環境生態学
博士前期課程地球環境学研究科
MGGE7570
コース情報
担当教員: 田中 嘉成
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 土3
形式: 対面授業+オンライン授業(オンデマンド授業,同時双方向型授業(Zoomなど)) /Alternating face-to-face & A
レベル: 600
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
レポート
その他
履修生は必ずMoodleに登録し,講義資料を毎週ダウンロードし,学習すること。また,必要な通知もMoodleを通して行います。Moodleに登録しないと単位は取得できません。講義はZoomによって同時配信するハイフレックス形式をとります。
詳細情報
概要
地球環境問題として最も危惧されている生物多様性や生態系の危機に関して,その問題の本質と解決策の有効性の理解に欠かせない,生態学,進化生物学,保全生物学の基礎理論と応用を概説する。希少種の保全,外来種の侵入,温暖化による生態系の変化,湖沼の富栄養化などの具体的かつ時事的な環境問題を取りあげるとともに,これらの現象の背後にある生態学や進化学における一般原理に焦点を当てる。 毎回,講義の最後に小テストをします。回答をリアクションペーパーとして,講義後1週間以内にMoodleに提出すこと(600字以内)。
目標
生物多様性や生態系の異変として現れる多様な環境問題の多くを,生態学や保全生物学等の自然科学の視点から捉えることのできる見識を身につけることを到達目標とする。個々の現象が,いくつかの重要な基本原理を介して相互に関連していることを理解するため,エコロジー・環境科学分野の基礎的な概念を十分に理解することが求められる。
授業外の学習
履修生をいくつかのグループに分け,与えられた課題に対して,学んだ内容をベースにして調べ,自分たちの考えをまとめてください。教室内もしくはZoomを使ったミーティングでグループごとに発表してもらいます。このようなアクティヴ・ラーニングを1回計画しています。アクティヴ・ラーニングの内容は,グループでプレゼンテーションし,各自レポート(各1,200字以内)としても提出してください。
所要時間: 授業時間外に,概ね190分の予習・復習を実施してください。
スケジュール
- 生物多様性と生態系の危機 生物の大量絶滅,面積-種数関係を使った絶滅率の推定,種の定義
- 生物の人口論 個体群生態学の基礎,ロジスティック方程式の解析,「成長の限界」と環境収容力
- 種間相互作用が支える生態系の構造と機能 群集生態学および食物網生態学の導入
- 食物網と生態系の安定性 生態系の安定性の定義と,その要因としての種間相互作用の複雑性の解説
- 湖沼の富栄養化と生態系の健全性 富栄養化現象の解説,生態系のレジリエンス概念の導入
- 生態系のレジームシフトと地球システムの境界 相互作用系である生態システムにおける,相転移による不可逆的環境変化 (課題学習)与えられた課題についてその対応をグループ内で議論する。
- (アクティブラーニング)与えられた課題に対して,グループごとに議論し活動方針を決定する。
- 生物の環境への適応 集団遺伝学による生物進化の基礎理論の解説
- 生物多様性はどのように創り出されたか:種分化 進化量的遺伝学の導入,種分化過程の解説
- 絶滅危惧種とレッドデータと絶滅リスク 絶滅危惧種カテゴリーの解説,保全生態学の応用
- 生態系を脅かす外来種の侵入 侵略的外来種がもたらす生態系への悪影響を,進化学と生態学の理論から解説
- 地球温暖化と生態系の適応 地球規模の環境変化に対する野生生物の適応進化による対応
- (課題学習)与えられた課題についてその対応をグループ内で議論し,発表の方法を検討する。
- (アクティブラーニング)グループによるプレゼンテーション 与えられた課題に対する調査内容をグループごとに発表する。
教科書
論文等の文献資料を適宜紹介するため,テキストは指定しない。
参考書
その他の参考書や文献は講義資料において紹介する。
保全生物学のすすめ 改訂版
著者: プリマック
出版社: 文一総合出版
生態学入門第2版
著者: 日本生態学会編
出版社: 東京化学同人
生態学 原初第3版
著者: ベゴン・ハーパー・タウンゼンド
出版社: 京都大学出版会