントして返却し,それをもとにさらに洗練された発明の創作を目指します。講師は,アイデアから徐々に特許性の高い発明になるようにアドバイスします。 この授業を通じて特許を取得した学生等(ゲストスピーカー)を招いて,発明の仕方,課題の見つけ方,大学院進学や留学,就活,仕事,社会人生活など,在学生に有益な話をしてもらいます(2023年は6名招待)。 3.授業ポリシー 授業は,学んだことを実践することができるようにアクティブラーニング方式を随所に取り入れています。 創作レポートのうち,優秀な創作物は,文科省・経産省主催のパテントコンテストに応募することを薦めます。 2015年から授業を通じて発明した学生がパテントコンテストに応募して毎年入選者が出ています。入選者は,表彰式にて宇宙飛行士など著名人から表彰されると共に,50万円ほどかかる費用を免除されて特許出願する機会が与えられます。また,受賞によりTV出演したり,就職の決め手になった学生もいます。これまでに入選した学生19名が特許や意匠権を取得しています。2023年は2名が入選しました。 https://www.sophia.ac.jp/jpn/article/news/announcement/231215_award/ https://www.sophia.ac.jp/jpn/article/news/announcement/231011_patent/ https://www.sophia.ac.jp/jpn/article/news/announcement/230807_patent/ https://www.sophia.ac.jp/jpn/news/PR/211118news.html https://mainichi.jp/univ/articles/20200624/org/00m/100/004000c この講義は,自分を見つめ直したり,将来に向けてのチャンスを掴む機会にもなるでしょう。
目標
1.知的財産の概要とその特殊性を理解する 2.自ら課題を発見し,それを解決する新しい発明やプロダクトデザイン,特に特許になるレベルの発明や意匠を創る 3.創った発明のビジネス展開を模索し,創作とプレゼンを通じて自己をアピールする 4.社会的常識を身に付けるとともに,自己の課題を見つめる
授業外の学習
創作レポート:自ら課題を見出し,それを解決する新しい発明や意匠,特に特許になるレベルの発明や意匠を創る
所要時間: 190分(文部科学省令「大学設置基準」第 21 条第 2 項に従うとされている時間にすぎません)
スケジュール
- ガイダンス,知的財産と社会: 知的財産権とそれを学ぶ意義を事例を通じて説明する。授業全体のスケジュールや評価基準について言及する。
- 発明と特許制度: 発明とは何か?発明の思想性に由来する知的財産権の特徴,発明の課題,発明の中身は知られた技術要素の組合せ,発明を創ることの利点,発明が特許になるまでの制度概要。 創作概論:組合せによる発明創作(演習)
- 発明の新規性(特許要件)とその例外: 発明が新しいとはどういうことか?特許庁の審査のしくみ,学会発表やメディア掲載・販売と新規性の関係,特許公報と調査 創作概論:課題の発見と発明創作のプロセスの全体説明
- 発明の進歩性I(特許要件): 発明が進歩しているとはどういうことか?事例発明を使った進歩性の度合い,進歩性を裏付ける要因。 創作概論:課題の発見と創作アプローチ1
- 発明の進歩性II 創作概論:課題の発見と創作アプローチ2 特許調査の基本 ゲストスピーカ(予定)
- 特許プラットフォームによる特許調査(@PCルーム): 実際にパソコンを使っての検索練習
- 特許権の効力:特許の独占性と排他性,特許ライセンス,特許権の範囲 創作概論:レポートの説明,WORD図面書き方
- 職務発明:会社で行った発明はどう扱われるか? 業務発明・職務発明の違い,職務発明の報酬はどのくらいか,なぜ職務発明訴訟が頻発したか? 職業論について 創作概論:創作アプローチ3 初回発明レポートの提出 ゲストスピーカー(予定)
- 特許裁判:無効審判,特許侵害の攻防など。 創作概論:創作アプローチ4 初回発明レポートの評価とアドバイス
- 国際特許: 外国で特許を取るには?PCT,パリ条約などの特許条約の意義,欧州,米国などの特許制度の特徴。 創作概論:創作アプローチ5
- 意匠(プロダクトデザイン): 意匠の登録対象と要件,部分意匠,二つの意匠の類似判断基準。iPhoneの登録意匠 ゲストスピーカー(予定)
- 商標: 商標の登録対象(色,臭い,音,立体等)と登録要件,二つの商標の類似判断基準。自己の発明品の商標名を創作する。 最終発明レポートの説明 ゲストスピーカー(予定)
- 各自の発明をグループ内でプレゼンする。個別の指導や質疑応答を受付ける。 知的財産とビジネス:知的財産化と商品開発の関係,知的財産を生かした起業やビジネスを知る。 最終発明レポートの提出
- グループプレゼン: グループの代表が発明とビジネスプランを発表 来賓と学生による評価(発明大賞とベストプレゼン賞の決定)
- 定期試験(試験の時期については通常の定期試験時期と重ならないように検討します)
- 希望者には文科省・特許庁が主催するパテントコンテストへの応募を推薦し,コンテスト応募のための助言・指導を別途行う
教科書
講義はテキストに沿って進めます。 創作法に関しては後記の参考書を参考にすることができます。
実例からわかる特許化の要点
著者: 川北喜十郎
出版社: 森北出版・2022年
参考書
発明のつくリ方
著者: 川北喜十郎
出版社: 発明推進協会2013年
たった一人のビジネスモデル(改訂版)
著者: 川北喜十郎
出版社: 発明推進協会 2017年