宗教と身体性
博士前期課程実践宗教学研究科 - 死生学専攻
MARL7150
コース情報
担当教員: 吉田 美和子
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 水5
形式: 対面授業
レベル: 500
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
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レポート
詳細情報
概要
本講義は,宗教やスピリチュアリティと身体性との関わりを,「いま,ここ」に在る身体を学びの対象とする,ソマティクスの実践を手がかりに探求する試みである。ソマティクスとは,客観的に捉えるモノとしての「身体(body)」ではなく,身体,心,スピリチュアリティを包括した内側から捉える「からだ(soma)」の経験に基づく,人間理解のアプローチであり実践である。 講義では諸宗教における身体性を概観しながら主要文献を講読し,体験型学習「からだで知るレッスン」を通じて「共に在ること」や「出会うこと」,コミュニケーションの場としての「身体=存在」を原点に,身体の直接体験による気づきや学び,そしてEmbodimentから宗教やスピリチュアリティとの関わりを探求,討議していく。
目標
宗教における身体性の位置づけと,身体と深く結びついたスピリチュアリティと宗教性について,講義と体験学習を通じて各自が「情報」としてではなく自分のからだで考え,体験を言語化し,他者とのコミュニケーションを通じて探求する基盤を得ることを目標とする。また一人一人の「個の経験」が,その差異も含めて出会いの場(Meeting place)を見出すために,どのような原理原則が必要となるのか探求する視点をもつことを目標とする。
授業外の学習
毎回の授業後,以下の学習(合計200分)を⾏うことが求められる。継続した瞑想やヨガなど身体の実践(practice)を,受講期間を通して各自行うことが求められる。 ・授業内でとりあげた瞑想やヨガなど身体実践(practice)を,各自が日々の生活で行う(140分) ・授業中に⾔及された⽂献や参考⽂献を読む(60分)
所要時間: 授業1回あたり200分
スケジュール
- ガイダンス:そして今,あなたは何処にいるのか? 現代社会における宗教,スピリチュアリティと身体性の課題 受講生の個別の問題意識の確認 講義スケジュールの確認(講師の都合により日程変更の可能性がある)
- からだで知るレッスン① 自分の身体に出会う:呼吸する・立つ・歩く・座る・動く
- からだで知るレッスン② 他者,そして大地と出会う Yeilding(委ねる)を体験する。つながりと可能性の場に立つ
- からだで知るレッスン③ 体験的解剖学と胎生学-受精卵からの旅 Miracle of Lifeとボディワーク
- からだで知るレッスン④ 体験的解剖学-この地に存在するための構造を知る 骨格構造と空間からの気づき
- からだで知るレッスン⑤ 体験的解剖学-生きて動くための構造 内臓のMind, 筋肉のMindを知る
- 宗教のなかの身体観① 禅における身体のとらえ方 【ゲストスピーカー:藤田一照】
- 宗教のなかの身体観② キリスト教における身体のとらえ方 Don Hanlon Johnsonの「Body, Spirit and Democracy」講読
- 宗教のなかの身体観③ 修験道における身体のとらえ方 【ゲストスピーカー:長谷川智】
- Intermission:身体経験から何を「経験」したのか?宗教のなかの身体観①
- からだで知るレッスン⑥ からだにふれる声,こころにふれる声
- からだで知るレッスン⑦ 共にあること:Art of Touch 触れることは触れられること
- 踊る身体とスピリチュアリティ,宗教性 奉納舞からコンテンポラリーダンスまで
- 総括とディスカッションー終わりなきEmbodiment 宗教性/スピリチュアリティの探求
教科書
授業内で適宜資料を配布する。
ボディワークと身心統合
著者: 清水諭・吉田美和子・遠藤卓郎
出版社: 創文企画,2014年
東洋的な見方
著者: 鈴木大拙
出版社: 岩波文庫,1997年
参考書
Body, Spirit and Democracy
著者: Don Hanlon Johnson
出版社: North Atlantic Books, 1994
身体化された心 仏教思想からのエナクティブ・アプローチ
著者: フランシスコ・ヴァレラほか,田中靖夫訳
出版社: 工作舎,2001年
内臓のはたらきと子どものこころ
著者: 三木成夫
出版社: 築地書館,1995年