模擬裁判(民事)*

専門職学位課程法学研究科

LWS50600

コース情報

担当教員: 角田 雄彦

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 水5, 水6

形式: 対面授業

レベル: 700

アクティブラーニング: あり

他学部履修: 不可

評価方法

その他

上智大学法科大学院の成績評価基本原則による。授業への参加態度(他との協力態度を含む。欠席は減点の評価事項として扱う。),訴訟活動の実践,準備活動への取組み及び提出書面(課題)の内容等を総合して評価を決定する。

100%

詳細情報

概要

民事裁判の過程における主要な場面について,学生の参加によるシミュレーションを行うことによって,民事実体法や手続法の実践的な意義を体得させるとともに,実務的な能力の基礎を修得させる。 民事訴訟における弁論,争点整理及び証拠調べ(尋問ほか)等の法廷活動を中心とするが,依頼者からの事情聴取,訴状,答弁書,準備書面,和解条項や判決書の作成等の法廷外の準備活動についても,重要なポイントを指摘するとともに,適宜取り上げて実技を行う。 実務家教員3名(角田雄彦・岩崎政孝・派遣裁判官教員)が共同して授業を行い,要件事実的志向を生かしながら民法等の実体法や民事訴訟法の理解を深めて適切に活用するという観点や,訴訟当事者や裁判官に求められる実務的な最良の活動を探究するという観点を踏まえて,それぞれの立場から指導し,法理論と実務の架橋も積極的に試みる。最新の民事訴訟のIT化の状況についても適宜言及する。参加者は,自身の担当する役割を探究し実演するのみならず,他の参加者の実技に対しても積極的にコメントすることが求められる。 教材・設例等は,教員が共同して事前に準備・作成し、授業にあたっては3人が毎回立ち会って学生を指導し,実技に対する講評や発展的な研究課題の指摘を行う。 原則として5,6限目連続の授業とし,概ね隔週で開講する。 <アクティブ・ラーニングの内容> 毎回,役割分担に基づく実演やグループワーク,受講生との対話型ディスカッションなどの方法を適宜取り入れて実施する。

目標

1)民事裁判手続の主要場面につき,これまでに学習した法知識を応用し,実務的な能力の基礎を修得することができる。 2)民事実体法及び民事訴訟法に関する知識を深めるとともに,弁論期日・和解期日での適切な振る舞い,争点整理・交互尋問の技術,判決の言渡し等の民事訴訟の営みを理解し,適切に実践することができる。 3)民事訴訟手続における法文書作成(訴状,答弁書,準備書面,証拠説明書,和解条項,判決書等)及び立証活動の意義・機能を理解し,適切に実践することができる。 4)訴えの提起前の準備から判決に至るまでの第一審手続につき重要なポイントを指摘するとともに,民事裁判手続と民事保全及び民事執行の有機的な連関を説明することができる。 5)具体的な民事裁判手続を通じて民事訴訟法上の問題点を指摘することができる。 6)民事訴訟手続のIT化の議論につき,その状況と意義を説明することができる。

授業外の学習

講義開始前に「法科大学院教育研究支援システム」(通称TKC)に掲載する履修要領により指示する内容や授業等を通じて教員が指示する課題につき,各自の役割ごとに,毎回準備すること。

所要時間: 授業1回あたり,190分の学習時間〔予習復習時間も含め〕を確保し実践すること。

スケジュール

  1. 【以下は予定であり,本授業では実際の民事訴訟事件を素材にした教材用裁判記録を選択して使用する関係で,使用記録により各回の進行が若干異なる場合があるため,講義の進行方法の詳細(履修要領)を開講前に「法科大学院教育研究支援システム」にて掲示し,初回授業時に詳しいスケジュールを説明する。】 オリエンテーション(初回授業) 講義のねらい,資料の配付,第1審手続の進め方の概説,今年度の進行予定や受講生の準備スケジュール等の模擬裁判の要領等の説明を行う。模擬裁判の過程で作成を求められている書類等を確認し,参照すべき書籍を紹介する。
  2. 役割毎の各自又はグループでの作業 各役割に分かれ,訴えの提起とそれ以降の手続に向けて作業する。当事者代理人役は,配付資料の内容と意義を確認のうえ,訴状や答弁書,証拠説明書の全部又は一部を準備する。裁判官役は,訴状の審査と第1回口頭弁論期日へ向けての準備を確認する。なお,受講生の人数によって実際の役割分担の方法や授業内容を決定するため,受講者少数のときには裁判官役などを教員が担う場合もある。
  3. 模擬裁判,第1回期日 訴状送達,答弁書直送を実施した上で,実際に法廷教室を用いて第1回口頭弁論期日を実施する。各役割になりきり,事件の呼び上げ,出頭当事者の確認,訴状・答弁書陳述,釈明権の行使,証拠調べなどの実際の法廷での振る舞いを実践する。
  4. 第1回期日の講評 各役割の第1回口頭弁論期日までの訴訟行為の実践につき全員で評価分析する。教員からは提訴前準備から第1回期日までの各役割の一連の行為実践について問題点を指摘し,今後の手続進行を示唆する。これを踏まえ,次回以降の手続の準備をする。
  5. 模擬裁判,第2回期日 法廷教室において第2回期日を実施する。当事者は必要な準備書面を陳述し,裁判官は釈明などを行いながら争点を整理していく。
  6. 第2回期日の講評 各役割の訴訟行為の実践につき全員で評価分析する。教員からは第1回期日後から第2回期日までの各役割の一連の行為実践について問題点を指摘し,今後の手続進行を示唆する。これを踏まえ,次回以降の手続の準備をする。
  7. 模擬裁判,第3回期日 法廷教室において第3回期日を実施する。当事者は必要な準備書面を陳述し,裁判官は釈明などを行いながら争点を整理していく。新たな証拠を提出し,次回以降の見通しを立てる(争点整理,立証計画,人証申出,人証採否等)。
  8. 第3回期日の講評 各役割の訴訟行為の実践につき全員で評価分析する。教員からは第2回期日後から第3回期日までの各役割の一連の行為実践について問題点を指摘し,今後の手続進行を示唆する。これを踏まえ,次回以降の手続の準備をする。
  9. 模擬裁判,第4回期日 法廷教室において第4回期日として,おもに人証の取調べを集中的に行う。尋問のルールや時間を意識して交互尋問を実践する。尋問終了後,次回弁論の見通しを立てる。
  10. 第4回期日の講評 各役割の訴訟行為の実践につき全員で評価分析する。教員からは第3回期日後から第4回期日までの各役割の一連の行為実践について問題点を指摘し,今後の手続進行を示唆する。これを踏まえ,次回以降の手続の準備をする。
  11. 模擬裁判,第5回期日 法廷教室において第5回期日に引き続き和解手続を行う。当事者双方の最終準備書面の陳述,弁論終結,その後の和解勧試ののち,和解の方式などを意識しながら和解手続を実践する。 なお,和解勧試及び和解手続は人証の取調べと実施順序を入れ替えて行い,人証の取調べ後の最終準備書面の作成・陳述は行わないことがある。
  12. 第5回期日の講評 各役割の訴訟行為の実践につき全員で評価分析する。教員からは第4回期日後から第5回期日までの各役割の一連の行為実践について問題点を指摘し,今後の手続進行を示唆する。これを踏まえ,次回以降の手続の準備をする。
  13. 模擬裁判,第6回期日 法廷教室において第6回期日として裁判官役が判決を言い渡す。書記官役は判決正本を当事者に交付送達する。敗訴当事者代理人役は,控訴の是非,控訴理由及び控訴審での争点の見通しなどを検討する。
  14. 第6回期日の講評 各役割の訴訟行為の実践につき全員で評価分析する。教員からは,これまでの弁論,立証活動,争点及び証拠の整理,並びに和解及び判決の内容等の全般について問題点を指摘する。模擬裁判の全過程を踏まえ,民事裁判の手続段階毎に問題点を確認し,理解する。特に請求の構成や反論内容の是非,主たる争点の理解,証拠評価や事実認定等につき詳しく吟味する。

教科書

開講前に「法科大学院教育研究支援システム」にて掲示する履修要領も参照のこと。教材用裁判記録のほか,授業内容に関連したプリント資料を準備・配付する。

  • 第4版 民事訴訟第一審手続の解説

    著者: 司法研修所監修

    出版社: 法曹会,2020年

参考書

開講前に「法科大学院教育研究支援システム」にて掲示する履修要領も参照のこと。

  • 8訂 民事弁護の手引(増訂版)

    著者: 司法研修所編

    出版社: 日本弁護士連合会,2019年

  • ステップアップ民事事実認定(第2版)

    著者: 土屋文昭=林道晴編 村上正敏=矢尾和子=森純子=佐藤彩香=太田章子=行川雄一郎著

    出版社: 有斐閣,2019年

  • 改訂 新問題研究 要件事実

    著者: 司法研修所編

    出版社: 法曹会,2023年

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