キリスト教音楽美学研究I

博士前期課程神学研究科

MTTH7751

コース情報

担当教員: 森 裕子

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 金2

形式: 対面授業

レベル: 500

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

15%

授業参加

35%

その他

その他の50%の評価要素は,授業中に担当していただくプレゼンテーションの内容を指します。

50%

詳細情報

概要

キリスト教はその初期から,自らの出自としてのユダヤ教の習慣を受け継いで,またとりわけキリスト・イエスが唱えた祈りとして,詩編唱を,常にその宗教行為の中心に位置づけてきました。詩編をさまざまなメロディーに乗せて朗唱するという伝統は,こうして3000年以上にわたって積み重ねられているものです。この授業では,西洋に重点を置きながらも,できるだけ広く,キリスト教の歴史の中で生み出されてきた詩編唱の音楽を対象として,その豊かなレパートリーの中から,幾つかの曲を批判的,分析的に鑑賞しするだけでなく,教会の中で詩編唱について,さまざまな立場から論述されてきた文書を読むことによって,詩編を歌うことの典礼的,宣教的意義を考察します。その上で現在の日本の教会,とりわけ日本語の典礼における詩編唱の音楽について,そのあり方の独自性を理解しつつ,発展の可能性を模索します。

目標

この授業では, ①詩編唱に関して歴史を通して述べられてきた文書,生み出されてきた音楽の実際の姿についての基礎的知識を持つこと, ②詩編を共同体的に歌唱することの典礼的,宣教的,霊的意味について考察すること, ③現代,さらには未来に向けて,日本語による新しい詩編唱の音楽を発信するきっかけをつくることを目指します。 こうして受講者各自が,それぞれ独自のアプローチで,詩編唱の実践に創造的に貢献する可能性を探します。

授業外の学習

最終的には,小論文,典礼実践,音楽作品など自由な形で,詩編唱に関してキリスト教会に提案できるものを,独自に作成することを目指すので,一学期の授業の中で,各自2回ほどにわたって段階的にその経過発表をする場を設けます。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. 導入:「たえず賛美する」ための歌としての詩編,礼拝と結びついて行われた詩編書の編集
  2. 聖書の中で,また古代教父たちの文書の中で述べられている詩編唱実践に関する問題とそこに表現されている音楽思想,音楽観
  3. 古代における聖務日課(時課の祈り)と詩編唱
  4. 古代におけるミサの答唱詩編,聖書朗読の一部分としての意味
  5. ミサ中の行列に伴う歌として生まれた詩編の歌:入祭唱と拝領唱
  6. 西洋音楽の歴史を構成する詩編の音楽①:グレゴリオ聖歌から多声音楽
  7. 西洋音楽の歴史を構成する詩編の音楽②:ルターとルター派教会における詩編唱
  8. 西洋音楽の歴史を構成する詩編の音楽③:カルヴァンと改革派教会における詩編唱
  9. 西洋音楽の歴史を構成する詩編の音楽④:カトリック教会における対抗宗教改革の時代の詩編唱
  10. 第二ヴァチカン公会議前後の典礼運動と詩編唱①フランス 受講者発表①
  11. 第二ヴァチカン公会議前後の典礼運動と詩編唱②ドイツ 受講者発表②
  12. 第二ヴァチカン公会議後の詩編唱:ミサにおけることばの典礼のダイナミズムと答唱詩編
  13. 日本語の詩編唱①第二ヴァチカン公会議直後
  14. 日本語の詩編唱②将来的展望

教科書

授業中,プリントを配布 その都度,関連した文献を紹介する。

    参考書

    • 聖書

    • Psalms in Community: Jewish and Christian Textual, Liturgical, and Artistic Traditions

      著者: Attridge, Harold W. and Margot E. Fassler (ed.)

      出版社: Society of Biblical Literature, 2003

    • 詩篇の音楽

      著者: 寺本まり子

      出版社: 音楽之友社,2004

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