模擬裁判(刑事)

専門職学位課程法学研究科

LWS50700

コース情報

担当教員: 朝山 芳史

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 金4

形式: 対面授業

レベル: 700

アクティブラーニング: あり

他学部履修: 不可

評価方法

その他

上智大学法科大学院の成績評価基本原則による。授業への参加態度(他との協力態度を含む。欠席は減点の評価事項として扱う),準備活動への取組み,訴訟活動の実践及び法文書作成の内容等の総合的な評価による。

100%

詳細情報

概要

第1審刑事裁判の過程について,学生が検察官,弁護人,裁判官等の役割を分担して,刑事実体法及び刑事手続法の学習成果を活用しながら,訴訟活動を実演し,これを通じて,法理論の学習成果をより深めるとともに,証拠に基づく事実認定,証人尋問の技法,各種の訴訟行為の在り方などの刑事訴訟実務の要諦を体験理解することを目標とする。 検察官役においては,第1回公判期日前の事前準備活動(立証計画の策定,起訴状や証明予定事実記載書等の作成,証拠調べ請求,証拠開示請求に対する判断,冒頭陳述の作成など),公判段階における立証活動(証人との事前面接,証人尋問における主尋問の技法など),論告・求刑等を担当し,実践する。 弁護人役においては,第1回公判期日前の事前準備活動(被告人との接見,証拠の収集,開示記録の検討,証拠開示請求,検察官請求証拠に対する意見,弁護方針の策定,立証計画の策定,予定主張記載書面等の作成,証拠調べ請求,冒頭陳述の作成など),公判段階における立証活動(検察官請求の証人に対する反対尋問の技法,弁護側立証の技法),弁論等を担当し,実践する。 裁判官役においては,公判前整理手続及び公判期日全般の運営と訴訟指揮,証人尋問における補充尋問の技法,証拠に基づく評議,判決等を担当し,実践する。 法曹三者出身の実務家教員が共同して,これらについて講義,教示する。授業中のコメントや準備活動中の個別指導を通じて,検察官,弁護人及び裁判官の役割の違い,それぞれの活動のポイントや刑事手続のイメージが学生に豊富に伝わるように工夫する。 なお,本講義は,毎回,役割分担に基づくグループワークと実演,受講生との対話型ディスカッションなどのアクティブ・ラーニングの方法を取り入れて実施する。

目標

1)検察官,弁護人,裁判官の三者の役割を理解した上で,事前準備,公判前整理手続,公判前準備,公判期日及び公判準備においてなすべき活動について,具体的に説明することができる。 2)割り当てられた各役割に応じて,事前準備,公判前整理手続及び公判期日においてなすべき訴訟行為等の意義と内容を理解し,実際にこれを実践することができる。 3)刑事実体法と刑事手続法の理論的知識が,刑事実務に携わる中でどのような意義を持ち,どのようにして生かされるかを理解して,より実践的な知識や実務での応用能力を身に付けることができる。

授業外の学習

模擬裁判の進行に合わせて,これまでの学習で刑事実体法や刑事手続法が正確に理解できているか,及び刑事訴訟実務の適切な在り方は何かを確認しながら,割り当てられた各役割に応じて,他の受講生と協力して充実した事前準備を行うことが求められる。 また,授業後は,授業中の全体指導や準備活動中の個別指導を通じた実務家教員からの指摘を振り返って,より高度で実践的な法理論の確実な修得を目指すことが期待される。

所要時間: 約200分

スケジュール

  1. 【注意事項:以下は予定であり,授業計画の1~14回は,使用する事件記録の内容や配役決定後に受講生間で協議する公判前整理手続や公判手続の進行・審理計画等に合わせて,柔軟に内容を変更して実施する。そのため,オリエンテーションで概括的な進行予定を説明した上で,各授業実施前に次回の具体的な実施内容の詳細を告知する。】 オリエンテーション(第1回) 進行方法(授業の進め方),検察官,弁護人,裁判官の各役割を説明し,配役を決定する。
  2. 事前準備,公判前整理手続,講評,公判前準備(第2回~第5回) 各役割に応じて事前準備活動及び公判前整理手続における活動を行う。その中で,教員が,検察官・弁護人・裁判官の果たすべき役割について,教示・講義する。
  3. ミニミニ模擬裁判(第6回) 自白事件の模擬記録を題材にして,そのシナリオに即して検察官,弁護人,裁判官の各役割を演じて公判手続を通しで実践する。その内容につき,教員が講評を行って,第7回以降の模擬裁判の公判に備える。
  4. 模擬裁判(公判手続)・講評,公判準備(第7回~第14回) 第1回公判期日から判決公判期日に至るまでの第1審手続全体の模擬公判を実施し,各役割に応じて訴訟活動を行う。模擬公判の各回において,検察官,弁護人,裁判官の視点から,教員が講評を行う。 公判期日実施以外の授業日は,担当教員の指導の下,役割ごとの公判準備活動を行う。
  5. 秋学期中の授業時の負担軽減のため,学期開始前にオリエンテーションを前倒しして実施するなど,授業計画を工夫する場合がある。

教科書

実際の刑事裁判記録を加工した記録教材を使用する。教材は,手続の進行に応じて,各段階で配付し,できる限り実際の裁判に近い形で進行するように配慮する。

    参考書

    授業の性質上,参考書は特に設けないが,刑事訴訟法,刑事訴訟規則の文献は,適宜,参照してほしい。なお,訴訟実務基礎(刑事)で紹介した文献や資料も参考にするとよい。

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