芸術文化研究IIIB

博士前期課程文学研究科 - 文化交渉学専攻

MHCU7220

コース情報

担当教員: 鈴木 啓子

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 水2

形式: 対面授業

レベル: 500

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

10%

授業参加

20%

リアクションペーパー

30%

レポート

40%

詳細情報

概要

近代日本の幻想小説,もしくは幻想的傾向を持つ小説を取りあげ,その文学的特質,個々の作品の表現機構,成立と受容の諸相を,先行文献を参照しつつ,同時代の社会・文化状況を踏まえて多角的に考察する。近代日本を代表する幻想文学者である泉鏡花を中心に,以下の作家のなかから,受講者の人数や関心に考慮して,7~10名の作家の小品・掌編・短編をとりあげて精読をおこなう。泉鏡花・夏目漱石・樋口一葉・国木田独歩・田村俊子・芥川龍之介・内田百閒・梶井基次郎・小川未明・川端康成・江戸川乱歩・夢野久作・中島敦・太宰治・尾崎翠・吉屋信子・井伏鱒二・三島由紀夫・大岡昇平などの作品を予定している。

目標

1.文学作品の解釈・鑑賞の様々なあり方を具体例に則して実践的に習得する。 2.近代日本の様々な小説を精読し,文学者や文学作品の思想や表現機構の特質を知る。 3.作品に引用された先行文芸(外国文学・古典文学)との関わりを検証し,文学の生成と受容について考察する。 4.原作やそのアダプテーションから文化的な問題を抽き出すことができるようになる。

授業外の学習

・授業で採りあげる作品を,各自が通読して授業に臨むことが,受講の条件となる。 ・授業に参加するだけではなく,感想・質問のリアクションペーパーの提出を課す。

所要時間: 4時間

スケジュール

  1. 教員および受講者の自己紹介。近代日本の文学史における幻想小説,ないし幻想的系譜の展開とその研究状況について概説するとともに,日本近代文学研究に必要な基礎的な手続きを説明して半期の授業の導入とする。
  2. 川端康成『化粧』をとりあげる。小説を読むための様々なアプローチ方法を提示しつつ,作品をめぐって対話的な解釈鑑賞を行う。以下に示す作家・作品,およびその順序については,受講者の人数や関心に応じて,適宜変更して実施する。
  3. 三島由紀夫『雨のなかの噴水』をとりあげる。小説を読むための様々なアプローチ方法を提示しつつ,作品をめぐって対話的な解釈鑑賞を行う。
  4. 国木田独歩『帽子』をとりあげる。小説を読むための様々なアプローチ方法を提示しつつ,作品をめぐって対話的な解釈鑑賞を行う。
  5. 内田百閒『冥途』をとりあげる。実証的な調査分析方法を講義するとともに,作品をめぐって対話的な解釈鑑賞を行う。
  6. 芥川龍之介『尾生の信』をとりあげる。実証的な調査分析方法を講義するとともに,作品をめぐって対話的な解釈鑑賞を行う。
  7. 夏目漱石『夢十夜』をとりあげる。実証的な調査分析方法を講義するとともに,アダプテーションとしての映画を用いて対話的な解釈鑑賞を行う。
  8. 泉鏡花『化鳥』をとりあげる。受講者による調査・分析を叩き台としながら,作品をめぐって,対話的な解釈鑑賞を行う。
  9. 江戸川乱歩『白昼夢』をとりあげる。受講者による調査・分析を叩き台としながら,作品をめぐって,対話的な解釈鑑賞を行う。
  10. 夢野久作『卵』をとりあげる。受講者による調査・分析を叩き台としながら,作品をめぐって,対話的な解釈鑑賞を行う。
  11. 尾崎翠『木犀』をとりあげる。受講者による調査・分析を叩き台としながら,作品をめぐって,対話的な解釈鑑賞を行う。
  12. 梶井基次郎『Kの昇天』をとりあげる。受講者による調査・分析を叩き台としながら,作品をめぐって,対話的な解釈鑑賞を行う。
  13. 大岡昇平『母六夜』をとりあげる。受講者による調査・分析を叩き台としながら,作品をめぐって,対話的な解釈鑑賞を行う。
  14. まとめ・近代日本における幻想小説とその特質

教科書

テクストは授業でプリント配布するとともに,青空文庫での閲覧や安価な文庫本の購入を指示する。

参考書

  • 『〈異界〉文学を読む』

    著者: 東郷克美・高橋広満 編

    出版社: 鼎書房 1984年

  • 『マンガで楽しむ名作 日本の文学』

    著者: 鈴木啓子 監修

    出版社: ナツメ出版 2018 年

  • 新編・日本幻想文学集成 第1巻~第9巻

    出版社: 国書刊行会 2016~2018年

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