労働法研究 II-B

博士前期課程法学研究科

MLLW7452

コース情報

担当教員: 富永 晃一

単位数: 1

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 水2

形式: 対面授業

レベル: 500

アクティブラーニング: なし

他学部履修: 不可

評価方法

授業参加

100%

その他

・参加者に,口頭発表を求める。これは,授業参加(の一部)として考慮される。

0%

詳細情報

概要

・個別的労働関係法を中心に,重要な論点に関連する判例や文献を読み,その位置づけを検討することを目的とする(いわゆる判例検討会に近い)。 ・労働法研究II-Aに進行を併せているが,労働法研究II-Aの履修は要件ではない(学部段階で労働法を履修した場合には,労働法研究II-Aを履修する意味はあまり大きくないので,労働法研究I I-Bだけを履修しても差し支えない)。 ・具体的には,各回,予習課題として判例・裁判例をいくつか選定し,内容の簡単な照会を求める。当日の授業で報告を聞き,内容を確認した後,質疑応答・ディスカッションする形式で進める。報告にあたっては,判例の意味を位置付ける(過去の事例に沿ったものか,異例なものか,新しいものか,等)ことを心掛けることを推奨する。 ・上記の内容は,法的知識と分析力の涵養を通じて,労働法関係において基礎知識の獲得・深化,高度な法的能力および雇用問題の分析力の養成に資するものである。これは,教育研究上の目的及び人材養成の目的にいう「社会で生起するさまざまな問題を論理的に再構成し,より高度な問題を処理できる実務能力」の獲得,並びに,カリキュラム・ポリシーにいう「学部で修得した法学・政治学全般の基礎知識の深化」「高度な法的能力および政治の分析力の涵養」「専門的視点および分析力の深化」に資するものである。

目標

・個別的労働関係法・集団的労働関係法に関する概観的な知識を得た後,判例の検討・発表を通じて,資料読解能力を涵養するとともに,労働者保護の具体的手法の異同の検討等を通じて,体系的モデル化(理論化)の能力を伸ばすことを目的とする。 ・上記は,労働法関係におけるディプロマポリシーの実現,すなわち労働法に関する「高度な専門知識を修得し,使いこなす能力」の養成に資するものである。 ・具体的な目標は,下記のとおりである。 ①判決文(文献)を読解して問題提起・分析・結論/主張を読み取ることができる ②その分析・結論/主張の当否を評価できる ③その論文で得られた知見を自分の仮説・理論の中に位置づけ,(口頭又は文章で)表現することができる。

授業外の学習

予習(概ね各回95分~150分程度)が必要となる。 (内容)講読文献の読解(問題提起・分析・結論/主張の読み取り),講読文献の分析・結論/主張の評価。 復習(概ね各回95分~150分程度)を行うことが求められる。 (内容)自分の研究関心(仮説・理論)への位置づけ・表現(整理メモやレポートの執筆)等である。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. ガイダンス兼文献講読(1)(※以下の予定はすべて仮の予定であり,受講者の希望やその他の事情に応じて各テーマの内容・回数・時期等を変更することがありうる) (内容) ・授業の進め方の説明等。講読予定判例を調整する。例として,裁判例を一つ読んでみる。 (目標) ・授業の進め方を理解し,次回の講読予定文献等を決める。
  2. 文献講読(2):(仮)「労働条件の決定枠組み(強行法規,労働協約,就業規則,個別労働契約)」 (内容) ・(仮)秋北バス事件,山梨県民信用組合事件 (目標) ・就業規則変更,合意変更等による労働条件変更法理に係る判例法理について理解を深める。
  3. 文献講読(3):(仮)「労働者性」「使用者」 (内容) ・(仮)ウーバーイーツ事件東京都労委命令,公文研究会事件東京都労委命令,セブン-イレブンジャパン事件,ファミリーマート事件 ・(仮)高見澤電機ほか事件 (目標) ・労働基準法(労災保険法)上の労働者概念と,労働組合法上の労働者概念の違いを理解する。 ・労働契約法上の使用者概念,労働基準法(労災保険法)上の労働者概念に係る判例法理について理解を深める。
  4. 文献講読(4):(仮)「個別的労働法総論」「採用:募集,採用内定,採用,試用,契約締結上の過失等」 ・(仮)日新火災海上保険事件,職安法・個人情報保護法関係文献 (目標) ・採用時の差別禁止・プライバシー保護等の規制,労働契約の成立に関する判例法理等について理解を深める。
  5. 文献講読(5)「労働契約上の権利・義務」「労働憲章」 (内容) ・(仮)労働基準法16条関係(損害賠償額の予定) (目標) ・労働契約上の基本的権利義務・付随義務,労働憲章に係る判例法理について理解しを深める。
  6. 文献講読(6)(仮)「賃金」 (内容) ・(仮)住友生命保険事件 (目標) ・賃金に係る判例法理理解を深める。労働条件変更について,ここで取り扱うこともある。
  7. 文献講読(7)(仮)「労働時間」「休暇・休業」 (内容) ・(仮)移動時間に関する裁判例 ・(仮)年次有給休暇等に関する判例法理(特に,沼津交通事件等) (目標) ・労働時間や休暇・休業に関する判例法理の理解を深める。

教科書

購読文献は,開講時に受講者と相談して決定する。

    参考書

    ・受講者の問題関心に応じて紹介する。下記はあくまで例示である。 ・日本の労働法の特徴については,濱口桂一郎『若者と労働』(中央公論新社,2013)が読みやすく示唆に富む。

    • 労働法(第5版)

      著者: 荒木尚志

      出版社: 2022

    • 労働法(第10版)

      著者: 水町勇一郎

      出版社: 有斐閣,2024

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