労働法研究 II-A
博士前期課程法学研究科
MLLW7451
コース情報
担当教員: 富永 晃一
単位数: 1
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 水2
形式: 対面授業
レベル: 500
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 不可
評価方法
授業参加
その他
・参加者の希望に応じてレポート・口頭発表などの表現課題を課すことがある(必須とはしない。参加者からの希望があった場合の措置である)。その場合,授業参加(の一部)として考慮する。
詳細情報
概要
・労働法研究I-Aで扱わなかった範囲の個別的労働関係法,及び集団的労働関係法を中心に,労働法の骨格を概観し,法学的な論点を把握することを目的とする。学部段階で労働法を履修した場合には,本科目を履修する意味はあまり大きくないので,労働法研究II-Bだけを履修することも選択肢に入ると思われる。 ・具体的には,各回,予習として資料等を講読し,内容を当日の授業で確認した後,内容について質疑応答・ディスカッションする形式で進める。質疑応答等にあたっては,学習した内容を,何らかの(自分なりの)仮説ないし理論に帰納してみることを推奨する。受講者の希望により,レポート課題を設定することがある。 ・上記の内容は,法的知識と分析力の涵養を通じて,労働法関係において基礎知識の獲得・深化,高度な法的能力および雇用問題の分析力の養成に資するものである。これは,教育研究上の目的及び人材養成の目的にいう「社会で生起するさまざまな問題を論理的に再構成し,より高度な問題を処理できる実務能力」の獲得,並びに,カリキュラム・ポリシーにいう「学部で修得した法学・政治学全般の基礎知識の深化」「高度な法的能力および政治の分析力の涵養」「専門的視点および分析力の深化」に資するものである。
目標
・個別的労働関係法・集団的労働関係法に関する概観的な知識を得た後,論文購読を通じて,資料読解能力を涵養するとともに,労働者保護の具体的手法の異同の検討等を通じて,体系的モデル化(理論化)の能力を伸ばすことを目的とする。 ・上記は,労働法関係におけるディプロマポリシーの実現,すなわち労働法に関する「高度な専門知識を修得し,使いこなす能力」の養成に資するものである。 ・具体的な目標は,下記のとおりである。 ①論文(判決)を読解して問題提起・分析・結論/主張を読み取ることができる ②その分析・結論/主張の当否を評価できる ③その論文で得られた知見を自分の仮説・理論の中に位置づけ,(口頭又は文章で)表現することができる。
授業外の学習
予習(概ね各回95分~150分程度)が必要となる。 (内容)講読文献の読解(問題提起・分析・結論/主張の読み取り),講読文献の分析・結論/主張の評価。 復習(概ね各回95分~150分程度)を行うことが求められる。 (内容)自分の研究関心(仮説・理論)への位置づけ・表現(整理メモやレポートの執筆)等である。
所要時間: 190分
スケジュール
- ガイダンス兼文献講読(1)「ガイダンス」「人事権」(※以下の予定はすべて仮の予定であり,受講者の希望やその他の事情に応じて各テーマの内容・回数・時期等を変更することがありうる) (内容)ガイダンス,人事権 ・授業の進め方の説明等。講読予定文献を調整する。 ・人事権について解説する。 (目標) ・授業の進め方を理解し,次回の講読予定文献等を決める。 ・人事権についての労契約上の規制や判例法理を理解し,具体的な事案に適用できるようにする。
- 文献講読(2):(仮)「人事権」「懲戒権」 (内容)人事権,懲戒権 ・人事権の残り,及び懲戒権を解説する。 (目標) ・懲戒権についての労契約上の規制や判例法理を理解し,具体的な事案に適用できるようにする。
- 文献講読(3):(仮)「解雇権」「雇用の終了」 (内容) ・解雇権(人的解雇,整理解雇),その他の雇用終了(雇止め,合意解約,辞職,定年等)について解説する。 (目標) ・解雇規制法制の大枠と,普通解雇についての労契約上の規制や判例法理を理解し,具体的な事案に適用できるようにする。 ・辞職,合意解約,雇止め,定年制に関する法理を理解し,具体的事例で適用できるようになる。
- 文献講読(4):(仮)「人権保護」「雇用差別」「ハラスメント」 (内容) ・雇用差別禁止法,ハラスメント防止等に係る法規制を扱う。 (目標) ・セクハラ等に関する法理,均等法等の雇用平等法理を理解し,具体的事例で適用できるようになる。
- 文献講読(5)非正規労働 (内容) ・非正規雇用(有期労働,パートタイム労働,派遣労働)について概観する。 (目標)非正規雇用に関する法的規制を理解し,具体的事例で適用できるようになる。
- 文献講読(6)(仮)「労働組合と団体交渉」「団体行動」 (内容) ・労働組合の概念,ユニオンショップ,団体交渉に関する法理を理解し,具体的事例で適用できるようになる。 ・争議行為と組合活動の法理を理解し,具体的事例で適用できるようになる。 (目標) ・目標:賃金の概念,賃金への労基法上の規制等を理解し,説明できるようになる。
- 文献講読(7)(仮)「不当労働行為」「」 (内容) ・不当労働行為制度についての法理を検討する。 (目標) ・不当労働行為救済制度を理解し,具体的事例で適用できるようになる。
教科書
購読文献は,開講時に受講者と相談して決定する。
参考書
・受講者の問題関心に応じて紹介する。下記はあくまで例示である。 ・日本の労働法の特徴については,濱口桂一郎『若者と労働』(中央公論新社,2013)が読みやすく示唆に富む。
労働法(第5版)
著者: 荒木尚志
出版社: 2022
労働法(第10版)
著者: 水町勇一郎
出版社: 有斐閣,2024