文化交渉学特講IA
博士前期課程文学研究科 - 文化交渉学専攻
MHCU7050
コース情報
担当教員: 川口 茂雄
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 月4
形式: 対面授業
レベル: 500
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
授業参加
その他
積極的な授業参加と,授業時間外での作品鑑賞に時間をかけることが求められる。 高い意欲をもって受講いただきたい。
詳細情報
概要
2006年頃以降の日本のいわゆる深夜アニメ作品について芸術学的・哲学的に研究する。 この授業では,芸術的に優れている作品,芸術的に優れている点を論じることの可能性について,とくに検討する。 大学院授業であるため当然,芸術学や文学研究等の予備知識を一定程度有する受講者を想定しているので注意すること。 徐々にアニメ研究・アニメーション研究の文献は増加しつつあるが,他方でいまだに"あらすじ"を語る以上のものではない文献も多い。"あらすじ"だけならば映像である必要はなく,小説(文字のみの)と同じであってもよく,総合芸術的表現(オペラや人形浄瑠璃と類似した)ではないことになる。安易に文化論や社会反映論に逃げることなく,また写実主義的先入見を前提とすることなく,個別作品研究に労力を割き,作品ごとの画面の構図や時間編集etc.に着目することが肝要であろう。そのうえでシナリオについての細かな文学研究的検討も非常に重要であることは言うまでもない。 作品を視聴し,その視聴の時間的経験からのみ語りうることを言語化できるように,皆で努め工夫してゆく機会になればと思う。 参加者がそれぞれ発表をおこない,質疑応答を通じて,作品や表現の理解を深めることをめざす。 概観的な講義回の後に,参加者による日本語での発表と質疑応答,討論をおこなってゆく。またタイミングが許せば人形浄瑠璃(文楽)鑑賞を授業の一環として取り入れる可能性がある。
目標
・アニメ作品について論じるための概念・言葉を取得すること ・アニメ作品の各箇所の画面づくりや時間編集に着眼する仕方を身につけること ・優れている作品はどのように優れているのかを,一定程度に言語化して説明できるようになること ・博士後期課程在籍の受講者に該当する目標としては,専門的な論文作成に使用可能な水準の語彙・概念を身につけること
授業外の学習
dアニメストアを事実上「教科書」として使用するので,加入しておくこと。 予習および発表の準備が必須となる。
所要時間: 190分
スケジュール
- オリエンテーション 発表の日程など ※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがあ りうる
- 概観講義① 2006年以降の優れた深夜アニメ作品
- 概観講義② 絵画,人形浄瑠璃,オペラ,ミュージカル
- 概観講義③ アニメ作品のOPを味わう
- 概観講義④ 構図
- 概観講義⑤ 質感
- 概観講義⑥ テーマ
- 発表と討論① 『Re:ゼロから始める異世界生活』について
- 発表と討論② 『すべてがFになる』について
- 発表と討論③ 『Steins;Gate』について
- 発表と討論④ 『PSYCHO-PASS』について
- 発表と討論⑤ 『SHIROBAKO』について
- 発表と討論⑥ 『アキバ冥途戦争』について
- 発表と討論⑦ 『86』について
教科書
下記参照
〈戦い〉と〈トラウマ〉のアニメ表象史
著者: 森茂起・川口茂雄(編)
出版社: 日本評論社・2023年
dアニメストア
参考書
『アニメーション研究』(学会機関誌)
著者: 日本アニメーション学会