解析学特論A

博士前期課程理工学研究科 - 理工学専攻

MSMT7210

コース情報

担当教員: 後藤 聡史

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 月3

形式: 対面授業

レベル: 500

アクティブラーニング: なし

他学部履修: 不可

評価方法

出席状況

0%

授業参加

0%

レポート

20%

小テスト等

80%

その他

「小テスト等」は 毎週の演習課題の取組み・提出状況で,「出席状況」「授業参加」は「小テスト等」に含む.期末レポートとして,まとめ・総合的な課題を課します.

0%

詳細情報

概要

本講義で使用するテキストは,英語のテキスト「Measure, Integration & Real Analysis」(Sheldon Axler著,Springer,2020)(PDFファイルがダウンロード可能)を予定しています. 講義で取り上げる範囲は主に Chapter 6,7,8,10 の予定です.このテキストの前半 Chapter 1~5 には測度論の基礎が書かれていますので,測度論(ルベーグ積分論)の知識が不足している場合はテキストのChapter 1~5を参照してください. 英語のテキストに慣れていない場合は,日本語のテキスト(こちらもPDFファイルがダウンロード可能)を紹介します.他にも参考書を多数紹介するので,自分にあった本を見つけて参考にしてください. 基本的に指定のテキストに沿って,その内容を解説します. 無限次元の線形空間(ノルム空間,バナッハ空間,ヒルベルト空間など)とその構造 および その上の線形作用素の性質などについて学びます.関数解析学はフーリエ解析,超関数,ソボレフ空間,偏微分方程式への応用などに用いられ,現代解析学を学ぶのには欠くことのできない科目です.予備知識として微分積分学,線形代数学,位相空間論などを十分理解していることが必要です.さらに具体的な関数空間やフーリエ解析,偏微分方程式論などへの応用のためには,測度論(ルベーグ積分論)の知識が必要になります.測度論(ルベーグ積分論)の知識が不足している場合は,上記のテキストの前半部分に詳細な記述がありますので,必要に応じて参照してください. この講義は数学領域(博士前期課程)のカリキュラムポリシー2の前半「数学領域が提供する解析学・代数学・幾何学・数理統計などに関する科目を受講し,これらについて専門知識を得させる」科目に相当する.

目標

前半は,ノルム空間,バナッハ空間の定義・性質と具体例 (数列空間やルベーグ空間)を学び,さらにこれらの空間の上の線形作用素の性質について学びます.特に,関数解析学の4大定理とも呼ばれる,完備性(ベールのカテゴリー定理)が有効にはたらく3つの定理「一様有界性の原理」「閉グラフ定理」「開写像定理」と線形汎関数が豊富に存在することを保証する「ハーン・バナッハの定理」について重点をおいて説明し,その有用性を理解できるようにすることを前半の目標とします. 後半は,ヒルベルト空間とその上の線型作用素,作用素のスペクトル,コンパクト作用素などについて学びます. この講義では,数学領域(博士前期課程)のディプロマ・ポリシー2の「 数学および関連分野において最先端で活躍できる専門知識を身につけるとともに,真理の探究・理論の発展およびそれを広く社会や次世代に伝えることのできる力」を身につける.

授業外の学習

講義は基本的に指定のテキストに沿って進めます.(英語のテキストです.購入しなくてもPDF版がダウンロード可能です.)比較的速い進度で進む予定ですので,あらかじめテキストの予習をすることが,きちんと理解するためには必須となります.これまでの履修状況に応じて,足りない予備知識の復習も必要になるでしょう.しっかりとした予習復習が必要な科目です. また,授業時間外の課題として,演習問題やレポート課題を出す予定です.授業内容を深く理解するための復習や演習を兼ねた課題ですので,レポート課題もしっかりこなすようにして欲しいです. (予習・復習・レポート課題の所要時間は毎週4時間程度)

所要時間: 240分程度

スケジュール

  1. テキスト① §6A Metric Spaces, §6B Vector Spaces 本授業計画は,あくまでも現時点での予定です. 状況に応じて講義内容・授業進度を若干変更・調整する可能性があります. その場合は,授業が始まってから,口頭およびMoodle上で変更のお知らせをします.
  2. テキスト① Chapter 6. Banach Spaces: §6B Vector Spaces, §6C Normed Vector Spaces
  3. テキスト① §6C Normed Vector Spaces
  4. テキスト① §6D Linear Functionals
  5. テキスト① §6E Consequences of Baire's Theorem
  6. テキスト① Chapter 7. Lp Spaces: §7A ℒp(μ)
  7. テキスト① §7B Lp(μ)
  8. テキスト① Chapter 8. Hilbert Spaces: §8A Inner Product Spaces
  9. テキスト① §8B Orthogonality, §8C Orthonormal Bases
  10. テキスト① §8C Orthonormal Bases
  11. テキスト① Chapter 10. Linear Maps on Hilbert Spaces: §10A Adjoints and Invertibility
  12. テキスト① §10B Spectrum
  13. テキスト① §10B Spectrum, §10C Compact Operators
  14. テキスト① §10C Compact Operators, §10D Spectral Theorem for Compact Operators

教科書

テキスト①「Measure, Integration & Real Analysis」(Sheldon Axler著,Springer,2020) https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-030-33143-6 テキスト②「関数解析入門」(高村多賀子 著,朝倉書店,2004) https://mathlib-sophia.opac.jp/opac/Holding_list?rgtn=eb000204 その他,必要に応じて講義時間内に適宜,追加・紹介する.

    参考書

    「関数解析入門」(荷見守助 著,内田老鶴圃) 「ヒルベルト空間と線型作用素」(日合文雄・柳研二郎 著,牧野書店) 「関数解析の基礎」 (吉田伸生 著,裳華房) 「函数解析」(竹之内脩 著,朝倉書店) 「関数解析」(黒田成俊 著,共立出版) 「関数解析」(藤田宏・黒田成俊・伊藤清三 著,岩波書店) 「ルベーグ積分と関数解析」(谷島賢二 著,朝倉書店) 「フーリエ解析と関数解析学」(新井仁之 著,培風館) 「Functional Analysis」(Walter Rudin,McGraw-Hill) 「Functional Analysis」(Kosaku Yosida,Spirnger) 「Analysis Now」(Gert K. Pedersen,Springer) 「A Course in Functional Analysis (2nd ed.)」(John B. Conway,Springer)

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