知的財産権法 II
専門職学位課程法学研究科
LWS52700
コース情報
担当教員: 駒田 泰土
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 木4
形式: 対面授業
レベル: 700
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 不可
評価方法
出席状況
10%
授業参加
20%
レポート
70%
その他
授業参加は出席を当然の前提としてさらに質疑応答の内容で評価する。知的財産権法の学習は容易ではない。求められる学習量が他科目と比較しても多いからである。それにもかかわらず,他の選択科目と同程度の学習量や難解さと誤解して履修する受講者が後をたたない。知的財産権法を学ぶことに,それなりの時間を割こうという人の受講を希望したい。
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詳細情報
概要
知的財産権法のうち,特許法をとりあげてその全体的把握に努める。授業は,具体的な事例問題を取り上げて,それを解く形式で行う。講義のレベルは新司法試験のそれに近いものにしたいので,基礎的な知識の習得は各自の自習をまつほかない。学生諸氏の積極的な予習・復習を望む。
目標
・特許判例に親しみ,実務をイメージできるようにする。 ・制度の大枠を理解できるようにする。 ・事例問題に取り組めるようにする。
授業外の学習
予習及び授業で得た知識の復習を欠かさずに。それぞれ3~4時間程度。
所要時間: 190分
スケジュール
- 1.具体的な事例問題を検討し,関連する判例・学説の理解に努める。とくに特許法上の「発明」概念について学ぶ。 [到達目標]自然法則の利用,技術的創作,発明の完成性についての理解を深める。
- 2.具体的な事例問題を検討し,関連する判例・学説の理解に努める。とくに産業上の利用可能性,新規性,進歩性,特許を受けることができない発明について学ぶ。 [到達目標]様々な新規性喪失基準についての理解を深める。
- 3.具体的な事例問題を検討し,関連する判例・学説の理解に努める。とくに発明者の認定,特許を受ける権利の性質,内容等について学ぶ。 [到達目標]特許を受ける権利の成立・帰属・効力・処分・消滅に係るトータルな理解を得る。
- 4.具体的な事例問題を検討し,関連する判例・学説の理解に努める。とくに職務発明制度について学ぶ。 [到達目標]相当の経済的利益請求権についての理解を深める。
- 5~6.具体的な事例問題を検討し,関連する判例・学説の理解に努める。とくに無効審判・審決取消訴訟等について学ぶ。 [到達目標]特許権の消長に係る上記の手続の構造についての理解を得る。
- 7.具体的な事例問題を検討し,関連する判例・学説の理解に努める。とくに特許権はいかなる効力を有するかについて学ぶ。試験や研究のためにする実施,医薬品の調剤行為や特許権の消尽等,特許権が制限され合法とされる実施行為についても,勉強していく。 [到達目標]上記に関連する様々な重要判例の理解を深める。
- 8.具体的な事例問題を検討し,関連する判例・学説の理解に努める。とくに特許権の経済的利用について学ぶ。専用実施権,通常実施権の性質と内容について勉強していく。 [到達目標]特許ライセンスの様々な態様と効力についての理解を得る。
- 9~11.具体的な事例問題を検討し,関連する判例・学説の理解に努める。とくに特許発明の技術的範囲を確定する種々のアプローチ,均等論について学ぶ。 [到達目標]発明の容旨認定,文言侵害,均等侵害についての理解を深める。
- 12.具体的な事例問題を検討し,関連する判例・学説の理解に努める。とくに擬制侵害(間接侵害)制度について学ぶ。 [到達目標]上記の制度に係る若干の重要論点を押さえる。
- 13.具体的な事例問題を検討し,関連する判例・学説の理解に努める。とくに特許無効の抗弁,先使用の抗弁,禁反言の抗弁について学ぶ。 [到達目標]いわゆるダブルトラックが惹起する複雑な問題に目を奪われて迷子にならないように,なるべく構造的な理解を得る。
- 14.具体的な事例問題を検討し,関連する判例・学説の理解に努める。とくに差止め,損害賠償等の特許権の救済について学ぶ。 [到達目標]差止請求及び損害額の推定に係る条文の適用の仕方を学ぶ。
教科書
とくになし。
参考書
以下は,特許法の体系書・基本書。期末試験は事例問題を予定しているので,下記の書籍も参考となろう。小泉直樹/駒田泰土編『知的財産法 演習ノート[第5版]』(弘文堂・2022)
『標準特許法[第8版]』
著者: 高林龍
出版社: 有斐閣/2023年
『特許法 第5版』
著者: 中山信弘
出版社: 弘文堂/2023年
特許判例百選第5版
著者: 小泉直樹他
出版社: 有斐閣,2019