経済数学特論II

博士前期課程理工学研究科 - 理工学専攻

MSCT7140

コース情報

担当教員: 佐久間 吉行

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 火4

形式: 対面授業

レベル: 500

アクティブラーニング: なし

他学部履修:

評価方法

出席状況

30%

レポート

30%

授業内期末試験

授業期間中

40%

その他

授業の進捗と学生の理解度を見て配分を変える可能性があります。

0%

詳細情報

概要

日本の金融機関では証券アナリスト資格などの普及により, ブラック・ショールズ式を見たり聞いたりしたことのない人は恐らくほとんどいない状態です. 一方で, これらの導出のもととなる「伊藤の公式」や「ギルザノフの定理」を知っている人はほとんどいません, これは, 自動車を見たことがあるけれど, 運転できない状態です. この授業では, 参加者が「伊藤の公式」や「ギルザノフの定理」の使い方を覚え, 簡単なオプション価格式の導出ができるようになることを目指します. これは,整備された道路なら車が運転できる状態です. 一見複雑に見える数式は「伊藤の公式」と「ギルザノフの定理」の利用でほぼ四則演算に書き直すことができるようになります. 授業の中では演習を組み込み, 単純な計算練習を繰り返し行って(似たような計算を繰り返します), 定理の使い方を覚えてもらう予定です. 一方で車のエンジンの構造に対応する測度論や確率解析の話題には原則立ち入りません. 計算を進めるにあたって必要となる定理の読み方等は覚えますが, 厳密な証明は行いません. このため, 理論を追求したい学生には物足りない内容となります.

目標

参加者が「伊藤の公式」や「ギルザノフの定理」の使い方を覚え, 簡単なオプションの価格式を導出できることを目指します. 具体的には,株価とマネーマーケット・アカウントのモデルが与えられたとき,「伊藤の公式」や「ギルザノフの定理」の使い方を理解し, これを利用して, ブラック・ショールズ式を導出できるようになることが授業の到達目標です. 目標に到達できない場合, 学生の理解の度合いに応じて, 単位を与える予定です. 進捗に余裕があれば, 習得した内容をベースに, スプレッド・オプション, コンパウンド・オプション, クオント, バリア・オプションなど解析解の存在するエキゾチック・オプションの価格を導出します. 更に時間が残れば, 連続モデルの条件付き期待値の定義などを解説します.

授業外の学習

復習を重視します. 授業で行った伊藤の公式などの導出を帰宅後190分位, 手を動かして計算し直すことを推奨します. 単位の取得を目指すだけであればこれで十分です. 応用を何も見ずに再現できるようになるには, 集中して数時間時間を費やすことが不可欠です.(板書を元に説明する授業ですが,教科書には関連する内容が記載してあります.この内容を理解しながら紙で書き取って復習するだけでも,理解が深まるはずです. 復習に際しては, 何が分かり,何が分からないかを自分の中で明確にするトレーニングをしてください. 何が分からないかが分かると解決方法は自ずと見えてきます)

所要時間: 190分程度

スケジュール

  1. イントロダクション (以下は予定であり, 授業の進捗状況により各テーマの内容や回数は変更することがあります. 特に掲示したテーマの内容に係わらず, 学生の理解度合いに依存して, 基礎的な話題に内容を変更する場合があります. 初回の数回で基礎的な話をしたのち, 4回目から10回目位までで数式の展開とその内容を理解した前提での演習を繰り返す予定です. BS公式を自力で導出することがこの授業の到達目標です. 期末試験は, BS公式を自力で導出できることの確認となります.)
  2. オプションの説明
  3. 項モデルに基づくオプション価格付け
  4. 伊藤の公式(その1)
  5. 伊藤の公式(その2)
  6. 伊藤の公式(その3)
  7. ブラック・ショールズ式(その1)
  8. ブラック・ショールズ式(その2)
  9. ブラック・ショールズ式(その3)
  10. ブラック・ショールズ式(その4)
  11. エキゾチックオプション(その1)
  12. エキゾチックオプション(その2)
  13. エキゾチックオプション(その3)
  14. 期末試験

教科書

全ての回で,講師が資料を配布します. 参考書1の村上先生のマルチンゲールアプローチ入門を参考に作成しています.

  • マルチンゲールアプローチ入門 デリバティブ価格理論の基礎とその実際

    著者: 村上秀記

    出版社: 近代科学社 2015年

  • ファイナンスのための確率解析Ⅱ

    著者: S.E.シュリーブ著 長山いづみ他訳

    出版社: シュプリンガー・ジャパン 2008年

  • オプションプライシングの数理_基礎理論と専門書のブリッジテキスト

    著者: 山下司

    出版社: 金融財政事情研究会

参考書

書籍情報はありません。

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