国際私法
専門職学位課程法学研究科
LWS53400
コース情報
担当教員: 加藤 紫帆
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 水2
形式: 対面授業
レベル: 700
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 不可
評価方法
出席状況
授業参加
レポート
詳細情報
概要
本講義は,「法の適用に関する通則法」を中心とする我が国の国際私法(抵触法)上の規則について検討し,国境を越える私法上の法律関係に適用される準拠法の決定に関する基礎的な知識を身につけ,よって国際的な民事紛争解決に関する基本的な思考力を養成することを目的とする。本講義では,レジュメを事前にTKCに掲示する(各授業の1~2週間前を予定)。受講生は,予習として教科書及び講義レジュメに目を通すとともに,復習として前回の講義内容に関する復習課題(重要裁判例の分析)につき,検討してくることが求められる。各回の授業においては,前回の復習課題に関する検討及び解説を行った上で(演習形式に近いものとなる),教員から当日のテーマについて講義を行う。
目標
我が国の国際私法(抵触法)上の諸規則の趣旨及びそれらに関する解釈上の論点を理解した上で,当該論点に関する裁判例及び学説上の議論について整理・分析し,当該議論対立を踏まえつつ,理由を示しながら自らの立場を説得的に提示できるようになること。
授業外の学習
①予習として,教科書の該当箇所を読み,かつ,講義レジュメにざっと目を通してくること(30分)。 ②復習として,復習課題の裁判例及びそれに関する判例評釈等を読み,設問について予め検討してくること(160分)。 ③レポート課題については,授業内容を踏まえつつ,関連する裁判例や文献を収集し,作成すること。
所要時間: 190分
スケジュール
- 第1回 国際私法(抵触法)の概要 ※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがありうる。 〔授業内容〕抵触法の意義,法源,準拠法選択の全体像について概説する。 〔到達目標〕抵触法とは何かをおおまかに理解する。
- 第2回 総論:性質決定,先決問題,連結点 〔授業内容〕性質決定・先決問題・連結点について概説する。 〔到達目標〕上記抵触法上の重要概念を正確に把握し,それらを巡る論点を理解する。
- 第3回 総論:不統一法国法の指定 〔授業内容〕不統一法国法が指定された場合の処理方法について概説する。 〔到達目標〕通則法38条3項・40条の趣旨及び当該規定の解釈適用を巡る論点を理解する。
- 第4回 総論:反致 〔授業内容〕反致について概説する。 〔到達目標〕通則法41条の趣旨及び当該規定の解釈適用を巡る論点を理解する。
- 第5回 総論:公序 〔授業内容〕抵触法上の公序について概説する。 〔到達目標〕通則法42条の趣旨及び当該規定の解釈適用を巡る論点を理解する。
- 第6回 各論:契約1 〔授業内容〕契約準拠法一般を巡る議論について概観する。 〔到達目標〕通則法7条・8条の趣旨及び当該規定の解釈適用を巡る論点を理解する。
- 第7回 各論:契約2 〔授業内容〕弱者保護に関する特則を巡る議論について概観する。 〔到達目標〕通則法11条・12条の趣旨及び当該規定の解釈適用を巡る論点を理解する。
- 第8回 各論:契約3 〔授業内容〕契約準拠法を巡るその他の議論について概観する。 〔到達目標〕通則法9条・10条の趣旨や分割指定等について理解する。
- 第9回 各論:不法行為1 〔授業内容〕不法行為準拠法を巡る議論について概観する。 〔到達目標〕通則法17条~22条の趣旨及び当該規定の解釈適用を巡る論点を理解する。
- 第10回 各論:不法行為2 〔授業内容〕不法行為準拠法を巡る議論について概観する。 〔到達目標〕通則法17条~22条の趣旨及び当該規定の解釈適用を巡る論点を理解する。
- 第11回 各論:物権 〔授業内容〕物権準拠法を巡る議論について概観する。 〔到達目標〕通則法13条の趣旨及び当該規定の解釈適用を巡る論点を理解する。
- 第12回 各論:債権譲渡等 〔授業内容〕債権・債務の移転,債権の対外的効力,債権の消滅,それぞれの準拠法決定問題を巡る議論について概観する。 〔到達目標〕通則法23条の趣旨及びその解釈適用,並びに,明文規定がない問題の処理方法を巡る議論を理解する。
- 第13回 各論:知的財産権 〔授業内容〕知的財産権侵害,知的財産権の帰属/譲渡・使用許諾,それぞれの準拠法決定問題を巡る議論について概観する。 〔到達目標〕最判平成14年(カードリーダー事件)の内容や属地主義の原則等,知的財産権に関する民事紛争における法適用を巡る論点を理解する。
- 第14回 各論:自然人・法人,代理 〔授業内容〕自然人・法人を巡る国際的法律関係に関し,我が国ではどのような法的規整がなされているかについて概説する。また,代理の準拠法を巡る議論について概観する。 〔到達目標〕通則法4条の趣旨及び当該規定の解釈適用,並びに,明文規定がない問題の処理方法を巡る議論を理解する。
- レポート課題の提出
教科書
授業及びテキストは,学部等で国際私法の基礎的な講義を受講していることを前提としている。未受講の者は,入門テキスト(例えば,神前禎『プレップ国際私法』(弘文堂・2015))を各自通読してのぞむこと。その他の参考文献は,初回授業で提示する。
LEGAL QUEST 国際私法 第3版
著者: 中西康ほか
出版社: 有斐閣・2022
参考書
別冊ジュリスト256 国際私法判例百選 第3版
著者: 道垣内正人=中西康
出版社: 有斐閣・2021