権利擁護関係法制論*
博士前期課程総合人間科学研究科 - 社会福祉学専攻
MHSV7140
コース情報
担当教員: 飯村 史恵
単位数: 2
年度: 2024
学期: 3クォーター
曜限: 水2, 水3
形式: 対面授業
レベル: 600
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
レポート
その他
授業内プレゼンテーション
詳細情報
概要
近年,社会福祉における「権利擁護」は,判断能力の不十分な人々の契約制度や財産管理を担う成年後見制度との文脈から語られることが多くなっている。しかし,社会正義,人権,集団的責任,および多様性尊重を中核とするソーシャルワーク専門職のグローバル定義を改めて参照し,権利とは何かを根源的に問えば,利用者の日常生活そのものを権利の観点から多角的に捉え直す必要があり,そこから新たな問題が浮上してくると言える。 本講義では,権利の本質を,具体的な社会福祉の実践事例を通して受講者と共に討論し,論点を共有し合いながら,理解を深めることとする。
目標
1.社会福祉における「権利擁護」の概念獲得と論理性を伴った説明ができる。 2.疑問を感じる事項や学習したい内容を積極的に意見表明し,他者と議論することによって,異なる視点や新たな論点を獲得する。 3.ソーシャルワークの基本的原理の一つである人権並びに多様性の尊重等について,今日的な状況を視野に入れた上で理解を深める。
授業外の学習
初回の授業において,全回のスケジュールと主たるポイントを説明するので,それに従い,事前学習として,テーマに応じた文献講読並びに自分自身の論点整理等,各々が主体的に授業準備を行った上で,授業に臨まれたい。 事後学習も同様に,各自で参考文献等を精読し,授業で得た知見等を深めること。なお,準備・事後学習に必要な文献紹介やアドバイスは,授業時に適宜行う。
所要時間: 190分程度
スケジュール
- オリエンテーション・日常生活における社会的排除の構造
- ノーマライゼーション思想と日本社会の課題
- 社会福祉の固有性を考える
- 生命倫理と重度しょうがい者が社会で生きる意味
- 障害者権利条約で問われている事項
- 成年後見制度と意思決定支援
- 事例研究①:スティグマと社会福祉サービス
- 事例研究①に対する発展的ディスカッションとコメント
- 事例研究②:ソーシャルインクルージョン
- 事例研究②に関する発展的ディスカッションとコメント
- 事例研究③:市民参加と参加しない自由
- 事例研究③に関する発展的ディスカッションとコメント
- 事例研究を通じた総括ディスカッション
- 全体まとめと今後の課題
教科書
特に指定せず,資料は授業時に配布する。
参考書
テーマに応じた参考文献は,授業時に提示する。
荷を引く獣たち-動物の解放と障害者の解放
著者: スナウラ・テイラー
出版社: 洛北出版・2020年
殺す親 殺させられる親-重い障害のある人の立場で考える尊厳死・意思決定・地域移行
著者: 児玉真美
出版社: 生活書院・2019年
当事者研究-等身大の〈わたし〉の発見と回復
著者: 熊谷晋一郎
出版社: 岩波書店・2020年