民事訴訟法A

専門職学位課程法学研究科

LWS20601

コース情報

担当教員: 安西 明子

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 木2

形式: 対面授業

レベル: 700

アクティブラーニング: あり

他学部履修: 不可

評価方法

授業参加

20%

定期試験

定期試験期間中

50%

中間試験

授業期間中

20%

小テスト等

10%

その他

法科大学院成績評価基本原則による。中間試験が簡略になった場合には,定期試験とあわせて70%とする。授業参加とは,主に毎回の予習(事前課題についての希望者の答案提出)とそれに基づく発言(内容)を想定している。小テスト等とは,MoodleやTKCを利用した小テストの受験状況の評価を予定している。詳細は講義で適宜説明する。

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詳細情報

概要

本講義では,すでに民事訴訟法基礎において修得された民事訴訟手続の基本構造,民事訴訟の基本概念を再確認しながら,主に百選判例や,さまざまな設例をもとにして,双方向授業を通し,民事訴訟法に関する基本的理解をさらに深めるとともに,事案分析能力,法適用能力,個別具体的な事案に対する問題解決能力の涵養を目指す。 なお,本講義で取り扱う項目は,民事訴訟法Bで取り上げられる予定の項目以外の項目であるが,具体的には授業計画の欄を参照(講義の進行状況等により各回内容の変更を要する場合は,事前に講義やMoodle上で連絡する)。 <アクティブ・ラーニングの内容> 毎回,できるだけ事前に事例問題を提示し,希望者の提出した答案を基にデスカッション方式にて授業を進めたい(講義の進行状況や受講者の答案提出等の状況による)。法科大学院の日程に従い,できれば中間試験を実施する予定である。

目標

すでに民事訴訟法基礎において修得された民事訴訟手続の基本構造,民事訴訟の基本概念を再確認しながら,判例や,さまざまな設例をもとにして,双方向授業を通して,民事訴訟法に関する基本的理解をさらに深めるとともに,事案分析能力,法適用能力,個別具体的な事案に対する問題解決能力を獲得することを目標とする。

授業外の学習

コアカリキュラムの自学自習

所要時間: 授業1回あたり,190分の学習時間〔予習復習時間も含め〕を確保し実践すること。

スケジュール

  1. 裁判所 審判権の限界(法律上の争訟の意義,部分社会の法理と司法権など),団体の内部紛争の当事者適格,管轄(管轄一般,合意管轄の効力,併合請求の裁判籍など),移送などを中心に講義・討論する。 【到達目標】 審判権の根拠と限界,判例による「法律上の争訟」判断基準,所有権に基づく明渡し請求等の要件事実,裁判所の役割,事物管轄,土地管轄,応訴管轄,併合請求の裁判籍,様々な移送について理解する。
  2. 訴えの提起,訴訟物 訴状・答弁書等の記載事項,処分権主義,訴えの種類(形式的形成訴訟),訴訟物理論が果たしてきた役割・機能,新旧訴訟物理論及び現在の訴訟物理論の状況,一部請求などを中心に講義・討論する。 【到達目標】 処分権主義,訴えの提起と訴状の記載事項,訴えの種類,訴訟物概念とその伝統的な役割(二重起訴禁止,訴えの変更,訴えの客観的併合,既判力の客観的範囲などの問題解決の試金石であったこと),訴訟物概念の相対化とその要因,抽象的不作為請求と訴えの特定の問題について理解する。
  3. 当事者 当事者の意義(民事訴訟における当事者の地位,当事者権,手続保障と判決効の相関関係),当事者能力,権利能力なき社団と当事者能力,民法上の組合と当事者能力,当事者適格,法定訴訟担当と任意的訴訟担当,現代型訴訟における当事者適格,当事者能力と当事者適格の交錯などを中心に講義・討論する。 【到達目標】 当事者の意義,当事者能力,権利能力と当事者能力との関係,権利能力なき社団・財団の当事者能力,当事者適格の意義と機能,当事者能力と当事者適格の交錯,法定訴訟担当と任意的訴訟担当(その判決効),訴訟代理との関係について理解する。
  4. 訴えの利益(1) 訴えの利益の本質と機能,各訴訟類型における訴えの利益(給付の訴えの利益,確認の訴えの利益,形成の訴えの利益)などを中心に講義・討論する。 【到達目標】 訴えの利益概念,訴えの利益と被告の応訴負担義務との関係,各訴訟類型における訴えの利益とその判断基準,類型に関わらない一般的な訴えの利益(いわゆる審判権の限界とのつながり)について理解する。
  5. 訴えの利益(2) 訴えの利益の機能,各訴訟類型における訴えの利益(給付の訴えの利益,確認の訴えの利益,形成の訴えの利益)と当事者適格との関係などを中心に講義・討論する。 【到達目標】 訴えの利益概念,訴えの利益と被告の応訴負担義務との関係,訴えの利益と当事者適格の同質性,各訴訟類型における訴えの利益と当事者適格の関係について理解する。
  6. 訴訟行為 当事者と裁判所の訴訟行為の意義,訴訟行為への実体法規定の適用,訴え提起(その効果としての重複訴訟禁止)や攻撃防御方法の提出とその裁判所による処理方法(職権進行主義,訴訟指揮),口頭弁論の諸原則(口頭主義,公開主義,直接主義,継続審理主義)などを中心に講義・討論する。 【到達目標】 訴訟行為の意義や効果,訴え提起の訴訟法上,実体法上の効果(時効中断,重複訴訟禁止),攻撃防御方法の提出(相殺など),不熱心訴訟追行とその裁判所による処理方法(職権進行主義,訴訟指揮の具体的内容,それについての当事者の関与),口頭弁論の諸原則(口頭主義,公開主義,直接主義,継続審理主義)について理解する。
  7. 弁論主義 弁論主義と職権探知主義,弁論主義の内容(主張責任・証明責任との関係),弁論主義の根拠,弁論主義の妥当領域(要件事実と主要事実,間接事実,補助事実,事情),弁論主義と処分権主義の関係,自白の拘束力,釈明権と釈明義務,争点及び証拠の整理手続などを中心に講義・討論する。 【到達目標】 弁論主義の意義と根拠,妥当範囲と機能,主要事実,間接事実,補助事実,事情などの区別,証明責任との関係,自白,特に間接事実についての自白や権利自白,釈明権・釈明義務・法的観点指摘義務,争点及び証拠の整理手続について理解する。
  8. 中間試験 上記の到達度を中間的に確認するため,試験(試験時間1時間程度)を実施し,解説する。講義計画に余裕がなくなった場合や,試験後に時間的余裕がある場合は,講義も行う(これまでの講義の進行状況,受講生の履修状況による)。
  9. 証明責任 訴訟における証明,証明責任の意義と機能,作用,証明責任の分配,証明責任による判断の回避策(証明責任の転換,法律上の推定,表見証明,証明妨害)などにつき講義・討論する。 【到達目標】 証明をめぐる用語の定義と機能,証明責任の意義と機能,その分配,主張責任等との関係,証明負担の軽減策,証明責任による判断の回避策,証明妨害について理解する。
  10. 証拠調べ手続 各種の証拠方法についての証拠調べ手続,証拠能力(違法収集証拠),証人等の尋問や書証(主に文書提出命令)の手続などにつき講義・討論する。 【到達目標】 各種の証拠方法についての証拠調べ手続,証拠能力や証拠価値,証人等の尋問手続,書証の手続,特に文書提出命令の手続,文書特定手続,文書提出義務とその存否の判断(イン・カメラ手続),公務秘密文書の取扱い,文書提出命令不遵守について理解する。
  11. 判決 処分権主義,申立事項と判決事項,一部認容判決,既判力の客観的範囲との関係などを中心に講義・討論する。 【到達目標】 処分権主義の意義と根拠,訴えの提起と訴状記載(請求の趣旨の具体例,請求原因の記載の程度),申立事項と判決事項(一部認容判決や定期金賠償を命じること)の関係,判決事項と既判力の客観的範囲の関係につき理解する。
  12. 確定判決の効力(1)―判決効の時的限界 時的限界と客観的範囲の関係,形成権行使と既判力の関係などを中心に講義・討論する。 【到達目標】 既判力の意義や正当化根拠,時的限界の意義および根拠,形成権行使と基準時の関係,判決効の時的限界と客観的範囲の関係について理解する。
  13. 確定判決の効力(2)―判決効の客観的範囲 判決効の正当化根拠,相殺の判断と既判力,判決効の客観的範囲の限界と判決効拡張理論(既判力拡張説,争点効理論,信義則による判決拡張論)などを中心に講義・討論する。 【到達目標】 判決効の客観的範囲限定の根拠,訴訟物と既判力の客観的範囲の関係,相殺の抗弁に関する判決理由中の判断に既判力が認められる根拠,判決理由中の判断の拘束力,争点効理論とその適用範囲,信義則による判決効拡張とその適用範囲について理解する。
  14. 確定判決の効力(3)―判決効の主観的範囲 紛争解決の相対性原則の妥当範囲,判決効拡張の正当化根拠,既判力の主観的範囲と執行力の主観的範囲の関係,判決効の主観的範囲の限界と判決効拡張理論(既判力拡張説,反射効理論,争点効の第三者への理論,信義則による判決拡張論)などを中心に講義・討論する。 【到達目標】 判決の効力の相対性原則,その根拠,例外(一定範囲の者への拡張や対世効),反射効理論,既判力の拡張と執行力の拡張の関係,既判力の客観的範囲との関係について理解する。
  15. 定期試験 上記の到達度を最後に確認するため,期末試験(試験時間2時間)を実施する。

教科書

テキスト,参考書はこれまで購入・使用してきたものを継続使用してかまわない。民事訴訟法判例百選(最新は第六版)は必要である。念のため,昨年度までのテキスト,参考書を下に挙げておく。

  • 「新論点講義シリーズ 民事訴訟法」

    著者: 小林秀之=原 強

    出版社: 弘文堂・2011

  • 「やさしい民事訴訟法」

    著者: 原 強

    出版社: 法学書院・2014

  • 民事訴訟法判例百選[第6版]

    著者: 高橋宏志・高田裕成・畑瑞穂編

    出版社: 有斐閣・2023

参考書

テキストの箇所の説明と同じ。

  • 重点講義民事訴訟法〔上〕第2版補訂版/〔下〕第2版補訂版

    著者: 高橋宏志

    出版社: 有斐閣・2013/2014

  • 民事訴訟法 第3版

    著者: 安西明子ほか

    出版社: 有斐閣・2023

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