刑事訴訟法A
専門職学位課程法学研究科
LWS21401
コース情報
担当教員: 岩下 雅充
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 金2
形式: 対面授業+オンライン授業(オンデマンド授業,同時双方向型授業(Zoomなど)) /Alternating face-to-face & A
レベル: 700
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 不可
評価方法
授業参加
定期試験
定期試験期間中
小テスト等
その他
《 補足の説明 》 【 「上智法科大学院成績評価基本原則」について 】 それぞれの評価要素およびその割合に関しては,「上智法科大学院成績評価基本原則」を参照する。なお,個々の受講者の実力を確認するという目的のもとに,小テストが実施される。 【 「授業参加」の評価要素(10.0%)について 】 その内容については,第1回の授業で説明する。なお,授業の欠席については,これを減点の対象とする。
詳細情報
概要
刑事訴訟法における捜査の領域および公訴・公判・裁判の領域について知識・理解の具体化・深化をはかるのとともに,この領域にまつわる重要な論点をとり上げて具体的に解説・検討することによって,刑事訴訟法の解釈・適用に関する法的な思考力・分析力と論述力を高める。この授業は,「刑事訴訟法基礎Ⅰ」・「刑事訴訟法基礎Ⅱ」や学士課程の刑事訴訟法の科目において得た基本の知識・理解をもとに,あるいは,刑事訴訟法に関する自学自習の成果をもとに,応用・展開の可能性を高めるために,これに必要な学びにとり組む場と位置づけられる。 この授業の進行は,規定の内容・趣旨にかかる判例・学説のとらえ方やその背景となる考え方の意義・射程などに立ち入って,法の解釈・適用に関する知識・理解を具体化・深化させたうえで,架空の事例や判例の事案を用いた解説・検討によって,解釈・適用のあり方を探るというながれになる。いずれの場面でも質疑応答の機会が設けられるため,解答や発言に困らないように準備したうえで授業にのぞむことが必要となる。
目標
この授業のねらいは,刑事訴訟法(捜査の領域および公訴・公判・裁判の領域)においてさまざまな事例・事案の問題に適切に対応できるような能力を獲得するというところにある。その到達点は,問題の解決に必要な法の解釈に慣熟することと,正しく選択・定立した法の精確な適用を具体的に会得するということにある。 このような能力の獲得に向けて,判例・学説に対する精密な理解をもとに,問題の所在を的確に把握したうえで,その解決の道筋を種々の観点から深掘りして示せるように,必要となる法的な思考力・分析力と論述力を高めてもらう。そのためには,規定の内容・趣旨ないし背景となる考え方から問題の解決に必要な判断のわく組みを合理的に導出する過程や,具体的な問題の解決にとって重要な事実の見極めおよびその事実に対する意味づけの言語化など,解釈・適用の作法に関連することがらを修得しなければならない。
授業外の学習
1回の授業において扱われるテーマ・論点は多岐にわたるため,予習によってそれぞれのテーマ・論点の大筋を把握することが不可欠となる。また,授業において理解しきれなかった事項をそのつどの復習によってフォローするということも必要となる。とくに,授業において用いられる架空の事例や判例の事案をもとに自学自習することは,授業の前にも授業の後にも欠かせない。
所要時間: 授業1回あたり190分以上
スケジュール
- 【 刑事訴訟法の基本原理 / 捜査 : 総説 / 被疑者の身体拘束(1) 】 刑事手続のながれ / 刑事訴訟法の歴史 / 刑事訴訟法の目的および構造 / 捜査の意義・構造 / 捜査機関-司法警察職員 / 捜査機関-検察官 / 被疑者とその弁護人 / 違法な捜査に対する法律上の効果 / 捜査の基本原則(強制処分法定主義・令状主義や捜査比例の原則) / 逮捕・勾留に対する法の要請 / 逮捕・勾留の意義と要件・手続 / 逮捕・勾留に対する被疑者の防御 / 現行犯逮捕の限界 《到達目標》 *刑事手続の目的について,条文に現れている指導理念(事案の真相解明,手続の適正)を踏まえて,説明することができる。 *当事者追行主義の意義について,職権主義と対比しつつ説明することができる。 *司法警察職員の地位・役割や捜査における検察官と司法警察職員との関係について,条文に則して説明することができる。 *「強制処分法定主義」の法文上の根拠と,その意義・趣旨について説明することができる。 *「強制処分法定主義」と「令状主義」との関係・異同について説明することができる。 *強制処分とされた捜査手段について,その適法性がどのように判断されるのかを説明することができる。 *違法捜査に対して,刑事手続の内外で講じることのできる措置(準抗告,証拠排除,公訴棄却,懲戒処分,刑事罰,国家賠償)について,条文に則し,また判例の立場をふまえて説明することができる。 *準抗告の意義及び対象となる処分について,条文に則し,また判例の立場をふまえて説明することができる。 *身体拘束処分に対する令状主義の原則の趣旨を理解している。 *現行犯逮捕が無令状で許される趣旨を理解している。 *緊急逮捕制度の合憲性についての主要な考え方を理解している。 *逮捕の種類とそれぞれの異同を理解している。 *通常逮捕の要件と手続,現行犯及び準現行犯の意義,緊急逮捕の要件と手続について,それぞれ,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *現行犯逮捕の要件について理解している。 *被疑者が逮捕された後の手続の流れについて,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *勾留の実体的要件(勾留の理由と必要性)について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *勾留の手続(勾留質問,勾留請求権者,勾留状,勾留請求の時間制限等)について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *勾留期間とその延長について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *被疑者勾留の場所について,条文上の根拠(「刑事収容施設関連法規」も含む)を示したうえで説明することができる。 *取消請求,準抗告,勾留理由開示請求,被勾留者の権利について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *被疑者の勾留と被告人の勾留の異同について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。
- 【 被疑者の身体拘束(2) / 供述証拠の収集 】 逮捕前置主義 / 逮捕の違法とその後の勾留 / 再逮捕・再勾留 / 別件逮捕・別件勾留 / 被疑者の取調べの意義 / 取調べの録音・録画 / 取調べ受忍義務 / 余罪の取調べ / 参考人の取調べ 《到達目標》 *逮捕前置主義の条文上の根拠と趣旨について理解している。 *逮捕後に被疑事実が変動した場合の処理について説明することができる。 *逮捕手続に違法があった場合の,引き続く勾留請求の可否及び勾留の効力について説明することができる。 *事件単位原則の意義と趣旨について,条文上の根拠を示したうえ,異なった考え方と対比して説明することができる。 *一罪一逮捕一勾留の原則の意義について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *どのような場合に例外が認められるかについて,主要な考え方を理解している。 *別件逮捕・勾留の意味と問題点について,主要な考え方を理解している。 *別件逮捕・勾留の問題と身柄拘束中の余罪取調べの可否の問題との関係を説明することができる。 *違法な別件逮捕・勾留又は違法な余罪取調べがあった場合の法的効果について説明することができる。 *被疑者取調べの条文上の根拠を示したうえで,現行法上の法的規制の方法(証拠法に関わるものを含む)について説明することができる。 *供述拒否権の条文上の根拠を示したうえで,その意義,供述を拒否できる事項及びその告知の趣旨について説明することができる。 *供述録取書の作成手続について,条文に則して説明することができる。 *取調べの適正を確保するための方策について理解している(取調べ状況報告書の作成,取調べに関する監督の強化,取調べの録音・録画の実施等)。 *取調べ受忍義務の肯定説・否定説それぞれの根拠について,条文に則して説明することができる。 *余罪取調べの限界について,主要な考え方をふまえて説明することができる。 *被疑者以外の者に対する取調べの手続について,条文に則して説明することができる。 *被疑者以外の者に対する第一回公判期日前の証人尋問の要件・手続について,条文に則して説明することができる。
- 【 強制の手段による物的証拠の収集(1) 】 捜索・押収に対する法の要請(対象の明示など) / 捜索・差押えの意義 / 検証・身体検査・鑑定の意義 / 捜索・差押え等の実施-処分の内容と手続 / 捜索・差押え等に対する被疑者の防御 《到達目標》 *「押収」が持つ複数の意味を,条文に則して理解している。 *領置について,その性質を理解し,その要件を条文に則して説明することができる。 *検証の意義及び実況見分との差異について理解している。 *鑑定の意義とそのために行うことができる処分について,条文に則して理解している。 *令状主義の意味について,憲法35条の文言に則して説明することができる。 *憲法上及び刑訴法上,捜索・押収が無令状で許される場合と,その実質的根拠について理解している。 *捜索すべき場所及び捜索の目的物について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *差押えの対象について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *捜索と差押えの実体的要件(理由と必要性)について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *報道機関に対する捜索・差押えが,憲法上及び刑訴法上,いかなる要件の下で許されるかについて,判例の立場をふまえて説明することができる。 *捜索・差押えを実施する際の手続について,条文に則して説明することができる。 *捜索差押令状の請求手続について,条文に則して説明することができる。 *捜索差押令状において,捜索場所と差押目的物の特定が要求されている趣旨について説明することができる。 *捜索場所の特定について説明することができる。 *差押目的物の特定について,判例の立場をふまえて説明することができる。
- 【 強制の手段による物的証拠の収集(2) 】 令状による捜索・差押え等の限界 / 逮捕に伴う捜索・差押え等の限界 / 捜索・差押え等に付随する処分の限界 《到達目標》 *捜索・差押えの実施にあたって,令状の事前呈示が要求される趣旨と,その例外が認められる根拠について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *捜索・差押えの実施に「必要な処分」の内容を理解している。 *場所に対する捜索差押令状で,そこにいる人の身体及び所持品を捜索することが,いかなる根拠により,どの範囲で許されるかを説明することができる。 *差し押さえられた物が令状記載の差押目的物に該当するか否かがいかなる基準によって判断されるのかを,具体的事例に即して説明できる。 *逮捕に伴う捜索・差押えが無令状で許される理由についての主要な考え方を理解している。 *逮捕に伴う捜索・差押えの対象物について説明できる。 *「逮捕の現場」での捜索の対象となる場所の範囲について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *被逮捕者の身体・所持品の捜索を実施できる場所について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *逮捕に伴う捜索・差押えが許される時間的範囲について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。
- 【 特種の強制捜査 】 体液などの採取(強制採尿その他) / 電磁的記録物の捜索・差押え / 通信傍受(盗聴) 《到達目標》 *身体検査に関する特別な規律の内容とその根拠について理解している。 *身体の捜索と身体検査の差異について理解している。 *裁判所が命じる鑑定と,捜査機関の嘱託による鑑定の手続の差異について理解している。 *電磁的記録媒体を対象として捜索・差押えを行う場合に生じうる問題(記録内容を確認することなく行う差押えの可否など)について理解している。 *強制採尿の許容性に関する判例の立場とそれに反対する見解の根拠について理解している。 *強制採尿が認められる実体的要件とその理由を説明することができる。 *強制採尿のための令状の形式について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *強制採尿のための連行について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *通信・会話の傍受の合憲性について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *通信・会話の傍受の法的性質について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *通信傍受法の法的規律の趣旨・目的について,令状主義及び強制処分法定主義の意義との関係から理解し,説明することができる。
- 【 任意捜査の限界(1) 】 強制捜査と任意捜査との区別 / 人の容ぼう等の撮影 / おとり捜査 / 一部の当事者が同意したときの録音 / 行動の監視 《到達目標》 *任意捜査と強制捜査との区別の基準について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *有形力の行使を伴う捜査手段と,それを伴わない捜査手段(例えば,写真撮影)それぞれについて,上記の基準がどのように適用されるのかを説明することができる。 *任意処分とされた捜査手段について,その適法性判断の枠組みを,判例の立場をふまえて説明することができる。 *有形力の行使を伴う捜査手段と,それを伴わない捜査手段それぞれについて,具体的事案から事実を抽出したうえで,上記の判断枠組みに適用することができる。 *捜査手段としての写真・ビデオ撮影の法的性質(任意手段か強制手段か)及び要件について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *会話の一方当事者による秘密録音の法的性質及び要件について,主要な考え方をふまえて説明することができる。 *おとり捜査の意義について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *おとり捜査の適否の判断基準について,主要な考え方を理解している。 *違法なおとり捜査の訴訟法上の効果について,主要な考え方を理解している。 *いわゆるGPS捜査の法的性質(任意手段か強制手段か)について,判例の立場をふまえて説明することができる。
- 【 任意捜査の限界(2) / 捜査の端緒と捜査の終結 】 任意同行・任意取調べ / 引き続く捜査を目的とした被疑者の留置き / 捜査機関の活動による捜査の端緒(職務質問・所持品検査や検問) / 捜査機関以外の者による捜査の端緒 / 捜査の終結 / 起訴後の捜査 《到達目標》 *任意同行の限界について,判例の立場をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *任意出頭・同行後の取調べの限界について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *捜査の端緒の意義と種類について説明することができる。 *告訴・告発の意義,主体,期間,効果について,条文に則して説明することができる。 *職務質問の法的根拠と法的性格について,条文に則して説明することができる。 *職務質問の要件について,条文に則して説明することができる。 *職務質問のために対象者を停止させる行為の限界について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *職務質問のための任意同行の限界について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *所持品検査の法的根拠と法的性格について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *所持品検査の限界について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *自動車検問の種類と,それぞれの法的根拠及び法的性格について説明することができる。 *自動車検問の際にとりうる措置について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *警察における捜査が一応完了した場合の措置(検察官への事件送致)について,条文に則して説明することができる。 *事件送致に関する例外的取扱い(微罪処分としての不送致等)について,条文に則して説明することができる。 *被告人の取調べの可否について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。
- 【 被疑者の防御 】 黙秘権 / 被疑者の弁護人依頼権 / 被疑者の国選弁護 / 被疑者の接見交通権 / 被疑者による証拠保全 《到達目標》 *黙秘権の条文上の根拠を示したうえで,その保障の趣旨について説明することができる。 *黙秘権の及ぶ事項(自己に不利益な事実の意義)について,被疑者(被告人)の供述拒否権との相違をふまえて説明することができる。 *刑事手続以外の手続における黙秘権の保障の有無について説明することができる。 *黙秘権の及ぶ行為(「供述」の意義,「供述」以外の行為等の取扱い)について説明することができる。 *権利保障の効果(供述義務賦課の禁止,権利を侵害して得られた証拠の利用禁止,不利益推認の禁止等)について説明することができる。 *弁護人選任権の憲法上及び刑事訴訟法上の根拠について示したうえで,弁護人の選任手続について,条文に則して説明することができる。 *被疑者国選弁護制度の仕組み(要件及び手続)について,条文に則して説明することができる。 *接見交通権の刑事訴訟法上の根拠を示したうえで,同権利の内容,保障の趣旨及び憲法上の権利との関係について,判例をふまえて説明することができる。 *接見指定の要件について,条文に則して説明することができる。 *「捜査のため必要があるとき」(39条3項)の意義に関する解釈について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *弁護人からの接見の申出に対し接見指定をする場合に,捜査機関の採るべき措置(弁護人と協議してできる限り速やかな接見のための日時等を指定する)について,判例の立場をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *逮捕直後の初回の接見の申出に対して接見指定をするに当たり,捜査機関が考慮すべき事項について,判例の立場をふまえて説明することができる。 *接見指定を認める39条3項の合憲性について,判例における考慮要因をふまえて説明することができる。 *同一人について被告事件の勾留とその余罪である被疑事件の逮捕,勾留とが競合している場合における,余罪捜査の必要を理由とする接見指定の可否について,判例の立場をふまえて説明することができる。 *弁護人以外の者との接見交通権の条文上の根拠を示したうえで,弁護人との接見交通権との相違(立会人の有無,接見禁止の可否)について,条文に則して説明することができる。 *証拠保全の意義,要件及び手続について,条文に則して説明することができる。
- 【 公訴 : 総説 】 国家訴追主義・起訴独占主義 / 起訴便宜主義 / 不当な起訴・不起訴の防止と是正 / 公訴提起の手続 / 起訴状一本主義(公平な裁判所や予断排除の原則も含めて) 《到達目標》 *検察官の行う事件処理の種類(狭義の不起訴処分・起訴猶予処分,起訴処分,家庭裁判所送致等)について理解している。 *国家訴追主義と起訴独占主義について,条文上の根拠を示した上,私人訴追主義等と対比しながら,その意義を説明することができる。 *刑事手続における検察官の地位・役割について,条文に則して説明することができる。 *起訴便宜主義について,条文上の根拠を示した上,起訴法定主義と対比しながら,その意義を説明することができる。 *起訴猶予処分を行う際の考慮要素について,条文に則して説明することができる。 *公訴取消の制度について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *検察審査会制度の概要(構成,権限,申立・審査手続,議決の種類と効力等)及び趣旨について理解している。 *付審判請求手続の概要(対象犯罪,請求・審理手続,付審判決定の効果等)及び趣旨について理解している。 *公訴権濫用論の意義について,判例の立場をふまえ,具体例を挙げながら説明することができる。 *公訴提起の手続(公判請求の場合と略式命令請求の場合)について,条文に則して説明することができる。 *起訴状の方式(記載事項)について,条文に則して説明することができる。 *被告人確定の基準について理解したうえで,当該訴訟における被告人が誰かについて,審理手続の方式及び段階に応じて説明することができる。 *起訴状一本主義の趣旨について理解している。 *予断防止の原則違反の有無について,判例の立場をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。
- 【 公判手続(1) 】 公判の基本原則(公開主義・口頭主義や迅速な裁判など) / 公判手続と当事者主義 / 裁判所と裁判官 / 被告人 / 弁護人と弁護の制度 / 公判手続の進行(通常第1審の公判期日) / 各種の手続(即決裁判手続・略式手続やいわゆる裁判員裁判など) / 公判の準備(起訴状謄本の送達や勾留・保釈など) / 証拠開示と公判前整理手続 《到達目標》 *公判手続の基本原則の意義について理解している。 *迅速な裁判の意義及びこれを保障するための制度・方策について,条文及び判例の立場をふまえて説明することができる。 *刑事訴訟を担当する裁判所の種類とそれぞれの役割,刑事裁判の管轄,国法上の裁判所と訴訟法上の裁判所の違いについて,条文に則して概要を説明することができる。 *裁判官の除斥・忌避・回避について理解している。 *被告人の訴訟能力の意義とそれを欠く場合の効果について,条文に則し,また判例の立場をふまえて説明することができる。 *被告人の公判への出頭が必要な理由と,その例外が認められる場合について理解している。 *起訴後勾留の意義と要件,起訴後勾留における接見交通,勾留の期間について,条文に則して説明することができる。 *保釈制度の意義と手続,権利保釈の意義とその例外,保釈の取消しについて,条文に則して説明することができる。 *勾留の執行停止の意義について,条文に則して,保釈との異同を説明することができる。 *弁護人の地位・役割について,条文に則して説明することができる。 *国選弁護制度の意義や必要的弁護制度の意義について,憲法及び刑訴法の条文をふまえて理解している。 *国選弁護人の選任解任の要件と手続について,条文に則して説明することができる。 *必要的弁護事件において弁護人がない場合の措置について,条文に則して説明することができる。 *公判の準備における主要な手続の流れについて理解している。 *公判前整理手続の目的及び従前の事前準備との異同について,制度が新設された経緯をふまえ,また,証拠開示に関して従前の判例と異なる点をふまえ,それぞれ理解している。 *公判前整理手続の進行とその関与者及び手続の内容について,条文に則して説明することができる。 *証拠開示の要件や証拠開示に関する裁定手続について,条文に則し,また判例の立場をふまえて説明することができる。 *公判前整理手続に付された事件の公判審理に関する特例等について,条文に則して説明することができる。 *部分判決制度の意義と趣旨について理解している。 *第1審公判期日の手続の進行について,条文に則して説明することができる。 *裁判所の訴訟指揮及び法廷警察の意義について理解している。 *弁論の分離・併合の意義と趣旨及び手続について,条文に則して説明することができる。 *公判手続の停止や公判手続の更新について,条文に則して説明することができる。 *簡易公判手続と即決裁判手続のそれぞれの意義と内容について,条文に則して説明することができる。 *裁判員制度の基本構造及び裁判員の選任手続について,裁判員法の条文に則して説明することができる。
- 【 公判手続(2) / 救済手続 】 証拠調べの手続 / 被疑者・被告人と検察官との協議・合意 / 刑事免責 / 被害者の参加 / 上訴の意義 / 上訴の基本原則(破棄判決の拘束力や審査の対象など) / 控訴 / 上告 / 抗告など / 再審の意義と手続 / 非常上告 《到達目標》 *証拠調べの手続(証拠調べ請求の方式,証拠決定,証明力を争う機会の付与,証拠調べに関する異議)について,条文に則して説明することができる。 *職権証拠調べの意義について理解している。 *証人,証拠書類,証拠物の取調べ方式について理解している。 *証人の意義,証人適格,証人の権利義務,鑑定証人の意義について,条文に則して説明することができる。 *証人尋問の方式について,条文に則して説明することができる。 *公判期日外の証人尋問が行われる場合の要件・手続について条文に則して説明することができる。 *証人の保護を目的とした諸制度の意義と内容について,条文に則して説明することができる。 *被告人質問の意義と手続について,条文に則して説明することができる。 *複数の被告人が併合審理を受ける場合の証拠の取扱いについて理解している。 *刑事免責制度の意義及び同制度と憲法との関係について,判例の立場をふまえて説明することができる。 *協議・合意制度の意義と内容について,条文に則して説明することができる。 *意見陳述制度と被害者参加制度のそれぞれの意義と内容について,条文に則して説明することができる。 *上訴制度の意義と種類について理解している。 *上訴の利益の有無について,具体的事例に即して説明することができる。 *無罪判決に対する検察官上訴の合憲性について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *一部上訴の可否について理解している。 *攻防対象論や不利益変更の禁止について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *破棄判決の拘束力について説明することができる。 *控訴申立の手続や控訴理由の種類について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *控訴審の基本構造について,旧法等と対比しながら説明することができる。 *控訴審の審理手続,事実の取調べ,控訴裁判所の行う裁判の種類について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *上告理由の種類,上告審の行う裁判の種類,職権破棄事由について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *通常抗告,即時抗告,特別抗告等の意義及び手続について理解している。 *再審制度の意義や再審の手続について,非常上告との差異を含めて理解している。 *再審事由の種類について,条文上の根拠を示したうえで説明することができる。 *証拠の新規性について,具体的事例に即して説明することができる。 *証拠の明白性の判断方法と程度について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。
- 【 審判の対象と訴因(1) 】 審判の対象に関する考え方 / 訴因の特定 / 一罪の一部起訴と審判の対象 《到達目標》 *起訴状の記載事項について,条文に則して説明することができる。 *訴因と公訴事実の関係について,主要な考え方を理解している。 *訴因の機能について,主要な考え方を理解している。 *訴因の明示・特定が要求されている趣旨を説明することができる。 *訴因が明示・特定されているか否かの基準について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *一罪の一部起訴が許される根拠と,その限界について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *一罪の一部起訴が許容されるか否かが,どのような法的効果と結びついているのかを理解している。
- 【 審判の対象と訴因(2) 】 訴因の変更-意義と手続 / 訴因の変更-その可否 / 訴因の変更-その許否 / 訴因の変更-その要否 / 訴因変更命令など / 罪数と訴因など 《到達目標》 *訴因変更の意義と手続について,条文に則して説明することができる。 *公訴事実の同一性の判断基準について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *公訴事実の同一性が肯定されたとしても訴因変更が許されない場合があるかということが,どのような事例で,いかなる理由により問題となるかを理解している。 *訴因変更の要否を判断する基準について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *裁判所が訴因変更を促し又は命じる義務が生じる場合について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *訴因変更命令の効力について理解している。 *罰条変更がいかなる場合に必要されるかについて理解している。 *起訴状記載の訴因における罪数評価と,裁判所の罪数判断が異なった場合にどのような処理がなされるべきかについて理解している。 *公訴提起の要件が充足されているか否かが,何を基準に判断されるのかについて,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。
- 【 実体裁判と形式裁判 / 裁判の効力 】 裁判の意義と種類 / 裁判の成立 / 実体裁判と形式裁判の意義 / 有罪判決の内容(択一的認定や量刑を中心に) / 無罪判決の内容 / 訴訟条件と形式裁判 / 訴訟条件と訴因 / 公訴時効 / 裁判の確定力 / 一事不再理の効力(効力の範囲に関する問題を中心に) 《到達目標》 *何が訴訟法上の裁判にあたり,何があたらないかを理解している。 *実定法上の裁判の種類と,その差異について,条文に則して説明することができる。 *実体裁判と形式裁判の内容と差異について説明することができる。 *裁判の成立の時点とその効果を説明することができる。 *訴訟条件の種類について理解している。 *訴訟条件の機能とそれを欠いた場合の法的効果について説明することができる。 *免訴判決の法的性質について,主要な考え方を理解している。 *公訴時効制度の存在理由について,主要な考え方をふまえて説明することができる。 *公訴時効の起算点について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *公訴時効の停止事由について説明することができる。 *親告罪制度の趣旨について理解している。 *親告罪における告訴の効力の及ぶ範囲(告訴不可分の原則)について説明することができる。 *訴訟条件の追完の可否について説明することができる。 *有罪判決の要件と,有罪判決に示すべき項目について,条文に則して説明することができる。 *概括的認定,択一的認定の許容性が問題となる理由について説明することができる。 *概括的認定,択一的認定が許される場合について,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *量刑の手続と手順(法定刑,処断刑,宣告刑)について理解している。 *いかなる事情が量刑資料として考慮されるかについて理解している。 *被告人の余罪を量刑上考慮することができるかについて,判例の立場及び主要な考え方をふまえ,具体的事例に即して説明することができる。 *裁判の確定の意義を理解している。 *裁判の確定によって生じる効力の種類について理解している。 *形式裁判の内容的拘束力の意義について,具体的事例に即して説明することができる。 *実体裁判の内容的拘束力の意義及びそれが及ぶ事件の範囲について,主要な考え方をふまえて説明することができる。 *裁判の判断内容のうち拘束力を持つ部分の範囲について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *一事不再理効の意義及び根拠について,主要な考え方をふまえて説明することができる。 *一事不再理効の発生する裁判の種類について,主要な考え方をふまえて説明する ことができる。 *一事不再理効の発生時期について,主要な考え方をふまえて説明することができる。 *一事不再理効の及ぶ客観的範囲について,一事不再理効の根拠に関する主要な考え方との関係をふまえて説明することができる。 *一事不再理効が及ぶか否かの判断方法について,判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。 *一事不再理効の及ぶ時間的範囲について,具体的事例に即して説明することができる。
- 【 期末試験 : 定期試験の期間における期末試験の実施 】 《到達目標》 *授業の目標に相当する能力をもとに,刑事訴訟法の領域におけるさまざまな事例・事案を適確に解決することができる。
教科書
《 教科書に関する説明 》 基本書として,1の教科書をもれなく購入して使用すること。また,必携の教材として,2の教科書をもれなく購入して使用すること。加えて,さらに体形的ないし詳細に学びたいという意向があるときは,その意向に応じて,第1回の授業で明示する教科書も購入すること。なお,これらのほかに参考となるものも第1回の授業で紹介する。
『リーガルクエスト刑事訴訟法(第2版)』
著者: 宇藤崇=松田岳士=堀江慎司
出版社: (有斐閣・2018年)
『刑事訴訟法判例百選(第11版)』
著者: 大澤裕=川出敏裕編
出版社: (有斐閣・2024年)《 2024年3月刊行(予定) 》
参考書
《 参考書に関する説明 》 参考となるものを第1回の授業で紹介する。