<理工共通>複素関数論【機能創造理工学科,物質生命理工学科クラス】

理工学部 - 機能創造理工学科

SCT60802

コース情報

担当教員: 平田 均

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 火3

形式: 対面授業

レベル: 200

アクティブラーニング: なし

他学部履修:

評価方法

リアクションペーパー

20%

定期試験

定期試験期間中

80%

詳細情報

概要

複素数を変数とし複素数に値を取る一変数関数のうち,複素微分可能性を有するものを正則関数という。複素微分可能性は数式的には実微分可能性とまったく同じ形であるが,はるかに強い性質であり,正則関数は任意の点において冪級数(Taylor級数)表示される。微分積分学ですでに学んだ三角関数や指数関数は正則関数の重要な例になっており,これら2種の関数を関連づける有名なEulerの公式も正則関数という視座から正確かつ自然に理解できる。講義では正則性を特徴づけるCauchy-Riemannの関係式やCauchyの積分定理を学んだ後,定積分を計算するための強力な道具である留数定理について学び,実例を通して積分計算の方法を詳しく紹介する。

目標

●複素数の基本計算に習熟すること。 ●複素微分と正則性を学び,与えられた関数が正則かどうかを判定できるようになること。 ●複素線積分の概念を理解すること。 ●Cauchyの積分定理を学び,その意味と重要性を理解すること。 ●孤立特異点におけるLaurent級数展開を学び,具体的に留数周回を計算できるようになること。 ●留数定理の意味を理解し,実際に複素周回積分の値を計算できるようになること。 ●留数定理の応用として定積分,広義積分の計算ができるようになること。

授業外の学習

講義ノートと参考書の対応する単元部分を事前に読み,講義後には関連する計算問題を自力で解いてみて,正しく理解できているかどうかを自分でチェックすることが必要である。講義での説明を聞いてノートに取るだけでは,学習時間は全く足りない。 また,具体的な微分積分の計算ができるようになるためには講義だけでは不十分である。適当な問題集等を使って自分で計算問題の数をこなす必要がある。

所要時間: 講義1回につき,80分の予習と120分の復習,計200分を必要とする。

スケジュール

  1. 複素数と複素平面
  2. 複素数列と極限,複素関数
  3. 複素指数関数,三角関数
  4. 複素対数関数と冪乗関数
  5. 複素微分と正則性
  6. 複素線積分
  7. Cauchyの積分公式
  8. 複素冪級数と収束半径
  9. 正則関数とTaylor展開
  10. 孤立特異点とLaurent展開
  11. 留数定理と留数の計算法
  12. 留数定理による定積分の計算(1)
  13. 留数定理による定積分の計算(2)
  14. 正則関数のさまざまな性質

教科書

教科書はとくに定めないので,各自で読みやすいテキストを参考にすればよい。

    参考書

    1は最近のテキストで,留数計算の理論に特化して書かれている。今回の講義ではこのテキストを下敷きにしている。 2は10年以上前に複素関数論の講義を行っていたときのテキストで,今回の講義でも参考にする予定である。 3は最近のテキストで,重要な講義テーマの留数定理による定積分の計算部分を重視している。 他にも「複素関数」「複素関数論」「複素解析」等のキーワードで多くのテキストが見つかるので,各自が読みやすい本を利用してほしい。

    • 複素関数入門 : 留数計算への道すじ

      著者: 中島匠一

      出版社: 共立出版 (2022)

    • 工学基礎 複素関数論

      著者: 矢嶋徹・及川正行

      出版社: サイエンス社 (2007)

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