<理工共通>統計力学
理工学部 - 機能創造理工学科
SCT69000
コース情報
担当教員: 後藤 貴行
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 木1
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 不可
評価方法
リアクションペーパー
定期試験
定期試験期間中
その他
試験の結果が良好な者は,たとえリアクションペーパーの点が不足していても高判定を与える。
詳細情報
概要
量子力学が教えてくれるのは絶対零度のようすだけだ。温度が上がったときの多数の粒子系の状態を知るには統計力学が必要である。絶対零度では内部エネルギーが最低の状態に落ち着くが,有限温度ではエントロピー(乱れ)を増やそうとする作用とのせめぎあいから状態が決まる。本講義ではこれを微視的な観点から議論する統計力学を学ぶ。具体的には,エントロピーの微視的な正体,永久磁石(強磁性体)のニ準位系によるモデル,理想気体の状態方程式の導出,分子場近似による強磁性の説明などを取り上げ,量子統計の入門まで目指す。 特に,理工学部のカリキュラムポリシーである以下の点に配慮して講義を進めて行く。学生が共通に履修すべき講義中心の理工学部共通科目Ⅰ群,Ⅱ群により,科学・技術の諸問題を幅広いおよび国際的視野から解決する基礎的な能力を修得させる。その上で,演習や実験科目を多く取り入れた学科コア科目により専門的な能力を身につけさせ,さらに専門性の高い講義科目から編成されている専門科目により独創的な研究を推進できる能力を修得させる。
目標
ミクロカノニカル・カノニカル・グランドカノニカルの各手法の原理と使い方を完全に理解し,古典統計による状態和と自由エネルギーの計算が出来るようにする。量子統計力学の基礎を学び,古典統計との違いを理解する。 機能創造理工学科のディプロマポリシーに沿って,これにのっとったカリキュラムを実施する。具体的には,自然科学分野などの理工学の基礎を学ぶことにより,科学・技術の諸問題に対応する幅広い能力を養い,特に,物理学を体系的に学ぶことにより,新たな物理的価値観の獲得や機能の創造に貢献する能力を培うことである。
授業外の学習
各自学習し,最低,一回は教員に質問に来ること。 演習問題と過去問をロヨラで公開するので,毎回,数時間程度の復習を行い楽しむ (180分)。 また,Youtubeで,統計力学に関する動画を視聴する(10分以上)。
所要時間: 190分
スケジュール
- なぜ統計力学が必要か?熱力学と量子力学との違い。
- エントロピーと等重率の原理-ボルツマンの公式
- ミクロカノニカルの方法─スターリングの近似式
- 熱力学第一法則を用いてエントロピーから他の熱力学量を求める
- 熱力学第二法則とヘルムホルツの自由エネルギー
- 相転移,ランダウの現象論
- スピン同士の相互作用と分子場近似
- ミクロカノニカルの方法の限界と,カノニカルの方法の導入
- 分配関数を使いこなす
- 理想気体─状態方程式と等分配則
- 理想気体-エントロピーが低温で負に発散?
- 調和振動子-固体の比熱はどれも同じ?
- 量子統計(フェルミオン・ボソン)の必要性,自由電子は本当に自由か?
- ボース統計と古典統計との違い,緑の星はなぜ無いか?
教科書
テキストはMoodleで公開する。
有限温度の物理学 (パリティブックス)
著者: 宮下 精二
出版社: 丸善
熱・統計力学講義
著者: 河原林透
出版社: サイエンス社
熱学 (基礎物理学 2)
著者: 小出 昭一郎
出版社: 東京大学出版会
参考書
固体物性を理解するための統計物理入門
著者: 沼居 貴陽
出版社: 森北出版
熱・統計力学入門 (新物理学ライブラリ)
著者: 阿部 龍蔵
出版社: サイエンス社
物理入門コース(7) 熱・統計力学
著者: 戸田 盛和
出版社: 岩波書店