古典文学特殊講義・演習IVB
博士前期課程文学研究科 - 国文学専攻
MHJL7080
コース情報
担当教員: 倉員 正江
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 火4
形式: 対面授業
レベル: 500
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
20%
リアクションペーパー
10%
レポート
70%
その他
期末レポートは授業中に指示した体裁で4000字程度のものを作成する。
0%
詳細情報
概要
一般には馴染みの薄いと思われる浮世草子作品を中心に取り上げる。井原西鶴を始祖とする文芸ジャンル浮世草子は,その名の通り現実の風俗に密着した写実性の濃厚な近世小説群である。西鶴以外の浮世草子作者は,とかく亜流として低い評価に終始してきたが,個々の作品には見るべきものが多い。授業では未翻刻を含む作品を講読し,浮世草子の持つ多彩な特徴を考察する。 近年はKuLaなど崩し字学習アプリが開発され,「みんなで翻刻」など市民参加型のプロジェクトが成果を上げている。こうした活動を持続していくためにも,大学院生には未翻刻作品を読解する能力の向上を期待したい。また受講生の専門に配慮し,教材を追加・変更する場合がある。
目標
1) 西鶴以降の浮世草子の多彩な展開や特徴を理解し,近世文学史の中に位置づけることができる。 2) 身分制社会であった当時の歴史的背景を踏まえて,浮世草子の写実性・時事性を理解することができる。 3) 変体仮名や崩し字に親しみ,その読解の基礎学力を習得することができる。
授業外の学習
・次回に扱う作品,指示した資料を読んで,授業に出席する。 ・変体仮名・崩し字の読解に積極的に取り組む。
所要時間: 200分
スケジュール
- 井原西鶴以降の浮世草子史を概説する
- 井原西鶴『諸艶大鑑』5-3「死ば諸共の木刀」※遊女の真情を試す客
- 都の錦『風流日本荘子』2-1「長崎の大臣」※同上
- 夜食時分『好色敗毒散』1-1「長崎船」・江島其磧『和漢遊女容気』2-2「大臣にしては其意を猿猴の懸物目利」※遊廓の喜悲劇
- 西鶯『御前独狂言』4-13「親子もしらぬが仏」※遊廓の悲劇
- 風音堂『風流連三味線(風流数目金)』3-2「有馬山の冨つき」※当時の被差別民観1
- 同5-2「松坂の今分限」※当時の被差別民観2 ・リアクションペーパーの執筆
- 作者未詳『西海太平記』※赤穂義士外伝と当時の風聞 ・リアクションペーパーの講評
- 多田南嶺の浮世草子 『鎌倉諸芸袖日記』を中心に
- 上田秋成の浮世草子 『諸道聴耳世間猿』の世界
- 同 『世間妾形気』の世界
- 福隅軒蛙井『諸芸独自慢』※最後の新作浮世草子
- 山本斧麿『当世誰が身の上』※幕末まで読まれた浮世草子1
- 江島其磧『商人軍配団』※幕末まで読まれた浮世草子2
- 総括・期末レポートの詳細を指示
教科書
適宜授業中にプリントを配布する。
参考書
適宜授業内にて指示する。