環境リスクマネジメント

博士前期課程地球環境学研究科

MGGE6025

コース情報

担当教員: 織 朱實

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 水1

形式: 対面授業+オンライン授業(オンデマンド授業,同時双方向型授業(Zoomなど)) /Alternating face-to-face & A

レベル: 600

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

60%

授業参加

10%

リアクションペーパー

20%

レポート

10%

その他

出席状況/Attendance (60.0%) 欠席を3回以上した場合は不合格となる。 授業参加/Class participation (10.0%) リアクションペーパー/Reaction paper/in-class assignments (20.0%) レポート/Report assignments, mid-term/final paper (10.0%) その他/Others(in detail) :授業形式は,基本的には同時配信授業を中心に行う。あわせて,①授業で指示を行う複数回においては,オンデマンド講義を事前にアップする。それを聴講のうえ,オンデマンド講義で提示された課題を,同時配信授業まで予習として行う。 ②同時配信授業において,オンデマンド講義で提出された課題について質問,意見交換を行うことをもって,授業参加として評価する。 ③毎回,同時配信授業の後にリアクションペーパーを提出してもらい,これを評価の対象とする。 ④最終講義において,自分で選択したリスクマネジメントをテーマに授業の理解度を示す発表を行う。使用したパワーポイントを提出してもらい,評価の対象とする。

60%

詳細情報

概要

授業の概要は,科学技術が進歩し,様々な化学物質が社会生活の中で使用されている現在では,従来の特定の物質を一定量規制するだけの規制的手法では限界がある。そこで,環境リスクという概念のもとで,環境リスクを社会全体でコントロールしていくという,環境リスクマネジメントというアプローチが重要になってくる。環境リスクマネジメントを有効に機能させるためには,情報公開,リスクコミュニケーション,市民参加のあり方も検討されなければならない。リスクの理解を深めるため,食品リスク,自然災害リスク,製品リスクについてはゲストスピーカーを招聘し同時配信講義を行う。

目標

個別の環境問題ごとに,環境リスクをどのようにとらえマネジメントしていくかについて理解する。 そのために以下の項目について理解することが期待される。 1)リスク概念 2)リスクコミュニケーション概念 3)リスクマネジメント手法 4)リスクマネジメントおよびリスクコミュニケーションの難しさ,限界 授業全体の目標は 1) リスクの基礎知識を修得する。 2) リスクに関する十分な知識を持ち,それらを実際の社会生活や自分の研究に応用することができるよ うになる。 3) 自分の選択したリスク問題を論理的に記述し,的確に発表し,討議(ディスカッション) を行うことができるようにする。 少なくとも一つの外国語を用い基礎的なコミュニケーションを行うことができるようになる。

授業外の学習

各講義テーマに関する情報収集を行い,講義で扱う内容について広く知識を得 ること。また,実際に起きている問題と結び付けて考える力を養うための復習を行うこと。 1) 授業で提示される参考文献・資料を読み,同時配信授業に出席する。予習時間としては,1-2 時間程度が期待される。 2) 予習・復習時間とも毎週授業時間と同等の時間が必要となる。 3)最後の回で要求される発表者は,発表準備に12時間以上かけ,パワーポイントを作成し,発表を行う。

所要時間: 190

スケジュール

  1. リスクマネジメント総論 リスクとは何か,リスクマネジメントとは何か。
  2. 化学物質をめぐる環境リスクマネジメント(1) 化学物質審査法とPRTR法をテーマに,日本における化学物質リスクマネジメント制度の構造を理解。また,最新の動向として,EUのREACH,製品含有物質とその表示等世界の化学物質リスクマネジメントの動向についても講義を行う。
  3. 化学物質をめぐる環境リスクマネジメント(2) 規制値の設定方法,化学物質をめぐるリスクマネジメントの最新動向を紹介する。
  4. 製品安全とリスクマネジメント 製品をめぐるリスクの評価手法,マネジメントを具体例を挙げながら学ぶ。
  5. 自然災害とリスクマネジメント 自然災害リスクマネジメント手法としての保険,自然災害のリスク評価について学ぶ。
  6. 食品をめぐる環境リスクマネジメント。 残留農薬,遺伝子組み換え,食品添加物など,食の安全にかかわる法制度を環境リスクの観点から検討を行う。
  7. 廃棄物をめぐる環境リスクマネジメント(1) 廃棄物の不法投棄,不適正処理および廃棄物の越境移動について取り上げ,廃棄物処理法を環境リスクマネジメントの観点から分析を行う。とともに,廃棄物の越境移動に伴うアジアの環境リスクの現状と循環型社会形成についての
  8. 土壌汚染をめぐる環境リスクマネジメント(1) 国内の土壌汚染の事例をもとに,土壌汚染対策法を環境リスクマネジメントの観点から検討を行う。また,米国,オランダ,英国等の土壌汚染対策を環境リスクマネジメントの観点から,我が国の対策との比較を行う。
  9. リスクマネジメントと基準 リスクマネジメントにおいて重要な役割を示す基準値をめぐる誤解,思い込みについて事例をあげながら検証を行う。
  10. リスクコミュニケーション総論(1) 環境リスクマネジメントを適切に実施するために重要な要素であるリスクコミュニケーションについて,基本的理解を深める。リスクコミュニケーションとは何か。リスクコミュニケーションをめぐる問題と限界について,個別の環境分野ごとの検討を行う。
  11. リスクコミュニケーション総論(2) クライシスコミュニケーションとリスクコミュニケーションの比較,クライシスコミュニケーションのポイント
  12. 企業の環境リスクマネジメントの実践(1) 工場操業および新設にかかわる環境リスクマネジメントについて検討を行う
  13. 企業の環境リスクマネジメントの実践(2)。今までの講義をベースに実際に工場にかかわる環境リスクがどのように行われているのか,事例紹介を行いながら実践的な検討を行う。
  14. 各自,自分が選択した「リスクマネジメント」のテーマに沿った発表を行ってもらい,授業内容の理解度を図る。

教科書

教科書は指定せず必要に応じて資料を配付する。

    参考書

    村上, 永井, 小野, 岸本『基準値のからくり』ブルーバックス (2014

    • 『リスク・コミュニケーション―相互理解とよりよい意思決定をめざして』

      著者: 吉川肇子

      出版社: 福村出版(1999)

    • 『環境リスク管理と予防原則』

      著者: 植田和弘・大塚直

      出版社: 有斐閣(2010)

    • 『環境リスク学―不安の海の羅針盤』

      著者: 中西準子

      出版社: 日本評論出版社(2004)

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