廃棄物・リサイクル法

専門職学位課程法学研究科

LWS55400

コース情報

担当教員: 北村 喜宣

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 金1

形式: 対面授業

レベル: 700

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

リアクションペーパー

10%

レポート

30%

中間試験

授業期間中

20%

その他

「その他」については,期末課題によって評価する。

40%

詳細情報

概要

事業活動や家庭生活に伴い発生する不要物を極小化するとともに資源循環を促進することは,持続可能な発展を実現するために必須の社会政策である。環境法の一分野である廃棄物・リサイクル法制は,現代社会における重要な使命を担っている。 この法制は,環境基本法および分野別基幹法である循環型社会形成推進基本法のもとで,廃棄物処理法を中心に展開されている。環境法学習の観点から重要なのは,廃棄物処理法である。本講義では,同法を中心において,関係する法制度を解説する。

目標

循環基本法のもとに展開する廃棄物処理法を中心とする法体系を理解できている。 とりわけ,廃棄物処理法をめぐる法政策的論点および法解釈論的論点について,関係判決を踏まえた理解ができている。 司法試験環境法の過去問に何とか対応できる程度の学力がついている。

授業外の学習

レジュメに記される「Q」を考えることが予習である。廃棄物・リサイクル関係の個別方の仕組みなどの基本的事項は,テキストなどを通じて,各自整理しておくこと。法律ごとに全体像のフローチャートをつくっておくと,理解がより容易になる。この作業を一人でやるのは滅入るので,これに関しては,グループ学習を薦める。なお,過去の環境法実務演習クラスで,先輩たちがフローチャートをつくりそれをLSとして共有化しているので,データを入手して参考にされたい。また,越智敏裕『環境訴訟法〔第2版〕』(日本評論社,2020年)411頁以下も便利である。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. オリエンテーション+廃棄物処理法・前史と同法の成立 〔概要〕授業全体のイントロダクションをする。さらに,1954年に制定された清掃法を概説し,廃棄物処理法の成立までの歴史を振り返る。 〔到達目標〕学習対象となる廃棄物処理法の全体構造の理解がされている。
  2. 廃棄物の定義・種類,処理責任 〔概要〕廃棄物処理法2条1項が規定する「廃棄物」は,その定義の曖昧さゆえに実務上多くの問題を発生させている。主要な裁判例や行政実例を紹介し,具体的事案に対する法律の適用を議論する。 〔到達目標〕レジュメに掲げられている論点に関する基本的理解がされている。
  3. 一般廃棄物の処理 〔概要〕産業廃棄物と一般廃棄物の区別を説明する。一般廃棄物処理の責任が市町村にある意味を確認し,制度実施の実情を課題を検討する。一般廃棄物処理業規制について解説する。 〔到達目標〕レジュメに掲げられている論点に関する基本的理解がされている。
  4. 産業廃棄物処理業許可 〔概要〕産業廃棄物処理の基本的考え方は,汚染者支払原則にもとづく排出事業者処理責任である。自らによる処理のほか委託基準に従った委託処理も認められている法構造を説明する。 〔到達目標〕レジュメに掲げられている論点に関する基本的理解がされている。
  5. 産業廃棄物処理施設許可 〔概要〕中間処理施設と最終処分場に関する許可制の仕組みには,生活環境影響調査制度や適合認定制度などの特徴的な手続が含まれている点を確認する。許可基準については,施設基準,配慮基準,能力基準,欠格要件基準という諸基準がある。これらについて,条文で確認しつつ,その内容について理解を深める。 〔到達目標〕レジュメに掲げられている論点に関する基本的理解がされている。
  6. 産業廃棄物の適正処理確保(1) 〔概要〕産業廃棄物排出事業者および産業廃棄物処理業者には,適正処理を実現するために,それぞれに多様な義務が課されている。委託基準,処理基準,保管基準,維持管理基準などを説明するとともに,操業記録閲覧制度,マニフェスト制度,有害使用済機器制度なども解説する。 〔到達目標〕レジュメに掲げられている論点に関する基本的理解がされている。
  7. 産業廃棄物の適正処理確保(2) 〔概要〕産業廃棄物排出事業者および産業廃棄物処理業者には,適正処理を実現するために,それぞれに多様な義務が課されている。委託基準,処理基準,保管基準,維持管理基準などを説明するとともに,操業記録閲覧制度,マニフェスト制度,有害使用済機器制度なども解説する。 〔到達目標〕レジュメに掲げられている論点に関する基本的理解がされている。
  8. 中間試験 〔概要〕事前課題して作成を求める「模擬試験問題作成」を踏まえて,中間試験演習を実施する。 〔到達目標〕問題文,出題趣旨,採点基準,模範答案の作成を通じて,第8講までに学習した内容の復習がされている。
  9. 許可取消し 〔概要〕産業廃棄物処理に関する業・施設許可の取消制度は,環境法のなかでも条文操作が難解である。なぜこのような事態になったのか,改善のためにはどのような対応がされているのか,課題は何かについて,条文に即して解説する。 〔到達目標〕レジュメに掲げられている論点に関する基本的理解がされている。
  10. 不適正処理・不法投棄への対応(1) 〔概要〕産業廃棄物の不適正処理・不法投棄に対する行政的措置は,迅速かつ的確な対応を実現するために,数次の改正を受けている。処分要件の緩和,不明事案への対応,基金制度の創設など,主要な改正点について説明する。 〔到達目標〕レジュメに掲げられている論点に関する基本的理解がされている。
  11. 不適正処理・不法投棄への対応(2) 〔概要〕産業廃棄物の不適正処理・不法投棄に対する行政的措置は,迅速かつ的確な対応を実現するために,数次の改正を受けている。処分要件の緩和,不明事案への対応,基金制度の創設など,主要な改正点について説明する。 〔到達目標〕レジュメに掲げられている論点に関する基本的理解がされている。
  12. 廃棄物処理法をめぐる訴訟 〔概要〕廃棄物の処理をめぐっては,多くの民事訴訟・行政訴訟が提起されている。主要な裁判例を素材にして,廃棄物処理法の仕組みを確認するとともに,訴訟が提起する課題を確認する。 〔到達目標〕レジュメに掲げられている論点に関する基本的理解がされている。
  13. 循環基本法+容器包装リサイクル法+プラ資源循環促進法 〔概要〕循環基本法,容器包装リサイクル法,プラ資源循環促進法の関係を整理するとともに,基本法と廃棄物処理法の関係にも言及する。 〔到達目標〕レジュメに掲げられている論点に関する基本的理解がされている。
  14. 問題演習 〔概要〕授業を踏まえ,事例問題に示される事実関係を的確に読み取り,関係する法令を取捨選択して正確に適用し,説得力の高い答案を書ける能力が習得されていること。 〔到達目標〕過去問を通じて,学習した内容の確認がされている。

教科書

テキスト1およびテキスト2は,授業に必携です。

  • 環境法〔第6版〕

    著者: 北村喜宣

    出版社: 弘文堂,2023年

  • 十一訂ベーシック環境六法

    著者: 大塚直+北村喜宣+高村ゆかり+島村健(編)

    出版社: 第一法規,2024年

参考書

  • 環境法判例百選〔第3版〕

    著者: 大塚直+北村喜宣(編)

    出版社: 有斐閣,2018年

  • 環境訴訟法〔第2版〕

    著者: 越智敏裕

    出版社: 日本評論社,2020年

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