古典文学特殊講義・演習IVA
博士前期課程文学研究科 - 国文学専攻
MHJL7070
コース情報
担当教員: 倉員 正江
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 火4
形式: 対面授業
レベル: 500
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
20%
リアクションペーパー
10%
レポート
70%
その他
期末レポートは授業中に指示した体裁で4000字程度のものを作成する。
0%
詳細情報
概要
太宰治著『新釈諸国噺』(昭和20年 生活社刊)は,井原西鶴の浮世草子短編12作品を翻案した小説である。典拠となった西鶴作品との比較により,太宰が「凡例」で言う「日本の作家精神の伝統とでもいふべきもの」とは何かを考察する。また本作が昭和19年という第二次世界大戦下に執筆された点を重視し,そうした時局や背景をも合わせて考察する。 さらに太宰同様「無頼派」と称された織田作之助著『西鶴新論』(昭和17年 修文館刊)を併読し,当時の西鶴評価と西鶴が作家に与えた影響を考察する。少人数の受講者が見込まれるため,積極的なディスカッションを促したい。また受講生の専門に配慮し,教材を追加・変更する場合がある。
目標
1) 井原西鶴の浮世草子,近世前期の上方(京阪地方)を中心とする元禄文化の特徴を理解できるようになる。 2) 近代以降における西鶴評価の変遷を把握し,西鶴が太宰治ら近代作家に与えた影響を理解できるようになる。 3) 戦時下において当時の作家たちがどのように時局と対峙し,あるいは順応していったのかについて,当時の資料を基に理解できるようになる。
授業外の学習
・次回の授業で取り上げる作品や指示された資料を読み,授業に出席する。
所要時間: 200分
スケジュール
- 談林俳諧師兼浮世草子作者であった井原西鶴,近世前期の出版文化の概略を講義する。
- 『新釈諸国噺』「貧の意地」・『西鶴諸国はなし』1-3「大晦日はあはぬ算用」
- 『同』「大力」・『本朝二十不孝』5-3「無用の力自慢」
- 『同』「猿塚」・『懐硯』4-4「人真似は猿の行水」
- 『同』「人魚の海」・『武道伝来記』2-4「命とらるる人魚の海」」
- 『同』「破産」・『日本永代蔵』5-5「三匁五分曙のかね」
- 『同』「裸川」・『武家義理物語』1-1「我が物ゆゑに裸川」
- 『同』「義理」・『同』1-5「死なば同じ浪枕とや」 ・リアクションペーパーの提出
- 『同』「女賊」・『新可笑記』5-4「腹からの女追剥」 ・リアクションペーパーの講評
- 『同』「赤い太鼓」・『本朝桜陰比事』1-4「太鼓の中は知らぬが因果」
- 『同』「粋人」・『世間胸算用』2-2「訛言も只は聞かぬ宿」
- 『同』「遊興戒」・『西鶴置土産』2-2「人には棒振虫同前に思はれ」
- 『同』「吉野山」・『万の文反古』5-4「桜の吉野山難義の冬」
- 近代以降の井原西鶴に対する評価の変遷・織田作之助著『西鶴新論』とその周辺について講義する。
- 総括・期末レポート作成の詳細について指示する。
教科書
適宜プリントを配布する。
参考書
適宜授業内にて指示する。