民事訴訟理論と実務
専門職学位課程法学研究科
LWS61900
コース情報
担当教員: 岡庭 幹司
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 金6
形式: 対面授業
レベル: 700
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 不可
評価方法
授業参加
10%
レポート
20%
定期試験
定期試験期間中
70%
詳細情報
概要
この授業では,民事訴訟手続の基本構造,民事訴訟の基本概念を再確認しながら,実際の判例や,さまざまな設例をもとにして,民事訴訟法の理論と実務について理解を深めることを目指す。 <アクティブ・ラーニングの内容> 毎回,ディスカッション方式にて授業を進める。
目標
民事訴訟法を理論と実務の両面から把握することに努め,民事訴訟法を具体の事例に即して理解できるようになることを目指す。
授業外の学習
授業1回あたり,3時間の予習及び復習が行われることを前提として授業が組み立てられている。
所要時間: 授業1回あたり,190分の学習時間を確保し実践すること。
スケジュール
- 権利存否の判断の構造 民事紛争解決のための諸制度(和解・調停・仲裁・訴訟)及びその中における訴訟の位置付けについて理解する。さらに,観念の所産であって直接認識することができない権利の存否を訴訟においてどのようにして判断するかについて理解する。
- 民事訴訟の基本原則(1)―処分権主義 訴訟の開始及び終了並びに審判範囲の設定を当事者の権能に委ねる建前である処分権主義について理解する。
- 民事訴訟の基本原則(2)―弁論主義 判決の基礎をなす事実の確定に必要な資料の提出(事実の主張及び証拠の申出)を当事者の権能かつ責任とする建前である弁論主義について理解する。とくに,裁判上の自白の成立要件及び効果について理解を深める。
- 訴えの三類型と訴えの利益 訴えには給付・確認・形成の三類型があることを理解する。とくに,将来給付の訴え及び確認の訴えについて,それらがどのような場合に許されるか,理解を深める。
- 訴えの提起とその効果 訴え提起の手続(提訴手数料(訴訟費用)及び民事訴訟のIT化を含む。)並びに訴訟係属の効果について理解する。とくに,重複起訴の禁止について理解を深める。
- 訴訟行為 訴訟行為の意義及び種類,私法規定の(類推)適用の有無,攻撃防御方法の提出時期等について理解する。とくに,時機に後れた攻撃防御方法の却下の制度について,争点整理手続とあわせて理解を深める。さらに,請求の放棄及び認諾並びに訴訟上の和解についても理解する。
- 証拠法総論 証明の意義・対象,自由心証主義,証明責任等について理解する。とくに証明責任の分配ルールについて理解を深める。
- 証拠法各論 証拠収集の方法及び具体的な証拠調べの手続について理解する。とくに,文書提出命令及び弁護士法23条の2の照会の制度について理解を深める。
- 確定判決の効力(1) 確定判決の効力(既判力・執行力・形成力)について理解する。また,これに関連する問題,とくに一部請求後の残部請求が許されるかどうかについて理解を深める。
- 確定判決の効力(2) 判決効の主観的範囲(判決の効力の及ぶ人的範囲)について理解する。とくに,固有の防御方法を有する第三者に対する判決効の作用の仕方について理解を深める。なお,仮執行宣言など,判決効に関連する事項についても理解する。
- 多数当事者訴訟 多数当事者訴訟の審理原則について理解する。とくに,旧民事訴訟法には存在しなかった同時審判の申出がある共同訴訟について理解を深める。あわせて,民法改正によって影響を受けた債権者代位訴訟についても理解する。
- 訴訟参加 補助参加の要件,補助参加人の地位,参加的効力について理解を深める。
- 上訴 裁判に対する不服申立ての方法について理解する。とくに,いかなる場合に上訴の利益が認められるかについて,理解を深める。
- 送達の瑕疵と救済方法 手続保障の第一歩である送達の重要性について理解するとともに,送達に瑕疵があったため知らないうちに判決を受けた当事者を救済する方法(上訴の追完,再審)について理解を深める。
- 定期試験 以上の理解を確認するため,期末試験を実施する。
教科書
手作り問題を配布することがある。
ゼミナール民事訴訟法
著者: 渡部美由紀=鶴田滋=岡庭幹司
出版社: 日本評論社/2020年
民事訴訟法判例百選〔第6版〕
著者: 高田裕成=畑瑞穂=垣内秀介編
出版社: 有斐閣/2023年
参考書
重点講義民事訴訟法(上)〔第2版補訂版〕
著者: 高橋宏志
出版社: 有斐閣/2013年
重点講義民事訴訟法(下)〔第2版補訂版〕
著者: 高橋宏志
出版社: 有斐閣/2014年