刑法
専門職学位課程法学研究科
LWS20800
コース情報
担当教員: 佐藤 結美
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 月3
形式: 対面授業
レベル: 700
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 不可
評価方法
授業参加
15%
定期試験
定期試験期間中
70%
小テスト等
15%
その他
法科大学院成績評価基本原則による。 平常点30点の内訳は,①授業参加(参加状況,発言内容を評価する。欠席があった場合は回数に応じて減点する。)と②小テストである。 ※②の「小テスト」は授業内で月1回程度行い,日時等はTKCの授業ページに記載する。
0%
詳細情報
概要
刑法総論・各論に関する基礎的な知識・理解を修得したことを前提に,基本的な判例の内容とこれをめぐる議論の内容を正確に理解する。
目標
判例・多数説の内容を正確に理解した上で,実際の事案についての解決能力を身につけることを目的とする。
授業外の学習
毎回,事前に指定された事例について,問題点などについて考えておくこと。 授業後は質問等を通じて疑問点を解消し,後に残さないようにすること。
所要時間: 200分
スケジュール
- 第1回 因果関係論について 〔到達目標〕 ○因果関係の意義について理解し,説明することができる。 ○介在事情の因果関係判断における意義を評価し,具体的事例に即して因果関係の存否を判断することができる。
- 第2回 過失犯・不作為犯における留意点 〔到達目標〕 ○不真正不作為犯の成立要件について理解する。 ○不真正不作為犯における作為義務の有無,因果関係の有無について,具体的事例に即して判断することができる。 ○過失犯の成立要件について理解する。 ○予見可能性の有無,結果回避義務違反の有無について,具体的事例に即して判断することができる。
- 第3回 故意論と錯誤論の関係 〔到達目標〕 ○(未必の)故意が問題となる事案につき,故意犯の成否を判断することができる。 ○具体的事実の錯誤が問題となる事案につき,故意犯の成否を判断することができる。 ○抽象的事実の錯誤が問題となる事案につき,故意犯の成否を判断することができる。 ○違法性の意識が問題となる事案につき,故意犯の成否を判断することができる。
- 第4回 正当防衛―「積極的加害意思」,「専ら攻撃の意思」,「やむを得ずにした行為」,自招侵害 〔到達目標〕 ○侵害の急迫性の要件を理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○防衛意思の内容について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○必要性・相当性の内容を理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○行為者が侵害を予期していた場合における正当防衛の成否について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○行為者自らが不正の侵害を招致した場合における正当防衛の成否について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○防衛行為の一体性判断が問題とされた事案について,正確に理解する。
- 第5回 緊急避難―成立要件,「やむを得ずにした行為」,自招危難 〔到達目標〕 ○緊急避難の成立要件について理解する。 ○避難行為の相当性の内容を理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○強要による緊急避難の意義について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○行為者自らが危難を招致した場合における緊急避難の成否について理解し,具体的事例に即して説明することができる。
- 第6回 実行の着手と早すぎた構成要件の実現,中止犯と不能犯 〔到達目標〕 ○典型的な事案において,実行の着手時期の判断ができるようになる。 ○因果関係の錯誤が存在した場合の故意既遂犯の成否に関し,具体的事例に即して説明することができる。 ○中止犯の成立要件とその意義について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○不能犯の意義について理解し,具体的事例に即して説明することができる。
- 第7回 間接正犯・共同正犯,共同正犯と幇助犯の区別 〔到達目標〕 ○間接正犯の成立要件について理解し,その概要を説明することができる。 ○共同正犯の成立要件について理解し,その概要を説明することができる。 ○直接には実行行為を分担していない者の共同正犯の成否について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○共同正犯者のうち一部の者に正当防衛・過剰防衛が成立する場合の問題について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○共同正犯と幇助犯の区別が問題となる事例について,具体的な事実の評価に基づいて判断できるようになる。
- 第8回 「共謀の射程」,「共犯からの離脱」,「共犯と錯誤」 〔到達目標〕 ○「共謀」の意義と射程について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○共犯関係の解消・離脱が認められる要件について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○共犯の因果性が認められるが,故意が認められない場合の処理について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○故意を異にする者の間における共同正犯の成否について理解し,具体的事例に即して説明することができる。
- 第9回 財産犯の保護法益・占有の概念について 〔到達目標〕 ○窃盗罪の保護法益に関する現在の多数説の内容を正確に理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○権利行使と恐喝罪の成否について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○不法原因給付と横領罪の成否について,具体的事例に即して説明することができる。 ○占有の有無と帰属について,具体的事例に即して説明することができる。
- 第10回 強盗三罪の相互関係 〔到達目標〕 ○1項強盗罪の成立要件について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○2項強盗罪の成立要件について理解し,具体的事例に即して説明することができる。 ○事後強盗罪の成立要件について理解し,具体的事例に即して説明することができる。
- 第11回 詐欺罪①(詐欺罪の成立要件) 〔到達目標〕 ○挙動による欺罔,不作為による欺罔について理解する。 ○2項詐欺罪における客体と既遂時期について理解する。 ○無銭飲食,無銭宿泊事案における留意点について理解する。 ○キセル乗車事案における留意点について理解する。
- 第12回 詐欺罪②(財産上の損害の問題) 〔到達目標〕 ○「財産上の損害」の問題に関する,現在の判例,多数説の位置付けを理解する。 ○相当対価である反対給付が存在する場合の詐欺罪の成否につき,具体的事例に即して説明することができる。 ○何らかの規制対象となっている物資を不正に取得した場合の詐欺罪の成否につき,具体的事例に即して説明することができる。
- 第13回 横領と背任 〔到達目標〕 ○横領罪,背任罪それぞれの成立要件と相互の関係について理解し,説明することができる。 ○横領罪の対象となる客体,占有,領得意思の存否,既遂時期などについて,具体的事例に即して事実認定し,判断することができる。
- 第14回 預金をめぐる犯罪・クレジットカードの不正使用に関する犯罪 〔到達目標〕 ○原因関係を欠く振込に関する民事・刑事判例の内容を正確に理解し,説明することができる。 ○振込にかかる金銭を引き出す行為につき,具体的事案に即して,財産犯の各成立要件を踏まえた検討を正確に行えるようになる。 ○自己名義のクレジットカードの不正使用と他人名義のクレジットカードの不正使用について,具体的な事例に即して詐欺罪の成否を判断できるようになる。
- 第15回 期末試験 〔到達目標〕 判例・多数説の正確な理解を前提とした,事案解決のための基本的な能力を修得することを目的とする。
教科書
※事前にTKCの授業ページにアップする事例問題を素材とし,個々の論点に関する理解を確認しながら進める。 体系書については,各自適宜必要に応じて参照すること(ただし,必ず最新判例に対応した版を用いること)。
参考書
書籍情報はありません。