国際取引法

専門職学位課程法学研究科

LWS53300

コース情報

担当教員: 森下 哲朗

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 月1

形式: 対面授業

レベル: 700

アクティブラーニング: あり

他学部履修: 不可

評価方法

授業参加

15%

レポート

15%

授業内期末試験

授業期間中

70%

その他

法科大学院成績評価基本原則による。平常点は,授業中のやりとり(15%),レポート課題(15%)による。

15%

詳細情報

概要

国際民事紛争処理,及び,国際取引に関する法律問題を検討する。 国際民事紛争処理との関係では,国際裁判管轄,外国判決の承認執行,国際仲裁を主とする国際的な民事紛争処理に関する問題を取り扱う。 国際取引に関しては,国際的な売買契約を中心に,国際的な商取引に関する法的問題を,適用法規,主体,契約,規制等,多様な角度から総合的に検討する。売買取引等代表的な国際取引の仕組みと,民商法・国際私法・独禁法等の関連する諸分野における国際取引に関する日本法や国際的なルール(CISG等)の内容や考え方を扱う。 基本的な知識を得るとともに,実務的な視点も意識しながら,そうして得た知識を具体的なケースへ当てはめていく能力,実践的な力を養うことも目的である。 国内外の判例,事例問題や実際に使われている契約書等を教材として使用しながら,総合的・分野横断的な検討がなされる。民法についての基本的知識を習得していることが望ましい。国際私法を履修済みであることが望ましい。 授業は,Zoomを用いたリアルタイム授業で行う。

目標

外国・外国人・外国企業等が関係する民事紛争に関する基本的な枠組みを理解し,的確に対応するための手続法上の基礎的な能力を身につけること。及び,売買取引等代表的な国際取引の仕組みと,民商法・国際私法・独禁法等の関連する諸分野における国際取引に関する日本法や国際的なルール(CISG等)の内容や考え方などについて,基礎的な知識を獲得したうえで,それらの知識を具体的なケースへ当てはめて事案の処理をするための基礎的な能力を身につけること。

授業外の学習

十分な予習をしたうえで授業に参加することが求められる。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. イントロダクション 〔授業内容〕 国際取引法の学び方,国際取引法の全体像,国際的なビジネスにおける法務の態様,国際取引における言語・文化等について扱う。 〔到達目標〕 ○ 国際取引法の全体像を理解する。 ビジネス法務における法とのかかわりには対策法務,予防法務,経営法務等があることを理解する。
  2. 国際取引と法 ~国際取引との関係で特に重要な国際私法の問題(総論,契約,不法行為)について扱う。 〔到達目標〕 〇国際的な紛争処理における適用法と紛争処理枠組みの関係について理解する。 〇日本の国際私法の基本的な枠組みついて理解する。 〇契約,不法行為の準拠法についての基本的ルールを理解する
  3. 国際民事紛争処理(1)~国際取引における規制や絶対的強行法規の適用関係,国際民事手続法の全体構造を扱う。 [到達目標] 〇国際取引における非民事法規等の適用に関する枠組みを理解する。 〇国際民事手続法の全体構造を理解する。
  4. 国際民事紛争処理(2)~国際裁判管轄(財産法関係)を扱う。 [到達目標] 〇国際裁判管轄のうち,財産法関係のルール(民事訴訟法の規定や主要判例)を理解するとともに,基本的な事例が分析できるようになる。
  5. 国際民事紛争処理(3)~国際裁判管轄(家族法関係)を扱う。 [到達目標] 〇財産法関係と対比しつつ,家族法関係の国際裁判管轄についてのルール(人事訴訟法・家事事件手続法の規定や主要判例)を理解するとともに,基本的な事例が分析できるようになる。
  6. 国際民事紛争処理(4)~外国判決の承認執行や国際訴訟競合に関する問題を扱う。 [到達目標] 〇外国判決承認執行,及び,国際訴訟競合に関するルールを理解するとともに,基本的な事例が分析できるようになる。
  7. 国際民事紛争処理(5)~国際商事仲裁の基本的論点を扱う。 [到達目標] 〇訴訟とは異なる商事仲裁の特徴,当事者にとってのメリット,デメリットについて理解する。
  8. 国際取引の主体 [授業内容] 国家との契約の特殊性(適用法規,紛争解決手段),主権免除,及び,パートナーシップ,外国法人との取引における法的問題(準拠法,外国会社に関する諸規定)等を扱う。 〔到達目標〕 〇国家と契約において特に問題となる基本的な問題について理解する。 〇法人に関する準拠法や外国会社に関する日本法のルールを理解する。
  9. 国際契約~国際契約に関する諸ルール(CISG,UNIDROIT原則,UCC等)について概観するとともに,CISGの適用範囲・任意規定性・解釈,契約の成立,書式の闘いに関するルール,レター・オブ・インテントや申込・承諾によらない契約の成立,を扱う。 〔到達目標〕 〇国際契約に関する諸ルールの性格の基本的な違いを理解する。 〇CISGの適用に関するルールについて理解する。 〇契約の成立や解釈に関するCISG等のルールについて理解する。
  10. 国際運送~国際運送についての基本的なルール(国際海上物品運送法,船荷証券)について扱う。船荷証券との関係では,不知文言,物権的効力等について扱う。 〔到達目標〕 ○国際海上物品運送法の主要な規定について理解するとともに,船荷証券を巡る基本的な法的問題について理解する。
  11. 国際決済~国際決済(送金,荷為替手形,信用状)の仕組みや法的論点(信用状統一規則,信用状の発行と契約上の義務との関係等)を扱う。 〔到達目標〕 〇荷為替手形や信用状の仕組みを理解する。 〇信用状に関する重要な法的論点について理解する。
  12. 国際売買契約(1)~国際売買に関するルールの全体像,インコタームズ(全体像,及びFOB・CIFを中心に),物品の契約適合性に関するUCC,CISGのルールについて扱う。 〔到達目標〕 〇インコタームズの概要とFOB,CIFの基本的内容について理解する。 〇UCCにおけるwarranties,契約適合性に関するCISGのルールを理解する。
  13. 国際売買契約(2)~契約違反にあたっての救済に関するCISGのルール,買主の検査通知義務,及び,不可抗力やハードシップに関するCISG,UNIDROIT原則のルールを扱う。 〔到達目標〕 〇契約違反の救済や買主の検査通知義務に関するCISGのルールについて理解する。 〇不可抗力,ハードシップに関するCISG等のルールについて理解する。
  14. 国際取引と規制~国際取引において重要な意味を持つ独禁法の域外適用,外国公務員等に対する贈賄に関する不正競争防止法,外為法について扱う。 〔到達目標〕 〇独禁法の域外適用についての基本的な問題や裁判例の傾向を理解する。 〇贈賄規制に関する不正競争防止法の概要,外為法の基本的枠組みを理解する。
  15. 期末試験

教科書

澤田壽夫=柏木 昇=杉浦保友=高杉直=森下哲朗=増田史子『マテリアルズ国際取引法(第3版)』(有斐閣,2014)

  • ケースで学ぶ国際企業法務のエッセンス

    著者: 森下哲朗=平野温郎=森口聡=山本卓

    出版社: 有斐閣・2017

参考書

  • ケースで学ぶ国際企業法務のエッセンス

    著者: 森下・平野・森口・山本

    出版社: 有斐閣・2017

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