無機化学特論(地球化学)
博士前期課程理工学研究科 - 理工学専攻
MSCH7040
コース情報
担当教員: 木川田 喜一
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 金3
形式: 対面授業
レベル: 500
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 不可
評価方法
レポート
授業内期末試験
授業期間中
その他
出席回数が講義回数の3分の2未満の者は,原則として評価の対象外とする.なお,講義中の発⾔や,演習課題の解答に応じた加点を⾏うことがある.
詳細情報
概要
化学領域の専門科目として,無機化学分野のうち,地球化学に関する専門知識を提供する(CP2). 地球化学は地球の営みを化学的法則に則り理解しようとする学問である.本講義では日本列島に代表される沈み込み帯・島弧域での物質移動と物質循環を中心に取り扱う.第一にプレートの沈み込みとマグマの発生,およびそれに連なる火山・熱水活動に関連する諸現象を化学的理論に基づき理解する.次いで関連分野における最新の化学的観測・分析技術の実際と,それらを活用した化学的手法を用いる地震・火山噴火予知システムの現状について解説する.さらに火山地域における災害防止,環境保全のあり方について化学的側面から解説する.また新聞,テレビ報道等を題材に,随時タイムリーな火山・温泉等に関わる話題をトピックス的に取り上げる予定である.
目標
化学領域のディプロマポリシー(DP1)に基づき,基礎科学が人間社会や地球環境に与える影響を多面的にとらえる力を身に付ける. 火山活動・火山熱水活動の具体的メカニズムの理解を通じて,地球の営みの何たるかを科学的知識に基づき理解できるようになる.また,火山活動に関わる自然災害に関する基礎知識を学び,防災・減災に資する能力を身に付ける. さらに自然科学のみならず,自然災害に関わる社会科学的側面も学び,基礎科学と人間社会との関係を多面的にとらえる能力を身に付ける.
授業外の学習
常に火山に関連する報道等に注意し,日常的に火山関連情報の収集に努めること.特に気象庁の火山関連情報の更新には注意を払い,講義前一週間の最新の国内の火山活動状況を把握しておくこと(予習,1.5時間程度を想定).毎回の授業内容を復習し,次回までに不明点を明らかにしておくこと(復習,2時間程度を想定).
所要時間: 3.5時間程度
スケジュール
- イントロダクション:火山化学・温泉化学の歴史と背景 ※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがありうる.また,課題の順序は入れ替える場合がある.
- 火山活動と熱水活動のメカニズム(1)
- 火山活動と熱水活動のメカニズム(2)
- 化学的火山観測と噴火予知(1):火山ガスの化学
- 化学的火山観測と噴火予知(2):活動的火口湖の化学
- 温泉の水質形成と水質変化
- 岩石-熱水相互作用
- 火山活動に伴う災害(1):火山ガス
- 火山活動に伴う災害(2):噴火現象
- 火山活動と地球環境
- 温泉の利用と環境保全
- 火山噴火・災害の事例解説とトピックス(1)
- 火山噴火・災害の事例解説とトピックス(2)
- 知識の確認(試験)
教科書
必要に応じてプリントを配布する
参考書
地球化学
著者: 松尾禎士 監修
出版社: 講談社・1989年
地熱流体の化学
著者: 鎌田政明・小沢竹二郎・村上悠紀雄・吉田稔 編
出版社: 東京大学出版会・1985年