社会科学の方法論2(応用)
博士前期課程グローバル・スタディーズ研究科 - 国際関係論専攻
MFIR6870
コース情報
担当教員: 小林 誉明
単位数: 2
年度: 2024
学期: 2クォーター
曜限: 水5, 水6
形式: 同時双方向型授業(Zoomなど)
レベル: 500
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
レポート
小テスト等
詳細情報
概要
本講義は,グローバル化が深化し複雑化が進む現代世界で起こっている様々な事象を,自らの手で「分析」するための「科学的」な「考え方」と「技法」を修得することを目的とした初学者向けの講義である。すなわち,実証的な分析手法の一つとしての統計的解析(数量分析)の方法を身に付けるとともに,社会科学の研究プロジェクトを自ら設計し推進していくために不可欠な社会科学の発想法を身に付けることを目指す。 講義スケジュールとしては,研究者が直面する実際の研究プロセスと同じ流れになるように進んでいく。すなわち,研究の設計(リサーチ・デザイン)から始まり,データの収集,記述統計,推測統計と進む。統計ソフトを用いて実際のデータの分析を行い,その分析結果の解釈を行い,結論を導くところまで一通りの分析のサイクルを経験する。 最終的には講義の全般を通して,各人が自らの設定したテーマのもとに研究成果を報告することまでを目指す。実証分析の一連のプロセスを経験することを通じて,研究者として自らの作品をクリエイトする楽しさを味わってもらうのが狙いである。自ら生産者の立場に身を置いて見ることは,既存研究をよりよく理解するための近道でもある。 なお,社会科学の方法論1(基礎)および2(応用)は一つの講義として体系化されているため,必ず両講義を併せて受講すること。
目標
本講義は統計学を学んだことのない学生を念頭においているが,講義を通じて以下の4つの到達点に達することを目指す。 1. 社会科学における実証分析(数量分析のみならず事例分析も含めた)の基本的な考え方を身に付けること 2. 統計的な手法を用いて作成された文献を読んで理解できるようになること 3. 科学的な方法論に則った研究の設計(リサーチ・デザイン)が自らできるようになること 4. 統計ソフトを自ら操作し,簡単な実証分析をまわせるようになること
授業外の学習
自宅にて持ち帰りの課題を小テストとして出すことがある。また,授業の進捗にあわせて,自らの研究プロジェクトを進めていくことが求められるが,これは必然的に講義外での自習を伴うものとなる。
所要時間: 200分
スケジュール
- 仮説モデルを検証するデータをいかに整理するか?: コーディング,クリーニング,ダミー変数,代理変数
- データをいかに要約するか?: ヒストグラム
- データからどんな情報を読み取るか?: 平均と標準偏差
- 二つの変数の関係をいかに捉えるか?: 相関係数
- 入手できたデータからいかに普遍的真理の推論をたてるか?: 母集団と標本
- 入手できたデータからいかに普遍的真理を読み解けるか?: 仮説検定の考え方
- 変数間の関係性をいかに検証するか?: 平均の差の検定
- 変数間の関係性をいかに検証するか?: 独立性の検定
- 変数間の関係性をいかに検証するか?: 分散分析/回帰分析
- 実証結果をいかに解釈するか?: 有意水準,回帰係数,残差,観測上の同値問題,分散不均一性,逆の因果関係など
- 実証結果をいかに解釈するか?: 既往研究を読みこなす
- 分析の精度を上げるためにはどんな工夫があるか?(制御変数,ログ,外れ値,欠損値,バイアス除去,交互作用など)
- 分析結果をいかに効果的に見せるか?:プレゼンテーションの技法
- 成果報告会
教科書
本講義では特定の教科書は指定しない
参考書
必要に応じて適宜紹介する
創造の方法学
著者: 高根正昭
出版社: 講談社新書,№553
社会科学のリサーチ・デザイン―定性的研究における科学的推論
著者: キング・コヘイン・ヴァーバ
出版社: 勁草書房,2004年