国際家族法

専門職学位課程法学研究科

LWS53500

コース情報

担当教員: 織田 有基子

単位数: 1

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 金2

形式: 対面授業

レベル: 700

アクティブラーニング: なし

他学部履修: 不可

評価方法

出席状況

10%

授業参加

20%

レポート

70%

詳細情報

概要

現在の我々の生活は,世界中の国々と様々に関わり合いながら成立している。その反面,国境を越えた法的なトラブルも少なくない。たとえば,日本居住のA国人とB国人の夫婦が離婚や子の監護権を巡って争ったり,C国に財産を有する日本人が死亡して相続問題が生じる等々である。このような渉外事案について,日本の裁判所は,いずれの国の法に基づき紛争解決を図るべきか。本講義では,履修者が春学期の国際私法を履修し又はそれと同等の知見を有することを前提として,家族法(相続法も含む)分野における準拠法決定方法を検討する。なお,必要に応じ,国際家族法に関連する国際民事手続法(特に,国際裁判管轄権,外国裁判の承認・執行)の問題も扱う。

目標

(1)国際家族法に関する諸規定及び判例理論について正確に理解できる。 (2)準拠法決定プロセスに沿いつつ,国際私法ないし国際家族法の理念に適った準拠法を具体的に導くことができる。 (3)上記(1)(2)を踏まえ,国際家族法の問題について適切に説明・論述することができる。

授業外の学習

(1)次回の授業箇所につき教科書の該当部分を読んでおくこと。 (2)復習課題を検討しておくこと(次回の授業時に報告)。

所要時間: 上記の(1)70分,(2)120分

スケジュール

  1. 第1回 夫婦関係(1) 〔授業内容〕 婚姻の成立および婚姻の身分的効力の準拠法について検討する。必要に応じて,国際裁判管轄権,外国裁判の承認執行の問題も扱う(以下,第2回~第7回についても同じ)。 〔到達目標〕 法の適用に関する通則法(以下,通則法)24条,25条の趣旨および解釈方法を修得する。
  2. 第2回 夫婦関係(2) 〔授業内容〕 婚姻の財産的効力および離婚の準拠法について検討する。 〔到達目標〕 通則法26条,27条,34条の趣旨を理解し,その解釈方法を修得する。
  3. 第3回 親子関係(1) 〔授業内容〕 実親子関係の成立の準拠法について検討する。 〔到達目標〕 通則法28条,29条,30条,34条の趣旨を理解し,その解釈方法を修得する。
  4. 第4回 親子関係(2) 〔授業内容〕 養親子関係の成立の準拠法について検討する。 〔到達目標〕 通則法31条,34条の趣旨を理解し,その解釈方法を修得する。
  5. 第5回 親子関係(3) 〔授業内容〕 親子関係の効力及び扶養の準拠法,国際的な子の奪取の問題について検討する。 〔到達目標〕 通則法32条,「扶養義務の準拠法に関する法律」,「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」の趣旨を理解し,その解釈方法を習得する。
  6. 第6回 相続,遺言 〔授業内容〕 相続及び遺言の準拠法について検討する。 〔到達目標〕 通則法36条,37条,及び「遺言の方式の準拠法に関する法律」の趣旨を理解し,その解釈方法を修得する。
  7. 第7回 行為能力,失踪宣告,後見 〔授業内容〕 行為能力,失踪宣告,後見の準拠法について検討する。 〔到達目標〕 通則法4条,5条,6条の趣旨を理解し,その解釈方法を修得する。
  8. レポート提出 〔最終到達目標〕 国際家族法の諸規定に関する正確な理解を通じ,具体的事案を適切に処理することができる。

教科書

教科書は毎回の授業において使用する。

  • 国際私法入門[第9版] ※2024/7/29_指定教科書修正済(第8版⇒第9版)

    著者: 澤木敬郎・道垣内正人

    出版社: 有斐閣・2024年

参考書

  • 論点講義国際私法

    著者: 出口耕自

    出版社: 法学書院・2015年

  • 逐条解説 法の適用に関する通則法[増補版]

    著者: 小出邦夫編著

    出版社: 商事法務,2014年

  • 国際民事手続法

    著者: 嶋拓哉・高杉直編

    出版社: 勁草書房・2022年

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