社会科学の方法論1(基礎)
博士前期課程グローバル・スタディーズ研究科 - 国際関係論専攻
MFIR6860
コース情報
担当教員: 小林 誉明
単位数: 2
年度: 2024
学期: 1クォーター
曜限: 水5, 水6
形式: 同時双方向型授業(Zoomなど)
レベル: 500
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
レポート
小テスト等
詳細情報
概要
本講義は,グローバル化が深化し複雑化が進む現代世界で起こっている様々な事象を,自らの手で「分析」するための「科学的」な「考え方」と「技法」を修得することを目的とした初学者向けの講義である。すなわち,実証的な分析手法の一つとしての統計的解析(数量分析)の方法を身に付けるとともに,社会科学の研究プロジェクトを自ら設計し推進していくために不可欠な社会科学の発想法を身に付けることを目指す。 講義スケジュールとしては,研究者が直面する実際の研究プロセスと同じ流れになるように進んでいく。すなわち,研究の設計(リサーチ・デザイン)から始まり,データの収集,記述統計,推測統計と進む。統計ソフトを用いて実際のデータの分析を行い,その分析結果の解釈を行い,結論を導くところまで一通りの分析のサイクルを経験する。 最終的には講義の全般を通して,各人が自らの設定したテーマのもとに研究成果を報告することまでを目指す。実証分析の一連のプロセスを経験することを通じて,研究者として自らの作品をクリエイトする楽しさを味わってもらうのが狙いである。自ら生産者の立場に身を置いて見ることは,既存研究をよりよく理解するための近道でもある。 なお,社会科学の方法論1(基礎)および2(応用)は一つの講義として体系化されているため,必ず両講義を併せて受講すること。
目標
本講義は統計学を学んだことのない学生を念頭においているが,講義を通じて以下の4つの到達点に達することを目指す。 1. 社会科学における実証分析(数量分析のみならず事例分析も含めた)の基本的な考え方を身に付けること 2. 統計的な手法を用いて作成された文献を読んで理解できるようになること 3. 科学的な方法論に則った研究の設計(リサーチ・デザイン)が自らできるようになること 4. 統計ソフトを自ら操作し,簡単な実証分析をまわせるようになること
授業外の学習
自宅にて持ち帰りの課題を小テストとして出すことがある。また,授業の進捗にあわせて,自らの研究プロジェクトを進めていくことが求められるが,これは必然的に講義外での自習を伴うものとなる。
所要時間: 200分
スケジュール
- イントロダクション―研究をデザインする―
- 社会が直面している現実的課題をいかに見いだすか?: 探求すべき課題の特定
- 現実課題の解決に向けて学問はどのような役割をもつのか?:研究課題の設定
- 研究課題はいかにして解くことが可能となるか?: リサーチ・クエスチョンへの変換
- れまで課題はどのようなものとして捉えられてきたのか?: ディシプリンという枠組
- 課題が解決/発生する/しないメカニズムはどこまで明らかになっているのか?: 先行知見のサーベイ
- 通説では説明しきれない反証事例はないか?: パズルの発見
- パズルをストレートに説明しうるロジックはないか?: オリジナルな仮説の導出とモデル構築
- 知りたいことを明らかにできるモデルが組まれているか?:分析単位,内生性
- 仮説モデルを検証するデータをいかに収集するか?: データセットの活用
- 仮説モデルを検証するためのデザインをいかに組むか?: 観察手法&実験手法
- 仮説モデルを検証するフィールドをいかに選定するか?: フィールド調査の技法
- 仮説モデルを検証するデータをいかに生成するか?: 質問票の作成
- 中間報告
教科書
本講義では特定の教科書は指定しない
参考書
必要に応じて適宜紹介する
創造の方法学
著者: 高根正昭
出版社: 講談社新書,№553
社会科学のリサーチ・デザイン―定性的研究における科学的推論
著者: キング・コヘイン・ヴァーバ
出版社: 勁草書房,2004年