公法総合 II
専門職学位課程法学研究科
LWS55710
コース情報
担当教員: 上田 健介
単位数: 1
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 水3
形式: 対面授業
レベル: 700
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 不可
評価方法
授業参加
レポート
小テスト等
その他
・成績評価基本原則による。なお,平常点は,授業への参加状況と授業内小テストをあわせて評価する。ただし,レポート課題は憲法,行政法それぞれ別々に実施する。 ・憲法と行政法のいずれも,レポート課題(70点),平常点(30点)として評価し,それらを単純に合算した上で,合計点を2で割った値を最終評価とする。 ・平常点の内訳については,憲法と行政法のいずれも,①小テスト20点,②授業への参加・取組み10点とする。 ・憲法と行政法のいずれについても,成績評価方法の詳細や各回の課題を開講までに別途示すので,注意すること。
詳細情報
概要
法学部における「憲法」および「行政法」講義もしくは法科大学院における「憲法基礎」および「行政法基礎」の履修を前提として,広く公法分野の問題に関する分析能力,対応能力を養い,さらにこれを高めることを目的とする。 憲法については,主に人権に関する判例・学説の横断的な理解を深めるとともに事案の分析能力を身に着けるため,具体的な事案の分析・検討を行う。 行政法については,行政法理論に対する理解を深めるとともに事案の分析能力を身に着けるため,複数の個別分野における具体的な事例検討を行う。 本講義は,上田及び小舟の輪講形式によって行われる。憲法と行政法を相互に隔週で実施する。
目標
憲法に関する判例・学説の横断的な理解を深め,具体的な事案に対応しうる実践的な力を身につけること。行政法理論に対する理解を深めるとともに,具体的事案に対する高度な分析力や対応力を身に着けること。
授業外の学習
各回の予習・復習が必須である。その内容については,各教員が適宜指示する。
所要時間: 授業1回あたり190分以上
スケジュール
- 〔授業計画〕の梗概は〔授業の計画〕を参照。各回の詳細は〔成績評価方法〕に記したとおり,別途示す。 憲法第1回 事例検討(1):憲法上の権利に対する規制の合憲性の判断枠組み ・自由権に関する事例問題について,質疑応答を交えつつ検討する。 ・自由権規制の合憲性の判断枠組みに関する,学説・判例の特徴について整理をしてみずからその判断枠組みを使用できるようにする。 〔到達目標〕 ○自由権規制の合憲性の判断枠組みに関する,学説・判例の特徴について説明できる。 ○立法事実及び司法事実の意味,並びに,違憲審査において立法事実の検証が果たす意義について,違憲審査基準と関連付けて説明することができる。 ○憲法上の権利の規制に対する合憲性の判断枠組みを適切に使用できる。 ○制約の類型と強度について説明できる。
- 〔行政法の授業計画と到達目標〕 近時の注目判例などを素材に事例検討を行い,高い分析能力と対応能力を養うこととする。 なお,下記の論点については,いずれかの回で適宜触れることとするが,十分に扱えないものについては,説明資料を配付し,ポイントを理解できるようにする。 ○取消判決と事情判決の異同を,具体例を挙げて説明することができる。 ○事情判決をすべき場合と,訴えの利益が提訴後に消滅したことを理由にする却下判決をすべき場合との違いを,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○取消判決の形成力とその第三者効の意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○取消判決の拘束力の意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○取消訴訟の終局判決の既判力の意義を,具体例を挙げて説明することができる。 行政法第1回 事例検討(1):原告適格 原告適格に関する事例問題を出題し,質疑応答を交えつつ検討する。 〔到達目標〕 ○原告適格論における主要応用問題への対応能力の修得を目指す。 ○行政事件訴訟法における執行不停止原則の意義を理解している。 ○執行停止の申立てを認める決定の効力を説明することができる。 ○執行停止の申立ての趣旨(効力停止,執行停止,続行停止)及びその理由を,具体的事案に即して考察することができる。
- 憲法第2回 事例検討(2) ☆小テスト【教科書,参考書など持ち込み不可】 ・憲法に関する事例問題について,質疑応答を交えつつ検討する。 〔到達目標〕 〇憲法に関する具体的な事例の分析・検討を通じて,関連する判例・学説の横断的な理解を深めるとともに事案の分析能力を身に着ける。
- 行政法第2回 事例検討(2):行政裁量と違法主張 行政裁量に関する事例問題を出題し,質疑応答を交えつつ検討する。 ☆小テスト【教科書,参考書など持ち込み不可】 〔到達目標〕 ○行政裁量に関する応用問題への対応能力の修得を目指す。 ○仮の差止めの申立制度の存在意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○仮の差止めの申立ての趣旨及び理由を,具体的事案に即して考察することができる。
- 憲法第3回 事例検討(3) ・憲法に関する事例問題について,質疑応答を交えつつ検討する。 〔到達目標〕 〇憲法に関する具体的な事例の分析・検討を通じて,関連する判例・学説の横断的な理解を深めるとともに事案の分析能力を身に着ける。
- 行政法第3回 事例検討(3):取消訴訟以外の抗告訴訟 取消訴訟以外の抗告訴訟に関する事例問題を出題し,質疑応答を交えつつ検討する。 ☆小テスト【教科書,参考書など持ち込み不可】 〔到達目標〕 ○取消訴訟以外の抗告訴訟に関する応用問題に対応する能力の修得を目指す。 ○仮の義務付けの申立制度の存在意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○仮の義務付けの申立ての趣旨及び理由を,具体的事案に即して考察することができる。
- 憲法第4回 事例検討(4) ☆小テスト【教科書,参考書など持ち込み不可】 ・憲法に関する事例問題について,質疑応答を交えつつ検討する。 〔到達目標〕 〇憲法に関する具体的な事例の分析・検討を通じて,関連する判例・学説の横断的な理解を深めるとともに事案の分析能力を身に着ける。
教科書
憲法は,『憲法判例百選Ⅰ・Ⅱ〔第7版〕』(有斐閣,2019年),『精読憲法判例(人権編)』(弘文堂,2018年)を使用。適宜,参考文献を配布する。 行政法は,『ケースブック行政法第7版』(弘文堂)を使用。
参考書
芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法〔第7版〕』(岩波書店),高橋和之『立憲主義と日本国憲法〔第5版〕』(有斐閣),安西文雄・巻美矢紀・宍戸常寿『憲法学読本〔第3版〕』(有斐閣)など任意のものでよい 『公法系訴訟実務の基礎〔第2版〕』(弘文堂)