行政法

専門職学位課程法学研究科

LWS20200

コース情報

担当教員: 小舟 賢

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 水2

形式: 対面授業

レベル: 700

アクティブラーニング: なし

他学部履修: 不可

評価方法

授業参加

15%

レポート

15%

定期試験

定期試験期間中

50%

中間試験

授業期間中

20%

その他

法科大学院の成績評価基本原則による。

0%

詳細情報

概要

公法(憲法・行政法)の基礎をすでに履修済みである法学既修者,及び,本法科大学院での憲法基礎・行政法基礎を履修済みである学生を対象に,公法の基礎的理論を応用に深化させるための授業を行う。公法,とりわけ行政法の領域に存する各種の法的素材を対象として,問題を発見し,法的に思考し,問題解決の途を探ることのできる能力を養成することを目的とする。実際の事件・判例等について,法令等を自ら検討して,法律的な主張を抽出し,書面を作成する能力の養成につながる訓練を重視することとしたい。学生は予習していることを前提として,授業中に積極的な発言・討議が求められるとともに,指名され的確に応える準備を備えておくことが必要である。なお,小テストを1か月に1回程度実施する予定である。

目標

行政法全般の基礎的知識については,確実に身に付いていることを前提とし,現実の行政法分野での事例に関して,紛争の実態を的確に読み取り,必要な関係条文(法律・政省令・条例・告示・通達・ガイドライン・要綱等すべて含む。)を正確に理解した上で,紛争を解決するための訴訟等の選択(行政上の不服申立ても含む),そこでの当事者の主張,裁判所の判断などについて,自ら考えることができるようにする。

授業外の学習

授業範囲の法理論・判例について十分に予習したうえで,授業に臨むこと。授業後は,改めて,判例の意義を明確に確認したうえで,関連判例を含め,復習し,当該授業範囲の知識・理解を完全なものとすること。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. 第1回 行政立法,条例,通達 CB第1章 行政立法と条例 ―行政法の法源として,政省令・告示・通達,条例等について,それぞれの特質,一般的原則を扱う。 〔到達目標〕 行政過程の全体像を把握したうえで,法令・行政立法・条例について十分理解するようにする。 行政処分の違法事由としての委任命令の限界や,自主条例(独自条例)の限界について,判例を通じて十分理解し,自ら説明し,具体的事案に即して考察することができるようにする。 ○法治主義・法の支配・法治国原理・法治国家などと呼ばれる概念の意義について,法律,裁判,民主主義,基本的人権,適正手続保障,信義則などとの関連を含め,理解している。 ○委任立法の概念と法規命令の概念の関係を理解している。 ○法規命令の具体例を,条文を参照して説明することができる(委任規定の要否を含む)。 ○政令,省令,規則及び告示の諸形式と,委任立法(法規命令等)の概念の関係を理解している。 ○通達,審査基準・処分基準,解釈基準・裁量基準と,委任立法(法規命令等)の異同を理解している。 ○行政処分の要件及び内容に関し,委任命令が委任の趣旨を逸脱しているかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○行政処分の要件及び内容に関し,委任命令が委任の趣旨を逸脱しているかどうかを,具体的事案に即して考察することができる。 ○行政手続法が適用される「命令等」の具体例を説明することができる。 ○行政手続法における「命令等」の制定手続を,条文に則して説明することができる。 ○自主条例(独自条例)の意義を理解している。 ○自主条例(独自条例)か委任条例(法律に根拠のある条例)かの区別を,具体的事案に即して考察することができる。 ○行政処分の要件及び内容に関し,自主条例(独自条例)が法律に反して違法無効であるかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ※行政組織については,自習で下記を修得しておくこと。 ○国家行政組織法の概要を理解している(行政組織法定主義を含む)。 ○地方自治法が規定する地方公共団体の種類,及び普通地方公共団体の組織の概要を理解している。 ○行政組織を構成する単位である行政機関の種類として,行政庁・補助機関・諮問機関・執行機関の区別があることを理解している。 ○行政機関の権限の委任・代理・専決の違いを理解している。 ○行政組織内部における行政機関の相互関係(上級機関の指揮監督権,対等機関の関係など)を理解している。 ○普通地方公共団体の事務が,地方自治法においてどのように定められているかの概要を理解している。 ○国と地方公共団体の関係のうち,地方自治法が定める国の関与の在り方の概要を理解している。 ○地方公共団体以外の公共団体の具体例を理解している(独立行政法人を含む)。
  2. 第2回 行政処分の特質 CB第2章 行政処分 ―行政処分の一般理論として,許認可等の行為形式,無効と取消しの区別,取消しと撤回,公定力などを扱う。 〔到達目標〕 主要な行為形式である行政処分の一般理論を修得する。職権取消しと撤回の意義及び違いについて,判例を通じて十分理解するようにする。いわゆる公定力,不可争力の概念,並びに取消しと無効の区別について,判例を通じて十分理解し,自ら説明し,具体的事案に即して考察することができるようにする。 ○行政処分の根拠規定及び処分庁を示す規定を,条文を参照して説明することができる(法律の根拠の要否を含む)。 ○行政処分の概念が,行政手続法,行政事件訴訟法,行政不服審査法においてどのように用いられているかを,条文に則して説明することができる。 ○職権取消しと撤回それぞれの具体例を挙げて,両者の意義及び違いを説明することができる。 ○不可争力の概念を理解している。 ○取消訴訟の排他的管轄を認めることの帰結について,具体例を挙げて説明することができる(行政処分の無効主張との関係を含む)。 ○取消訴訟の排他的管轄が及ばない場面があることについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○国家賠償請求訴訟において勝訴するために取消判決を得ておく必要があるかどうかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○取消訴訟における違法性の承継の概念について,具体例を挙げて説明することができる。 ○処分の無効事由の有無を,裁判所がどのような点に着目して判断しているかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○処分の無効事由として指摘すべき事情が何かを,具体的事案に即して考察することができる。
  3. 第3回 行政活動と法による統制(1) CB第4章 行政裁量 ―行政活動が違法とされる場合として,行政裁量・裁量統制の手法による実体的違法について扱う。 〔到達目標〕 ―行政裁量について,その意義を十分理解し,自ら説明することができるようにする。行政処分の実体的違法事由として,裁量判断の合理性欠如を示すためにどのような指摘を行うべきかを具体的事案に即して考察することができるようにする。 ○要件裁量及び効果裁量の具体例を,条文を参照して説明することができる。 ○行政処分の要件・効果等の判断のどの部分に行政裁量が認められる(又は認められない)と裁判所が判断しているかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○行政処分の要件・効果等の判断のどの部分に,なぜ行政裁量が認められるべきか(または認められるべきではないのか)を,具体的事案に即して考察することができる。 ○裁量判断の合理性が欠如しているかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○裁量判断の合理性が欠如しているかどうかを裁判所が審査するにあたって,行政機関によって設定された裁量基準をどう取り扱うべきかを理解している。 ○裁量判断の合理性が欠如していることを示すためにどのような指摘をおこなうべきかを,具体的事案に即して考察することができる。 ○信義則違反(信頼保護原則違反を含む)を理由として行政処分が違法とされる場面とはどのようなものかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○行政権の濫用(動機の不法)を理由として行政処分が違法とされる場面とはどのようなものかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○信義則及び行政権の濫用を理由に行政処分を違法とすべきかどうかを,具体的事案に即して考察することができる。 ○行政処分に適用される比例原則の意味を,具体例を挙げて説明することができる。 ○行政過程において,契約関係には至らないものの法的に保護されるべき信頼関係が生じることがあることについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
  4. 第4回 行政活動と法による統制(2) CB第8章 個別法の解釈と行政活動の違法性 CB第9章 憲法原則および一般法原則 ―行政活動が違法とされる場合として,個別法解釈による実体的違法,憲法原則および法の一般原則による実体的違法について扱う。 〔到達目標〕 個別法の解釈と行政活動の違法性 ―行政処分の要件及び内容に関する規定,定義規定,目的規定等の意味をどう解釈すべきかについて,判例を通じて十分理解し,具体的事案に即し適切な法令解釈方法(文理解釈,趣旨・目的解釈,合憲限定解釈等)を用いて考察することができるようにする。 憲法原則および一般法原則 ―行政処分の違法事由としての信義則違反や,行政権の濫用,比例原則等について,判例を通じて十分理解し,その意味を自ら説明し,具体的事案に即して考察することができるようにする。この中で,行政契約についても対象とする。 ○個別法が想定する行政過程を,規制や給付などの分野における具体例を挙げて説明することができる。 ○行政処分の要件及び内容に関する規定,定義規定,目的規定等の意味をどう解釈するべきかを,具体的事案に即し適切な法令解釈方法(文理解釈,趣旨・目的解釈,合憲限定解釈等)を用いて考察することができる。 ○行政庁が法令解釈又はその適用を誤ったかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて,判決例を参照して説明することができる(考慮義務のある事情が考慮されていない行政処分が違法とされる事例,法令の文言の意味を誤って解釈してなされた処分が違法とされる事例,正当理由の有無等についての判定を誤った事例など)。 ○裁判所が法令解釈をするにあたって,行政機関によって設定された解釈基準をどう取り扱うべきかを理解している。 ○行政庁による法令解釈の誤り又はその適用の誤りがないかどうかを,具体的事案に即して考察することができる。 ○いわゆる法律による行政の原理にいう法律の留保の意義について,具体例を挙げて説明することができる。 ○国及び地方公共団体がどのような場面で行政契約を利用しているか,典型例を挙げて説明することができる。
  5. 第5回 行政手続法制(1) CB第3章 行政手続 ―行政手続法による処分手続について,申請に対する処分に関する手続,不利益処分に関する手続,届出手続について扱う。 〔到達目標〕 行政処分の違法事由としての手続違反について,行政手続法を十分理解した上で,その意味を自ら説明し,具体的事案に即して考察することができるようにする。行政手続法上の「申請に対する処分」「不利益処分」「届出」について,規定の趣旨を十分理解し,条文に即して説明することができるようにする。 あわせて,手続違反と処分違法の関係について,判例を通じて理解を深め,具体的事案に即して考察することができるようにする。 理由提示(理由の差替えを含む)についても,その意味を十分理解し,具体的事案に即して考察することができるようにする。 ○個別法及び行政手続法・条例から,法的に義務付けられる行政手続がいかなるものかを,具体的事案に即して考察することができる。 ○行政手続法及び個別法それぞれにおける適用除外の対象となるかどうか,及び個別法における修正規定の内容を,それぞれ条文を参照して説明することができる。 ○行政手続法と行政手続条例の適用対象を,条文に則して説明することができる。 ○行政手続法が適用される「申請に対する処分」の具体例を,条文を参照して説明することができる。 ○行政手続法が適用される「不利益処分」の具体例を,条文を参照して説明することができる。 ○審査基準及び処分基準に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。 ○理由提示に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。 ○聴聞及び弁明機会付与に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。 ○「申請に対する処分」に関して行政手続法が定める審査及び応答に関する規定の趣旨を理解している。 ○「届出」に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している(「申請に対する処分」との異同を含む)。 ○理由提示,聴聞・弁明機会付与などの意見陳述の機会を与えること,又は審査基準を定めて公にすることが義務付けられる場合に,その違反があったかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて,代表的な最高裁判決又は判決例を挙げて説明することができる。 ○いかなる手続違反があると行政処分は違法とされる(取消訴訟であれば取消事由となる)かについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○いかなる手続違反があると行政処分は違法とされる(取消訴訟であれば取消事由となる)かについて,具体的事案に即して考察することができる。 ○取消訴訟において被告による理由の差替えが限定されるかどうかを裁判所がどのように判断しているかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○2014年行政手続法改正で 違反是正のための「処分等の求め」(法36条の3)が新設されたことを理解している。 ○行政機関情報公開法/条例に基づく情報開示・不開示決定に関して,行政機関における情報公開制度の存在理由,及び情報開示請求権の仕組みの概要を理解している。 ○個人情報保護法/条例における個人情報の取扱い及び自己情報開示・訂正等請求権の仕組みの概要を理解している。
  6. 第6回 行政手続法制(2)―行政指導― 行政手続法制(1)の続きと CB第5章 行政指導 ―行政手続法に規定がおかれた行政指導について,その意義・限界を扱う。 〔到達目標〕 「行政指導」について,行政手続法の規定や判例を通じて理解を深め,具体的事案に即して考察することができるようにする。 ○行政過程において行政指導がどのように用いられているか,またなぜ用いられるのかを,説明することができる。 ○行政指導と行政処分それぞれの具体例を挙げて,両者の違いを説明することができる(法律の根拠の要否を含む)。 ○私人を行政指導に従わせることの限界について,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○行政手続法が適用される「行政指導」の具体例を説明することができる。 ○「行政指導」に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。 〇2014年行政手続法改正による行政指導の方式(法35条2項),行政指導の「中止等の求め」(法36条の2)の規定を理解している。 ○個別法に行政指導が規定される具体例を,条文を参照して説明することができる。
  7. 第7回 行政調査・行政強制・実効性確保手法 CB第6章 行政調査 CB第7章 実効性確保 ―行政調査,即時強制,行政強制,実効性確保手法について,扱う。 〔到達目標〕 行政調査,即時強制,行政上の強制執行(行政上の代執行,強制徴収,直接強制,及び間接強制(執行罰)),行政罰,行政上の義務違反に対する制裁(公表,給付拒否等を含む)について,判例を通じて理解を深め,具体的事案に即して考察することができるようにする。 ○行政調査の種類(犯則調査を含む)について,条文を参照して説明することができる(法律の根拠の要否を含む)。 ○犯則調査権限をもつ行政機関が,犯則調査ではない行政調査によって得られた資料を犯則調査に流用することの可否について,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○犯則調査権限をもつ行政機関が,犯則調査によって得られた資料を用いて行政処分をすることの可否について,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○行政調査(犯則調査を含む)を行うにあたってとるべき手続の具体例を,条文を参照して説明することができる。2011年国税通則法改正により,調査の事前通知(法74条の9,74条の10③),調査終了の際の手続(法74条の11)が新設されたことを理解し,税務調査手続きについて概要を説明することができる。 ○行政上の代執行,強制徴収,直接強制,及び間接強制(執行罰)の具体例を,条文を参照して説明することができる。 ○行政上の強制執行と即時強制(即時執行)それぞれの具体例を挙げて,両者の異同を説明することができる(法律の根拠の要否を含む)。 ○行政上の強制執行の法律の根拠の要否,及びその根拠規定を条例におくことができるかについて,行政代執行法に則して説明することができる。 ○行政代執行の手続を,行政代執行法に則して説明することができる。 ○国税徴収法に基づく強制徴収の手続の概要を理解している。 ○行政上の義務を民事執行の方法で強制的に実現することの可否について,最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○行政上の義務違反に対する非刑事的(行政的)制裁の具体例を,条文を参照して説明することができる。 ○いわゆる制裁的公表の特色を理解している(法律の根拠の要否を含む)。 ○国及び地方公共団体が,契約締結を拒否することによって行政目的を達成しようとすることの可否について,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
  8. 第8回 中間テスト(試験時間 40分間),第1回~第7回の授業範囲について,到達度を確認するための中間テストを行う。原則対面で行う。 その後,通常授業 第8回~第9回 処分性 CB第11章 取消訴訟の対象 ―行政事件訴訟法,行政不服審査法の全体像を示した上で,取消訴訟の対象(処分性)について扱う。 〔到達目標〕 行政事件訴訟法,行政不服審査法の全体像を理解した上で,不服申立てと取消訴訟との関係,出訴期間,被告適格,教示等について十分理解して,説明できるようにする。処分性について,判例の考え方をふまえて,具体的事案に即して考察することができるようにする。 ○行政事件訴訟法における行政事件訴訟の意義を理解している。 ○行政事件訴訟法が定める行政事件訴訟の4類型(抗告訴訟,当事者訴訟,民衆訴訟,機関訴訟)それぞれの特色を理解している。 ○住民監査請求(地方自治法242条)及び住民訴訟(地方自治法242条の2)の特色を理解している。 ○処分性の有無を裁判所がどのような点に着目して判断しているかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○処分性の有無を,最高裁判決の考え方をふまえて,具体的事案に即して考察することができる。 ○不服申立てと取消訴訟の関係のうち,自由選択主義と不服申立前置主義のいずれが採用されているかを,条文を参照して説明することができる。 ○不服申立てと取消訴訟の関係のうち,裁決主義の具体例を,条文を参照して説明することができる。 ○出訴期間の起算点及び徒過したことについての正当理由を,条文に則して説明することができる。 ○処分庁及び被告適格を有する者は誰かを,具体的事案に即して考察することができる。 ○行政計画の具体例を,条文を参照して説明することができる。 ※ 行政不服審査法については,2014年改正について授業でも触れるが,自習で下記を修得しておくこと。 ○2014年改正の行政不服審査法について,審査請求制度の概要を,条文を参照して説明することができる。再調査の請求,審査請求,審理員,行政不服審査会等第三者機関について,条文に則して説明することができる。 ○行政不服審査法が申立人のためにどのような手続保障を定めているかを,条文に則して説明することができる。 ○行政不服審査法における裁決の種類(認容・却下・棄却の裁決のほか,事情裁決)を,条文に則して説明することができる。 ○行政不服審査法の定める仮の救済と,行政事件訴訟法のそれとの異同を,条文に則して説明することができる。 ○行政不服審査法において義務付けられる教示の内容を,条文に則して説明することができる。 ○行政不服審査法上の教示がなされなかった場合,及び教示が誤ってされた場合の救済について,条文に則して説明することができる。 ○いわゆる不可変更力の概念を理解している。 ※ 行訴法で義務付けられた教示については,自習で下記を修得しておくこと。 ○行政事件訴訟法において義務付けられる教示の内容を,条文に則して説明することができる。 ○行政事件訴訟法上の教示がなされなかった場合,及び教示が誤ってされた場合それぞれの救済について,条文に則して説明することができる。
  9. 第9回 処分性(2) 到達目標は第8回に記載
  10. 第10回 原告適格 CB第12章 取消訴訟の原告適格 ―行政事件訴訟法9条の原告適格について,扱う。 [到達目標] 行政事件訴訟法9条,平成16年改正による9条2項の趣旨を十分理解し,原告適格の有無について,判例の考え方をふまえて,具体的事案に即して考察することができるようにする。 ○原告適格が必要とされる理由について,客観訴訟と主観訴訟の区別をふまえて説明することができる。 ○原告適格の有無について,裁判所がどのような点に着目して判断しているのかを,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○行政事件訴訟法9条2項の趣旨を,具体例を挙げて説明することができる。 ○原告適格の有無を,最高裁判決の考え方をふまえて,具体的事案に即して考察することができる。
  11. 第11回 原告適格・訴えの客観的利益・判決の種類と効力・仮の救済 CB第12章 取消訴訟の原告適格 の続きと CB第13章 訴えの客観的利益 ―原告適格とともに,行政事件訴訟法10条1項の原告の主張しうる違法事由の制限について,扱う。 ―行政事件訴訟法9条1項括弧書きにかかわり,狭義の訴えの利益について,扱う。 ―取消訴訟の判決の種類と効力について,扱う。 ―抗告訴訟における仮の救済(執行停止の申立て)について,扱う。 〔到達目標〕 行政事件訴訟法10条1項の原告の主張しうる違法事由の制限について,具体的事案に即して考察することができるようにする。 狭義の訴えの利益について,判例の考え方をふまえて,具体的事案に即して考察することができるようにする。 取消訴訟の判決の種類と効力について,具体例や関連する判例を挙げて説明することができる。 取消訴訟における仮の救済(執行停止の申立て)について,条文や具体的事案に則して説明することができる。 ○行政事件訴訟法10条1項にいう自己の法律上の利益に関係のない違法について,具体例を挙げて説明することができる。 ○原告の主張しうる違法事由が制限されるべきかどうかを裁判所がどのように判断しているかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○原告の主張しうる違法事由が制限されるべきかどうかについて,具体的事案に即して考察することができる。 ○狭義の訴えの利益の有無を裁判所がどのような点に着目して判断しているかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○狭義の訴えの利益の有無を,最高裁判決の考え方をふまえて,具体的事案に即して考察することができる。 ○取消判決と事情判決の異同を,具体例を挙げて説明することができる。 ○事情判決をすべき場合と,訴えの利益が提訴後に消滅したことを理由にする却下判決をすべき場合との違いを,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○取消判決の形成力とその第三者効の意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○取消判決の拘束力の意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○取消訴訟の終局判決の既判力の意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○行政事件訴訟法における執行不停止原則の意義を理解している。 ○執行停止の申立てを認める決定の効力を説明することができる。 ○執行停止の申立ての趣旨(効力停止,執行停止,続行停止)及びその理由を,具体的事案に即して考察することができる。 ○内閣総理大臣の異議制度の意義を,その憲法問題も含めて,理解している。 ○民事保全法による仮処分の禁止の規定(行政事件訴訟法44条)の意義を理解している。
  12. 第12回 その他の行政訴訟 CB第15章 その他の抗告訴訟 ―取消訴訟以外の抗告訴訟として,無効等確認訴訟,不作為違法確認訴訟,義務付け訴訟(申請満足型・直接型),差止訴訟を扱う。 ―義務付け訴訟・差止訴訟における仮の救済(仮の義務付け・仮の差止め)を扱う。 〔到達目標〕 取消訴訟以外の抗告訴訟-無効等確認訴訟,不作為違法確認訴訟,義務付け訴訟(申請満足型・直接型),差止訴訟-について,判例を通じて十分な理解を深め,具体的事案に即して考察することができるようにする。 義務付け訴訟・差止訴訟における仮の救済(仮の義務付け・仮の差止め)について,条文や具体的事案に則して説明することができる。 無効等確認訴訟について ○取消訴訟に加えて無効等確認訴訟(行政事件訴訟法3条4項)が定められている理由を,具体例を挙げて説明することができる。 ○行政事件訴訟法36条の定める無効等確認訴訟の訴訟要件を,具体例を挙げて説明することができる。 ○無効等確認訴訟における原告適格ないし訴えの利益の有無を,具体的事案に即して考察することができる。 ○私人が国又は地方公共団体に対して提起する民事訴訟として,どのようなものが考えられるかを,具体例を挙げて説明することができる(国家賠償請求訴訟を除く)。 ○行政事件訴訟法にいう争点訴訟について理解している。 不作為違法確認訴訟について ○不作為違法確認訴訟の訴訟要件と本案勝訴要件を,具体例を挙げて説明することができる。 ○不作為違法確認訴訟における相当の期間と,行政手続法における標準処理期間との関係を理解している。 義務付け・差止め訴訟について ○義務付け訴訟の2類型(申請型と非申請型)の存在意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○申請型義務付け訴訟の併合提起の意味を,条文に則して説明することができる。 ○義務付け訴訟(申請型と非申請型)の訴訟要件を,具体例を挙げて説明することができる。 ○義務付け訴訟(申請型と非申請型)の訴訟要件を,具体的事案に即して考察することができる。 ○義務付け訴訟(申請型と非申請型)の本案主張の内容を,具体的事案に即して考察することができる。 ○取消訴訟・義務付け訴訟における違法判断の基準時について理解している。 ○差止訴訟の存在意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○差止訴訟の訴訟要件を,具体例を挙げて説明することができる。 ○差止訴訟の訴訟要件を,具体的事案に即して考察することができる。 ○差止訴訟の本案主張の内容を,具体的事案に即して考察することができる。 仮の義務付け・仮の差止めについて ○仮の義務付けの申立制度の存在意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○仮の差止めの申立制度の存在意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○仮の義務付けの申立ての趣旨及び理由を,具体的事案に即して考察することができる。 ○仮の差止めの申立ての趣旨及び理由を,具体的事案に即して考察することができる。
  13. 第13回 CB第16章 抗告訴訟以外の行政訴訟―当事者訴訟― ―抗告訴訟以外の行政訴訟として,行政事件訴訟法4条後段の実質的当事者訴訟について,扱う。 〔到達目標〕 行政事件訴訟法4条後段の実質的当事者訴訟について,判例を通じて理解を深め,具体的事案に即して考察することができるようにする。抗告訴訟との関係についても特に留意する。 実質的当事者訴訟について ○実質的当事者訴訟の存在理由を,具体例を挙げて説明することができる。 ○実質的当事者訴訟としての確認訴訟の提起がいかなる場合に認められるかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○実質的当事者訴訟の請求の趣旨の立て方を,具体的事案に即して考察することができる(給付訴訟と確認訴訟の使い分けを含む)。 ○確認訴訟における確認の利益の有無を,具体的事案に即して考察することができる。 ○実質的当事者訴訟の本案主張の内容を,具体的事案に即して考察することができる。 ○処分性の判定の場面において,取消訴訟と実質的当事者訴訟の得失をどう考えるべきかについて,具体例を挙げて説明することができる。 ○処分に関わる紛争において,抗告訴訟(とりわけ処分差止訴訟)のほかに実質的当事者訴訟が使われる場面があるかどうかについて,具体例を挙げて説明することができる。 ○形式的当事者訴訟の具体例を,条文を参照して説明することができる。
  14. 第14回 行政賠償責任―国家賠償法1条,2条―,損失補償 CB第18章 国家賠償法1条に基づく賠償責任 ―国家賠償法1条の責任の性質,基本的概念,違法と過失の関係等について,扱う。 CB第19章 国家賠償法2条に基づく賠償責任 ―国家賠償法2条の責任の性質,基本的概念,物的性状瑕疵・供用関連瑕疵の意義等について扱う。 CB第20章 損失補償 ―憲法29条3項による損失補償の要否,個別法に基づく損失補償請求,損失補償と国家賠償の谷間の問題等を扱う。 〔到達目標〕国家賠償法1条 国家賠償法1条の責任の性質,基本的概念,違法と過失の関係等について,判例を通じて理解を深め,具体的事案に即して考察することができるようにする。 国家賠償法2条の責任の性質,基本的概念,物的性状瑕疵・供用関連瑕疵の意義等について,判例を通じて理解を深め,具体的事案に即して考察することができるようにする。 ○国家賠償請求訴訟を提起すべき場面の,具体例を説明することができる。 ○国家賠償法1条の責任の性質を,民法の不法行為規定と比較しながら,条文に則して説明することができる。 ○国家賠償法(1条・2条)が適用される場合と,民法の不法行為規定が適用される場合との振り分け基準を,条文に則して説明することができる。 ○国家賠償法1条にいう「国又は公共団体」,「公権力の行使」及び「公務員」の意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○国家賠償法1条にいう「職務を行うについて」の意義を,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○国家賠償法1条の違法の有無を裁判所がどのような点に着目して判断しているか(権限の不行使のほか,立法行為や裁判行為の場面を含む)について,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○国家賠償法1条の違法と過失の関係について,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○国家賠償法1条の違法と,取消訴訟における違法の異同を,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○国家賠償法1条の違法及び過失の有無を,具体的事案に即して考察することができる。 ○国家賠償法1条の責任が認められる場合に公務員個人責任が認められるかどうかを,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 [到達目標]の続きは,授業計画15に記載
  15. 第14回 続き [到達目標] 国家賠償法 ○国家賠償法3条(費用負担者の賠償責任)の意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○国又は公共団体(行政主体ないし行政体)による行政のみならず,私人による行政が存在することの具体例を理解している。 ○国家賠償法2条の責任の性質を,民法の不法行為規定と比較しながら,条文に則して説明することができる。 ○国家賠償法2条にいう「公の営造物」の意義を,具体例を挙げて説明することができる。 ○国家賠償法2条の瑕疵のうち,いわゆる物的性状瑕疵の有無を裁判所がどのような点に着目して判断しているかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○国家賠償法2条の瑕疵のうち,いわゆる供用関連瑕疵の有無を裁判所がどのような点に着目して判断しているかについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○国家賠償法2条の瑕疵の意義に関する道路と河川の間の違いについて,代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。 ○国家賠償法4条(民法の適用)及び5条(他の法律の適用)の意義を理解している。 ○国家賠償法6条(相互保証主義)の意義を理解している。 〔到達目標〕損失補償 憲法29条3項による損失補償の要否,個別法に基づく損失補償請求,損失補償と国家賠償の谷間の問題等について,判例を通じて理解を深め,具体的事案に即して考察することができるようにする。 ○憲法29条3項による損失補償の要否に関する代表的な最高裁判決を理解している。 ○憲法29条3項による補償内容に関する代表的な最高裁判決を理解している。 ○損失補償と国家賠償の谷間と称される問題の具体例を理解している。 ○個別法における補償規定のうち,憲法29条3項の趣旨の具体化とされるものがあることを理解している。 第15回 期末試験(原則対面で行う) 上記の授業の到達度を最後に確認するために,期末試験(試験時間2時間)を行う。 すなわち,現実の行政法分野での事例に関して,紛争の実態を的確に読み取り,必要な関係条文(法律・政省令・条例・告示・通達・ガイドライン・要綱等すべて含む。)を正確に理解した上で,紛争を解決するための訴訟等の選択,そこでの当事者の主張,裁判所の判断などについて,自ら考えることができているかを確認する。

教科書

『ケースブック行政法』をテキストとして用いる。

  • ケースブック行政法(第7版)

    著者: 野呂充ほか編

    出版社: 弘文堂,2022年

参考書

  • 行政法(第3版)

    著者: 高橋滋

    出版社: 弘文堂,2023年

  • 行政法(第6版)

    著者: 櫻井敬子=橋本博之

    出版社: 弘文堂,2019年

  • 行政判例百選Ⅰ・Ⅱ(第8版)

    著者: 斎藤誠=山本隆司編

    出版社: 有斐閣,2022年

© 2025 上智非公式シラバス. All rights reserved.