聴覚障害学特論C(補聴器)
博士前期課程言語科学研究科
MFLC7041
コース情報
担当教員: 佐藤 正幸
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 金4
形式: 対面授業
レベル: 500
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 不可
評価方法
授業参加
リアクションペーパー
レポート
その他
授業参加10%,リアクションペーパー20%,レポート(期末)70%として,レポートは作成要領(授業で説明する)に従って作成する。
詳細情報
概要
授業の内容としては,補聴器の特徴,聴覚障害児・者における補聴器の必要性などを学び,補聴器フィッティングの理論を学習する。実際には,補聴器を聴覚障害児・者の聴力の状況に応じた調整する補聴器フィッティングの実習を行う。 さらに,補聴器の装用効果を上げるために補聴器と補聴援助システムの併用についても題材として取り上げ,補聴器と補聴援助システムの調整についても実体験を行う。 最後に,補聴器装用,補聴器活用支援に関わるカウンセリングの実際について解説を行う。
目標
1)聴覚障害と補聴器の分野における基礎知識を修得する。 2)補聴器に関する十分な基礎知識を有し,それらを補聴器フィッテイングに活かせることができるようになる。 3)補聴器装用,補聴活用支援に関わるカウンセリングを実施できる知識,技能を修得する。
授業外の学習
【予習】(所要時間:各回 80分程度) ・授業で使用する資料を読んでおく。 ・必要に応じて参考資料(補聴器フィッテイングの考え方(小寺一興 著)を精読しておく。 【復習】(所要時間:各回 110分程度) ・講義で用いた資料をもう一度見直し,授業時に記録した自筆ノートなどを利用し, 講義内容を総括してみる。また必要に応じて関連する参考資料を検索してみる。 ・授業後に出た疑問点については,資料を再度確認したり,担当教員にメール等で質問したりして疑問点の解消を図る。
所要時間: 190分
スケジュール
- イントロダクション・補聴器の種類と適応(1) *以下は予定であり授業の進捗状況によりテーマの回数を変更することがありうる 補聴器はどのような人が適応対象なのか,補聴器を装用する意義について解説し,理解を深める。
- 補聴器の種類と適応(2) 補聴器にはどのような種類があり,それぞれどのような特徴を有するのかについて解説し,理解を深める。
- デジタル補聴器とアナログ補聴器 現在,販売されている補聴器はほとんどがデジタル補聴器であるが,デジタル補聴器以前のアナログ補聴器の仕組みについて論じ,補聴器の歴史的変遷を振り返ることによってデジタル補聴器の発展的意義を確認する。
- 補聴器の周波数特性(1) 補聴器を実際に使用し,補聴器の周波数特性を補聴器特性測定装置で測定する(最大出力音圧,音響利得周波数レスポンス)
- 補聴器の周波数特性(2) 補聴器を実際に使用し,補聴器の周波数特性を補聴器特性測定装置で測定する(利得調整器の調整による利得の変化,ノンリニア補聴器の特性)
- 補聴器調整の基本事項 補聴器を調整する前に必要な情報とは何か,補聴器調整の際に必要な音響利得はどのくらいか,最大出力音圧の調整はなぜ必要かというような補聴器調整の基本事項について理解を深める。
- デジタル補聴器の選択と調整(1)実習 デジタル補聴器の選択と調整について実際にフィッティングソフトを用いて実習を行う(最大音響利得,最大主力音圧)。
- デジタル補聴器の選択と調整(2)実習 デジタル補聴器の選択と調整について実際にフィッティングソフトを用いて実習を行う(マルチチャンネル音声処理,ノンリニア増幅)。
- デジタル補聴器の選択と調整(3)実習 デジタル補聴器の選択と調整について実際にフィッティングソフトを用いて実習を行う(ノイズキャンセリング ハウリングキャンセリング)。
- 補聴器装用時の聴力 補聴効果 補聴器をフィッティングした後に,補聴器装用時の聴力にどのような変化がみられたか,語音の聴き取り能力はどのように変化したのか,補聴効果の検証について解説する。
- 補聴器使用時における諸問題(騒音など) 補聴器をフィッティングし,装用したのみでは音声は十分に聴こえるようになるのではない。補聴器を装用する際,周囲の騒音を抑制するなど音環境にも留意する必要がある。この諸問題について理解を深める。
- 補聴援助システムの活用 複数の人の音声が飛び交っている音環境下などで補聴器のみでは十分に聴き取れないことが多い。ここでは補聴器の周辺機器とも言われる補聴援助システムを併用するとどのように改善するのかを論ずる。
- 補聴器カウンセリング 補聴器の機種選択を行いフィッティングする際,ただ単にオージオグラムから読み取った聴力レベルのみで判断するのではない。補聴器装用者本人のコミュニケーション意欲,補聴器を通した音環境へのアクセス,補聴器を通して得られる音に対する情緒,音がきこえることによる心身の安定についても考慮する必要がある。補聴器カウンセリングでは,これらのことについても十分に反し合う必要がある。
- 補聴器と聴覚活用の意義 補聴器を通した聴覚活用とは,ただ単に音声コミュケーションだけのものだろうか。音をきいて情緒を感じる,音をきいて周囲の音環境を知るなどについても聴覚活用の意義がある。音と人間の関わりを考えながら,補聴器を通した聴覚活用の可能性を議論する。
教科書
教科書を指定せず,授業回毎に資料を配布する。
参考書
購入を必須とするものではない。必要に応じて参考にすること。また,参考書3については無料でダウンロードできるので是非閲覧して欲しい。
補聴器フィッテイングの考え方
著者: 小寺一興
出版社: 診断と治療社・1999年
教育オージオロジーハンドブック
著者: 大沼直紀,立入哉,中瀬浩一
出版社: ジアース教育新社・2017年
補聴援助が必要な学生がきたらー「きこえ」を保障するためにー https://tsukuba-tech.repo.nii.ac.jp/record/1710/files/353.pdf
著者: 佐藤正幸,大内真梨奈,萩原彩子,石野麻衣子
出版社: 筑波技術大学・2018年