外交と国際協力論
修士課程グローバル・スタディーズ研究科 - 国際協力学専攻
MFIC1240
コース情報
担当教員: 山本 栄二
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 水6
形式: 対面授業
レベル: 500
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
レポート
その他
質疑応答・討論,プレゼン(各学生1回)の内容を評価します。
詳細情報
概要
講師は,40年以上に亘り外交官として,外務本省並びに国連代表部(2回),韓国(2回),東南アジア等で政策立案・交渉に従事してきました。その間に得た知見をベースに,先ずは国連に関し,安保理のしくみと役割,そしてウクライナ侵攻で明らかになった限界に迫ります。総会が果たすルールメーキングの機能に着目し,日本のリーダーシップをクメールルージュ裁判の事例を通して明らかにします。現場の平和構築の努力と日本の取り組みを東ティモール(大使で赴任)等の事例を通して説明します。次に,バイの協力を中心に日本のODAの推移と現状を解説した後,地球規模課題に対する日本の貢献,具体的にはグローバルヘルス(含む新型コロナへの対応),気候変動,外国人労働者問題(難民を含む)について学んでいきます(担当審議官乃至大使を歴任)。最後に,講師は長年朝鮮半島外交に従事し,北朝鮮には計6回訪問し,また韓国との関係では過去の歴史に起因する諸問題に取り組んできました。その際の生々しい経験と苦悩を皆さんと共有し,今後の日本の関わり方について一緒に考えていきます。 各授業では,基本的に講師がスライドなどを準備し講義しますが,皆さんとのインターアクションを重視し,質疑応答・討論にも十分な時間を充てます。また,最後の方では各学生が希望するテーマでプレゼンをしてもらい,その内容を踏まえて(期末)レポートを作成・提出してもらいます。 なお,授業は基本的に日本語で行いますが,講師は必要に応じて英語又は韓国語で学生をサポートします。
目標
1)国連外交並びにバイ・マルチの国際協力につき,基本的な仕組みと課題を習得します。 2)これらの分野で日本が果たすべき役割につき,自身の考えをしっかり持ち,議論できるようにします。 3)もって,今後皆さんが国際協力の分野で更なる研究を進めたり実務についたりしていく上での基礎を獲得します。 4)日本の安全保障にとって極めて重要な隣国である韓国・北朝鮮に関わる主要な課題を理解し,今後の対応につき自身の考えを持ち,議論していけるようにします。
授業外の学習
1)シラバスに記載した教科書・参考書に加え,事前に指定する参考文献・資料を読み,授業に出席する。(100分) 2)前回授業の復習をする。(60分) 3)プレゼン・レポートの準備・作成をする。(40分)
所要時間: 200分
スケジュール
- オリエンテーション:講師の自己紹介,シラバスに則り授業の進め方を確認,学生の希望聴取,質疑応答。「外交」について講師の経験から手短に語る。
- 国連(1):安全保障理事会(その仕組み,役割と限界:ウクライナ侵攻,北朝鮮核問題,ミャンマークーデターなどを例示しつつ講義)
- 国連(2):総会(基本的な仕組み; ルールメーキングとしての機能,クメールルージュ裁判決議の事例を通じて説明)
- 国連(3):平和構築(カンボジア,東ティモールの現場から見て解説する)
- ODA(1):基本スキーム;本省の政策決定過程;不祥事と改革;理念と開発協力大綱
- ODA(2):現場の視点で(東ティモールなどの事例)
- 地球規模課題(1):グローバルヘルス(人間の安全保障,MDGsとSDGs,G8プロセス,垂直vs水平アプローチ,ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)
- 地球規模課題(2):新型コロナ対応(ブルネイから見たパンデミックと国際協力のあり方)
- 地球規模課題(3):気候変動(適応と緩和;北極協力を通じて見た地球の温暖化)
- 外国人労働者問題: 少子高齢化への対応;難民受け入れを含む
- 朝鮮半島(1):北朝鮮の核・ミサイル開発への対応,小泉訪朝と拉致問題
- 朝鮮半島(2):日韓関係ー過去に起因する諸問題から未来志向へ
- 中国の海洋進出: 南シナ海・東シナ海;台湾有事への対応を含む
- 学生によるプレゼン:テーマは各学生の希望を踏まえ講師と相談して決めてもらいます。また,期末レポートはこのプレゼンを踏まえて作成・提出願います。
教科書
教科書に加え,授業ごとに読んでくるべき関連文献・資料を事前に連絡します。
国際連合ーその役割と機能
著者: 植木安弘
出版社: 日本評論社 2021年
日本の国際協力 アジア編
著者: 重田康博 他 編
出版社: ミネルヴァ書房 2021年
北朝鮮外交回顧録
著者: 山本栄二
出版社: ちくま新書 2022年
参考書
追加的な参考書は随時講師より案内します。
ポストコロナ社会とSDGs
著者: 川村真理 他 編
出版社: 弘文堂 2022年
北極がなくなる日
著者: ピーター・ワダムス
出版社: 原書房 2017年
現代韓国の変化と展望
著者: 山本栄二
出版社: 論創社 2008年