言語障害研究特殊講義A(機能性構音障害)/SPEC'L STUDIES

博士前期課程言語科学研究科

MFLC7120

コース情報

担当教員: 浅野 和海

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期集中

曜限: その他

形式: 対面授業

レベル: 500

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

30%

授業参加

30%

リアクションペーパー

7%

レポート

6%

授業内期末試験

授業期間中

20%

小テスト等

7%

詳細情報

概要

小児の機能性構音障害を中心として,構音障害について学ぶ。まず基礎として構音器官の構造について理解し,音声学で学んだ知識(IPA)を用いて日本語の構音(調音)を理解することから開始する。そして構音の発達,小児にみられる構音の誤り,構音障害の特徴について学ぶ。目標は,音声学的視点および子どもの発達的視点から構音障害が理解できるようになることである。 その後,実際の構音の聴取を通じて構音障害を正しく聴取する技術を身に着ける。また,評価・診断としての諸検査,構音検査,および情報収集の内容と実施法を学び,学生同士で検査を体験する演習を行う。さらに結果の分析と収集した情報から訓練の適否を判断することを学習する。目標は,子どもの構音を聴取して誤り音を抽出し,その他の情報と総合して訓練の適応の有無を判断出来ることとする。 構音訓練については,訓練プログラムの立案,系統的構音訓練の段階および基本的手技について学び,学生同士で訓練指導を体験する演習を行う。目標は,訓練計画を立案し,訓練対象音と表出された構音に対して的確なモデル呈示,指示,刺激,および適切なフィードバックが実践できることとする。 授業全体を通じ,実際の構音障害例の構音を聴取する練習を行うこと,ST役と子供役となって評価・訓練の演習を行うことを重視する。 随時,学習内容の確認のためのミニテスト等を実施する。

目標

(1)音声学的視点から,日本語の構音(調音)を理解する。 (2)発達の視点から小児にみられる機能性構音障害を理解することができる。 (3)機能性構音障害の聴取,評価を正しく行うことができる。 (4)適切な情報収集,検査を実施して,背景因子を踏まえて訓練の適応の有無を判断し,訓練計画が立案できる。 (5)訓練計画に沿って誤り音のグループ毎に系統的構音訓練を実践することができる。 (6)ST役と子ども役を経験することで,小児の構音障害の臨床に関するイメージを持つ。

授業外の学習

1)教科書等を事前に読んで授業に出席すること。予習として,30~40分程度が期待される。 2)配布プリント,授業で紹介された参考書などに基づいて30~40分程度復習して次回の授業に臨むこと。 3)IPAを復習し,聞き取った音をIPAを用いて記載できるようにする。構音の聴き取りは,学科が保有する様々な誤り音のサンプルについて30~60分程度の自主練習が必要である。 4)誤り音の訓練方法の演習は,学期の後半に行われる。授業以外の時間を使って30~60程度学生同士での練習が必要である。 5)指定された事例の構音評価を行い,評価のまとめのレポートを作成して提出する。約5時間が必要である。

所要時間: 200分程度

スケジュール

  1. 構音障害概論,機能性構音障害の概念,発声発語器官と鼻咽腔閉鎖機能について学ぶ *以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがありうる。
  2. 日本語の構音を音声学的な視点から理解する。構音の発達,小児にみられる構音の誤り(発達途上にみられる誤り)の概説を行う
  3. 評価(1)口腔内の形態・動態の評価,発達の評価,構音器官の運動機能検査,鼻咽腔閉鎖機能検査(概説),聴力の評価
  4. 評価(2)構音検査ー1「新版構音検査」の目的と実施方法の概説
  5. 評価(3)構音検査ー2「新版構音検査」の各下位検査の詳細を説明し,演習を行う
  6. 評価(4)構音検査ー3「新版構音検査」の各下位検査の詳細を説明し,演習を行う
  7. 評価(5)構音検査ー4「新版 構音検査」の結果の分析の概説
  8. 評価のため,および訓練の適応の有無を判断するための情報収集について学ぶ
  9. 構音訓練の適応の有無の判断,保護者への説明,治療(構音訓練)の概要について学ぶ
  10. 訓練プログラムの立案,系統的構音訓練について学ぶ 訓練法(1)構音器官の基礎的な運動の訓練,母音 など
  11. 訓練法(2)s ts dz など
  12. 訓練法(3)k g など
  13. 訓練法(4)側音化構音に対する訓練 など 事例について学ぶ
  14. 機能性構音障害の評価と指導のまとめ 授業内試験

教科書

以下を教科書として指定する。

  • 言語聴覚士テキスト 第3版

    著者: 大森孝一 他

    出版社: 医歯薬出版 2021年 第6刷

参考書

以下を参考書として示す。

  • 発話障害へのアプローチ

    著者: 広瀬肇 他

    出版社: インテルナ出版 2015年

  • 構音障害の臨床 改訂第2版

    著者: 阿部雅子

    出版社: 金原出版 2008年

  • わかりやすい側音化構音と口蓋化構音の評価と指導法ー舌運動訓練活用法ー

    著者: 山下夕香里 他

    出版社: 学苑社 2020年

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