環境法政策

専門職学位課程法学研究科

LWS54100

コース情報

担当教員: 北村 喜宣

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 金1

形式: 対面授業

レベル: 700

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

リアクションペーパー

10%

レポート

30%

中間試験

授業期間中

20%

その他

「その他」については,授業外課題として評価する。

40%

詳細情報

概要

「環境法政策」の授業は,「環境訴訟」と並んで環境法の基幹科目である。本講義では,環境法の基本的考え方,環境法システムのメカニズムを概観したあと,法律・裁判例・行政実例にみられる法解釈的・法政策的論点について,主要実定環境法を素材にして検討する。環境法が実際に使用される自治体現場にも着目する。「なぜそうした制度になっているか」「改正の背景はどのようなものか」「どのような改正が望ましいか」といった点にまで思考の視野を拡げてみたい。授業は,配布レジュメにある「Q」を議論することを中心に展開される。廃棄物処理法については「廃棄物・リサイクル法」の授業に,自然公園法については「自然保護法」の授業に,それぞれ委ねる。

目標

実体環境法を解読する基礎的能力をつけること。 設例問題に伏在する環境法的論点を見抜く能力をつけること。

授業外の学習

レジュメのなかに記されている「Q」を,テキストを読みながら考えることを予習とし,授業の議論を踏まえてその内容を確認することを復習とする。確認ができるかどうかは,ミニテストで適宜チェックする。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. イントロダクション+環境法の学習にあたって 〔概要〕講義の全体を説明するとともに,環境法初学者を念頭に置き,環境法学習のポイントについて,具体的事例を踏まえて解説する。テキストおよび法令集の使用方法についても説明する。 〔到達目標〕学習すべき環境法の範囲の全体像が把握できている。
  2. 環境法の目標と基本的考え方(1) 〔概要〕環境法の究極目標である「持続可能な発展」「環境公益の実現」について説明する。さらに,そのもとで展開される3つの分野の基本的考え方(環境責任のあり方,環境リスク管理のあり方,環境ガバナンスのあり方)を解説する。 〔到達目標〕基本的概念や判例について,それぞれ答案用紙5行分の記述ができるようになっている。
  3. 環境法の目標と基本的考え方(2) 〔概要〕環境法の究極目標である「持続可能な発展」「環境公益の実現」について説明する。さらに,そのもとで展開される3つの分野の基本的考え方(環境責任のあり方,環境リスク管理のあり方,環境ガバナンスのあり方)を解説する。 〔到達目標〕基本的概念や判例について,それぞれ答案用紙5行分の記述ができるようになっている。
  4. 環境法の目標と基本的考え方(3) 〔概要〕分権改革の意義を確認し,自治体の事務を規定する環境法の実施において,自治体が地域特性に応じた対応を自治的法解釈を通じていかに実現できるかを説明する。行政の環境配慮義務や市民参画についても触れる。 〔到達目標〕分権改革の意義と法解釈や法政策に与えた影響についての基本的理解ができている。
  5. 環境規制の法的アプローチ+個別環境法の基本構造(1) 〔概要〕環境負荷発生者の意思決定に働きかけるいくつかのアプローチを踏まえて,個別環境法においてそれらがどのように反映されているのかを説明する。モデル的環境法を想定し,その構成要素について説明する。 〔到達目標〕個別環境法のパーツともいえる構成要素について,法律全体のなかでの機能や行政法的論点が理解できている。
  6. 個別環境法の基本構造(2) 〔概要〕モデル的環境法の基幹的要素である規制手法のうち,規制方法,義務違反の是正を強制について,個別環境法を踏まえつつ解説する。同種の手法であっても効果が異なるものについては,その理由や背景に踏み込んで議論する。モデル的環境法の基幹的要素である規制手法のうち,誘導手法(経済手法,情報手法),啓発手法,合意調達手法などについて,個別環境法を踏まえつつ説明する。実際に権限を持つ自治体の法的地位について,具体例を踏まえて検討する。 〔到達目標〕個別環境法のパーツともいえる構成要素について,法律全体のなかでの機能や行政法的論点が理解できている。
  7. 中間試験 〔概要〕事前課題として作成を求める「試験問題」を実際に用いて,演習としての「中間試験」を実施する。 〔到達目標〕問題文,出題趣旨,採点基準,模範答案の作成作業を通じて,第7講までの理解度の確認をする。
  8. 環境基本法制+環境影響評価法制(1) 〔概要〕環境基本法,循環基本法,生物多様性基本法という基幹法を説明し,そこに規定される基本的政策相互の関係や環境法の基本的考え方との関係について説明する。環境影響評価法に関して,制度の必要性,法制化に至る経緯,2005年改正法の仕組みと限界,2011年改正法の意義などについて解説する。 〔到達目標〕環境基本法の基本的論点に対する理解がされ,個別法との関係についても理解がされている。環境影響評価法の基本的論点に対する理解がされ,具体的事例に対する適用関係が理解されている。 〔到達目標〕
  9. 環境影響評価法制(2) 〔概要〕環境影響評価法に関して,制度の必要性,法制化に至る経緯,2005年改正法の仕組みと限界,2011年改正法の意義などについて解説する。 〔到達目標〕環境影響評価法の基本的論点に対する理解がされ,具体的事例に対する適用関係が理解されている。
  10. 水質汚濁防止法制 〔概要〕水質汚濁防止法の仕組みを解説する。具体的規定をモデル的環境法および環境法の基本的考え方との関係で位置づけ,具体的事案に対する適用のあり方を議論する。 〔到達目標〕水質汚濁防止法の基本的論点に対する理解がされ,具体的事例に対する適用関係が理解されている。
  11. 大気汚染防止法制 〔概要〕大気汚染防止法の仕組みを解説する。具体的規定をモデル的環境法および環境法の基本的考え方との関係で位置づけ,具体的事案に対する適用のあり方を議論する 〔到達目標〕大気汚染防止法の基本的論点に対する理解がされ,具体的事例に対する適用関係が理解されている。最近の改正についても,そのポイントが理解されている。
  12. 土壌汚染対策法制 〔概要〕土壌汚染対策法の仕組みを解説する。具体的規定をモデル的環境法および環境法の基本的考え方との関係で位置づけ,具体的事案に対する適用のあり方を議論する 〔到達目標〕土壌汚染対策法の基本的論点に対する理解がされ,具体的事例に対する適用関係が理解されている。最近の改正についても,そのポイントが理解されている。
  13. 地球温暖化対策法制 〔概要〕地球温暖化対策法の法システムについて解説する。とりわけ,脱炭素化促進のための特徴ある規制手法や関係法令との関係について注目する。 〔到達目標〕地球温暖化対策法の基本的仕組み,規制手法の特徴に対する理解がされている。
  14. 総括 〔概要〕環境法政策の過去問等を用いて,問題対応の演習をする。 〔到達目標〕問題文を読んだときに,どこに出題のポイントが伏在しているのか,出題者は何を問おうとしているのかを見抜く力がついていること。

教科書

テキスト1およびテキスト2は授業に必携。

  • 環境法〔第6版〕

    著者: 北村喜宣

    出版社: 弘文堂,2023年

  • 十一訂ベーシック環境六法

    著者: 大塚直+北村喜宣+高村ゆかり+島村健(編)

    出版社: 第一法規,2024年

参考書

  • 環境法〔第4版〕

    著者: 大塚直

    出版社: 有斐閣,2020年

  • 環境法判例百選〔第3版〕

    著者: 大塚直+北村喜宣(編)

    出版社: 有斐閣,2018年

  • 環境訴訟法〔第2版〕

    著者: 越智敏裕

    出版社: 日本評論社,2020年

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