物理汎論A

博士前期課程理工学研究科 - 理工学専攻

MSPY7140

コース情報

担当教員: 小林 隆史

単位数: 2

年度: 2024

学期: 2Q集中

曜限: その他

形式: 対面授業

レベル: 600

アクティブラーニング: なし

他学部履修: 不可

評価方法

出席状況

30%

レポート

70%

詳細情報

概要

この講義では有機エレクトロニクスの基礎から応用までを概説する。具体的には有機ELディスプレイや有機薄膜太陽電池の動作原理,液晶やSi太陽電池との比較,また物理的側面に重点を置いた両デバイスの発展の歴史について,研究背景と合わせて紹介する。また,必要となる基礎知識(固体物理学,半導体工学,光化学の基礎)は講義前半で説明する。前提知識は高校レベルの物理および化学,学部レベルの量子力学のみとし,他領域の受講生でも理解できるように配慮する。時間的余裕があれば有機トランジスターなどについても紹介する。なお,本講義はカリキュラムポリシーに掲げた2物理学領域が提供する物性物理に対応する。

目標

本講義の目標は,なぜ高性能な発光デバイスが求められ,高効率な太陽電池が必要なのかを理解するとともに,有機エレクトロニクスはこの課題にどのように応えようとしているのかを学ぶことにある。本講義により,ディプロマ・ポリシーである「物理学および関連分野の発展に寄与し,専門知識を用いて人間社会の発展や地球環境の保全に貢献できる力」を身につける。

授業外の学習

講義資料を活用して予習および復習するとともに,別途指示する課題に取り組むこと。もし講義中に理解できない事項があれば参考文献等で確認するか,教員に質問すること。

所要時間: 講義の予習および復習に要する時間が90分,課題に要する時間は100分が見込まれる(合計190分)。

スケジュール

  1. ※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがありうる。 イントロダクション-有機半導体の歴史と応用-
  2. 半導体工学(1)-固体物理の基礎-
  3. 半導体工学(2)-pn接合と金属半導体接触-
  4. 半導体工学(3)-無機半導体と有機半導体-
  5. 有機半導体の励起状態(1)-一重項励起状態と三重項励起状態-
  6. 有機半導体の励起状態(2)-輻射遷移と無輻射遷移-
  7. 有機半導体の励起状態(3)-効率的なスピン反転-
  8. 有機発光デバイス(1)-蛍光材料,燐光材料,熱活性化遅延蛍光材料-
  9. 有機発光デバイス(2)-有機ELディスプレイ-
  10. 有機発光デバイス(3)-その他の発光デバイス-
  11. 有機薄膜太陽電池(1)-太陽電池の基礎-
  12. 有機薄膜太陽電池(2)-有機薄膜太陽電池の発電原理-
  13. 有機薄膜太陽電池(3)-その他の太陽電池との比較-
  14. まとめ-その他の応用と今後の展望-

教科書

指定しない

    参考書

    講義の内容を深く理解したい,発展的内容を学習したい場合には下記の参考書をお薦めする。

    • 有機半導体のデバイス物性

      著者: 安達千波矢

      出版社: 講談社・2012年

    • 有機ELのデバイス物理

      著者: 筒井哲夫,安田 剛

      出版社: 丸善出版・2023年

    • Organic Electronics

      著者: Stephen R. Forrest

      出版社: Oxford University Press・2020年

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