日本の環境法

博士前期課程地球環境学研究科

MGGE6000

コース情報

担当教員: 織 朱實

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期集中

曜限: その他

形式: 対面授業+オンライン授業(オンデマンド授業,同時双方向型授業(Zoomなど)) /Alternating face-to-face & A

レベル: 600

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

50%

授業参加

10%

リアクションペーパー

20%

レポート

20%

その他

授業において,課題について質問,意見交換を行うことをもって,授業参加として評価する。 毎回,同時配信授業の後にリアクションペーパーを提出してもらい,これを評価の対象とする。 12回講義終了ののちに,レポートあるいは発表を実施してもらい,これを評価の対象とする。

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詳細情報

概要

わが国の環境関連法と諸外国の環境法との比較分析を通して,わが国の環境法の構造と意義,課題を理解してもらうための,講義を行う。 具体的には,総論で環境法の位置づけ,政策手法との関係,諸原則について理解してもらう。さらに,大気,水,土壌,廃棄物,化学物質の個別法について講義を行う。 適宜,ビデオを活用しながら,環境汚染対策の現場ではどのような問題が発生しているのかの理解を深めてもらう。博士課程の学生にはこれらの基本的な講義を踏まえたうえでの,学問的分析を行うための設問を行っていく。また,少なくとも一つの外国語を用い基礎的なコミュニケーションを行うことができるようになるような授業とする。 オンライン授業となったため,①オンデマンド授業の配信と②同時配信授業を組み合わせて授業を行う。①同時配信授業に先駆け15分程度の録画した講義内容をLoyolaにURLをアップするので,それを事前に学習し,その学習を前提として,②Zoomによる同時配信授業で対話を行いながら講義の内容を補完していく。成績は,①のオンデマン授業で要求された課題を,②の同時配信授業で確認すると同時に,毎回同時配信授業後に提出してもらうリアクションペーパー,最後の全体レポート提出および補講での発表で評価を行う。

目標

環境法の基本的な構造を理解したうえで,各種法律の相互関係,国際比較法的視点からの分析を行うための解釈論を学ぶこと。 1) 環境法政策の分野における基礎知識を修得する。 2) 環境法に関する十分な知識を持ち,判例諸外国の事例を勉学することにより,それらを応用することができるよ うになる。 3) 自分の選択した環境法を体系的に理解し,各環境法の相互関係を理解するだけでなく,論理的に記述し,的確に発表し,討議(ディスカッション) を行うことができるようにする。

授業外の学習

1)毎回,次回の講義テーマを提示するので,参考文献の関連個所を熟読し,自分なりに内容を把握したうえで,授業に臨むこと。予習時間としては,2-3 時間程度が期待される。 オンデマンド授業において,課題を提供するので,それを同時配信授業までに,実施することが要求される。 2)授業の内容については,毎回リアクションペーパーの提出を行ってもらうので,そこで当日理解した内容を自分なりに文章にまとめてもらう。 3)授業後に授業の内容をまとめたメモを作成し,グループディスカッションに向けてレジュメを準備する。作成時間としては, 1 -2時間程度。 4)予習・復習時間とも毎週授業時間と同等の時間が必要となる。

所要時間: 190

スケジュール

  1. ①日本の公害・環境法の歴史,環境問題の特色について講義を行う。いかに,日本が公害を克服し環境基本法制定へと至った経緯とそこでの争点,判例ついて講義を行う。 ②現在の地球環境問題の特色および個別環境法の構造 環境政策の手法について学ぶ。規制的手法,経済的手法,自主的取組促進手法,情報開示手法等,具体的手法の適用事例を分析しながら,その適用場面,限界・課題等について考察する。
  2. 環境基本法と環境基本計画について,社会の流れと環境問題の変化に対して,環境基本法と環境基本計画がどのように対応してきたのかを学ぶ。
  3. 環境影響評価法について講義を行う。事前の調査予測評価手続きを理解するとともに,環境的な要素を意思決定に組み込む制度としての環境アセスメントの特色を理解する。情報公開と市民参加の観点からも制度を分析する。
  4. ①大気汚染防止法について,制定の背景,趣旨,基本的構造について理解する。さらに,大きな改正の背景を理解しながらその課題について検討する。 ②自動車排ガス規制について,NoxPM法など自動車排ガス規制法について,制定の背景,趣旨,基本的構造について理解する。さらに,いくつかの改正の背景を理解しながらその課題について検討する。
  5. ①水質汚濁防止法について,制定の背景,趣旨,基本的構造について理解する。さらに,いくつかの改正の背景を理解しながらその課題について検討する。 ②水質に関わる最近の問題,湿地保全,水域管理,生活排水などテーマをあげながら,現在の水質汚濁防止法の限界について諸外国と比較しながら検討する。また,実際の企業の取組などを紹介する。
  6. 土壌汚染対策法について,制定の背景,趣旨,基本的構造について理解する。さらに,大きな改正の背景を理解しながらその課題について検討する。豊洲市場問題など,実際に問題となった土壌汚染の事例の分析も行う。
  7. 廃棄物処理法を巡る諸問題,特に産業廃棄物の不法投棄,不適正処理について構造的問題を明らかにしながら,いくつもの改正の流れを整理する。また,実際の問題事例をあげながら,住民参加のありかた,リスクコミュニケーションについても講義を行う。
  8. 循環型社会に関する法(1)循環型社会形成促進のための法制度の一つとして,廃棄物とリサイクルに関連する諸法を学び,現在の問題点と今後の課題を明らかにする。第一回は,容器包装リサイクル法について講義を行う。
  9. 循環型社会に関する法(2) 循環型社会形成促進のための法制度の一つとして,廃棄物とリサイクルに関連する諸法を学び,現在の問題点と今後の課題を明らかにする。第二回目は,家電リサイクル法および小型家電リサイクル法について講義を行う。
  10. 生物多様性保全についての取組について,自然公園法,生物多様性,外来種対策,野生生物保全に関する法律など,自然の再生保全事業の概要と生物保全全体の法体系を学ぶ。
  11. 離島を巡る環境法について,広く水資源問題,希少生物保全,オーバーツーリズムなどの解決手法としての法律の限界について小笠原諸島を題材としながら解説を行う。
  12. 学生による自国あるいは関心のある環境法の発表 あるいは現在の地球温暖化,気候変動などを巡る原子力政策等について広く解説を行う。
  13. 学生による自国あるいは関心のある環境法の発表 あるいは環境を巡る環境訴訟の動向について広く解説を行う。
  14. 最後の授業は,コロナウィルスの状況によるが可能な限りゲストスピーカーの招聘,リサイクル施設等の見学,SDGsカードゲーム,ソフィアシンポジウムの参加などで代替する。

教科書

教科書は指定せず必要に応じて資料を配付する。

  • 『ロースクール環境法』(第二版)

    著者: 松村・柳・荏原・小賀野・織

    出版社: 成文堂(2010)

  • 環境法へのアプローチ(第二版)

    著者: 黒川・奥田編

    出版社: 成文堂(2013)

  • ビジュアルテキスト環境法

    著者: 上智大学環境法教授団

    出版社: 有斐閣(2020)

参考書

  • 『環境法』(第三版)

    著者: 大塚直

    出版社: 有斐閣(2010)

  • ごみから考えるSDGs

    著者: 監修 織 朱實

    出版社: PHP出版(2020)

  • 『環境六法』

    出版社: 有斐閣

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