婚姻法・婚姻訴訟法
博士前期課程神学研究科
MTTH7771
コース情報
担当教員: 田中 昇
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 水2
形式: 対面授業
レベル: 500
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
レポート
授業内期末試験
授業期間中
その他
レポートでは婚姻無効訴訟の事例(教科書の判例から自由選択)に対して受講者がそれぞれ自身の判断についてまとめ意見を述べるものとする。 なお,本講義を履修し十分な理解に達するためには,教会法概論および秘跡神学(婚姻)を履修済みであることが望ましい。 (11/21修正) 修正前:(定期試験期間中)定期試験 50% 修正後:(授業期間中)授業内期末試験 50%
詳細情報
概要
本講義の内容は,教皇庁教育省の2018年の指示(Gli studi di Diritto Canonico alla luce della riforma del processo matrimoniale)に準拠するものであり,教会法の各論として,婚姻法および改正された婚姻無効訴訟法および婚姻に関する教会法上のその他の諸規範,手続きについて学ぶ。それに基づいて,実際の判例をもとに教会裁判所の実務について理解する。
目標
カトリック教会における婚姻の成立条件,本質的特性と目的の理解,それらに基づいた婚姻無効宣言訴訟のしくみと絆の解消の諸手続き・諸規範の内容および実際の手続き方法の理解,特にローマ控訴院の判例とその内容の概略の理解
授業外の学習
受講に際しては,「教会法概論」,秘跡論「婚姻」を既に履修していることが望ましい。また教科書ならびに参考書,参考資料を使って講義内容の理解を深めること。特に事例の研究においてま学んだことをどのように適用するかを考察する。
所要時間: 1時間
スケジュール
- 婚姻の目的と本質的特性:自然婚と秘跡婚,婚姻の成立要素
- 婚姻の有効性:合意の瑕疵と無能力,婚姻の無効障害
- 夫婦の離別:種々のケースと必要な法的措置
- 離婚・再婚者,不適格な婚姻状態にある信徒に対する婚姻司牧の課題と指針
- 教会の司法権:各教会裁判所の管轄権と役割, 教会の訴訟法
- 婚姻無効訴訟法①:婚姻無効宣言訴訟全般―自発教令『寛容な裁判官・主イエス』の趣旨
- 婚姻無効訴訟法②:婚姻無効宣言訴訟の手続き1:通常の訴訟
- 婚姻無効訴訟法③:婚姻無効宣言訴訟の手続き2:司教の前での略式訴訟 文書訴訟
- 行政訴訟による婚姻の解消手続き①:パウロの特権と信仰の擁護による解消
- 行政訴訟による婚姻の解消手続き②:未完成婚の解消 歴史的変遷と事案ごとの手続きの概要
- 訴訟の事案のケーススタディー①:ローマ控訴院の判例1:偽装
- 訴訟の事案のケーススタディー②:ローマ控訴院の判例2:錯誤・詐欺・条件
- 訴訟の事案のケーススタディー③:ローマ控訴院の判例3:恐怖・強制,無能力1(交接不能,1095条1号事案)
- 訴訟の事案のケーススタディー④:ローマ控訴院の判例4:無能力2(1095条2,3号事案)
教科書
田中昇『カトリック教会の婚姻無効訴訟 ローマ控訴院の判例と適用』(2020年,教友社)
カトリック教会における婚姻 司牧の課題と指針
著者: 田中昇
出版社: 教友社,2017年
自発教令形式による使徒的書簡 寛容な裁判官,主イエス
著者: 教皇フランシスコ
出版社: カトリック中央協議会,2017年
自発教令「寛容な裁判官,主イエス」適用のための手引きーー新しい婚姻無効訴訟のための諸規則
著者: 使徒座裁判所ローマ控訴院
出版社: 教友社,2016年
参考書
婚姻の尊厳
著者: 教皇庁法文評議会
出版社: カトリック中央協議会,2009年
結婚の神学と倫理
著者: 浜口吉隆
出版社: 南窓社,2010年
解説・教会法 信仰を豊かに生きるために
著者: ルイージ・サバレーゼ/田中昇
出版社: フリープレス,2018年