民法基礎 II*

専門職学位課程法学研究科

LWS10401

コース情報

担当教員: 永下 泰之

単位数: 3

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 火2, 木2

形式: 対面授業

レベル: 700

アクティブラーニング: あり

他学部履修: 不可

評価方法

授業参加

10%

定期試験

定期試験期間中

50%

中間試験

授業期間中

20%

小テスト等

10%

その他

復習として実施するTKCの基礎力確認テスト。 法科大学院の成績評価基本原則による。 小テストは月1回程度実施する。

10%

詳細情報

概要

本講義は,不法行為を除く債権法分野(399〜708条),すなわち,債権総則,契約総則,契約各則,事務管理,不当利得に関する条文・判例・学説等の基礎的知識の解説を行う。 この分野は、平成29年の民法改正による影響を大きく受けている分野であり,そのため,改正条文に関するカ解説に重点を置かざるを得ない内容となる。しかし,改正を受けていない分野でも重要な論点は多く存在するので,それらをも含めて解説を行う。 なお,債権・契約の総則部分は,抽象度が高く,具体的な契約類型を把握した後でないと理解が困難な部分も多いため,本講義では,原則として【契約各則】→【債権・契約総則】の順に進めていく。 また,債権法は,債権の成立・消滅のみならず,その「回収」が重要であることから,本講義では,折に触れて「回収」についても触れていく予定である。

目標

上記の講義で説明する知識(債権法の基礎知識)の理解を得ること,および,習得した知識を実際の問題に適用するスキルの習得を到達目標とする。

授業外の学習

講義前には,レジュメ(TKCにアップロード)に目を通し,条文を確認するとともに,指定教科書の該当箇所で基本事項を確認すること。講義後は,指定教科書の該当箇所を再読するほか,参考文献を読むなどして,知識の定着を図ること。 予習・復習時間とも毎週授業時間と同等の時間が必要となる。 なお,復習として,TKCの基礎力確認テストを実施する。これは,成績評価の対象となることから,受け忘れのないよう注意されたい。

所要時間: 予習・復習には,190分以上の学習時間を要する

スケジュール

  1. 契約法入門 〔授業内容〕 契約の種類(双務契約・片務契約,有償契約・無償契約,諾成契約・要物契約など),契約の拘束力,契約自由の原則とその例外,契約締結上の過失,契約の成立時期,約款による契約の成立,事情変更の原則の要件・効果について取り上げ解説する。 〔到達目標〕 〇契約の種類,契約自由の原則,契約締結上の過失,契約の成立時期,約款による契約の成立,事情変更の原則の要件・効果を説明することができる。
  2. 売買1 〔授業内容〕 まず,手付をめぐる法律関係,および売買の予約について扱う。ついで,売買契約において売主・買主がそれぞれどのような義務を負うかを確認する。さらに,売主の担保責任のうち,他人の権利の売主の責任を取り上げ,現行法における処理および改正法における考え方について解説する。 〔到達目標〕 ○諾成契約の原則とその例外(要式契約,要物契約等)について,説明することができる。 ○売買とはどのような契約であり,どのような要件が備われば成立するかを説明すること ができる。 ○売買契約における手付とはどのような概念であり,どのような意義・機能を有するもの であるかを説明することができる。 ○売買の予約とはどのような概念であり,どのような場合に用いられるかを,具体例を挙 げて説明することができる。 ○売買契約の諸規定が有償契約に準用されるということの意味を理解している。 ○売買の目的の全部が他人に属していた場合に,売主はどのような義務ないし責任を負い,また買主はどのような要件の下でどのような権利を有するかを,具体例に即して説明することができる。
  3. 売買2 〔授業内容〕 権利の一部が他人に属する場合,数量の不足または物の一部の滅失の場合,占有を目的とする権利によって目的物の利用が制限されている場合,目的不動産に抵当権または先取特権が設定されている場合における売主の責任を解説する。ついで,売買の目的物に瑕疵がある場合における,売主の瑕疵担保責任を取り上げ解説する。その後,改正法における契約不適合という考え方について取り上げる。 〔到達目標〕 ○売買の目的の一部が他人に属していた場合に,売主はどのような義務ないし責任を負い,また買主はどのような要件の下でどのような権利を有するかを,具体例に即して説明することができる。 ○目的物の数量が不足していた場合,あるいはその一部が契約締結時において滅失してい た場合に,買主はどのような要件の下でどのような権利を有するかを,具体例に即して説明することができる。 ○売買の目的物の利用が他人の利用権等によって制限される場合,売買の目的物の利用の ために必要な権利が存在していなかった場合に,それぞれ,買主はどのような要件の下でどのような権利を有するかを,具体例に即して説明することができる。 ○売買の目的物に瑕疵がある場合に,買主はどのような要件の下でどのような権利を有するかを,具体例に即して説明することができる。 ○改正法における契約不適合責任という考え方,その要件と効果について,具体例に即して説明することができる。
  4. 同時履行の抗弁権・危険負担 〔授業内容〕 同時履行の抗弁権について取り上げたのち,危険負担の問題を解説する。危険負担については,改正法では現行法から考え方が大きく転換されたので,この点の理解に力点を置いて解説する。 〔到達目標〕 ○契約にはどのような種類のものがあるか(双務契約と片務契約,有償契約と無償契約等の意味)について,具体例を挙げて説明することができる。 ○契約上の給付が不能である場合の法律関係について,不能がどの時点で生じたのかに留意しつつ,全体の概要を説明することができる。 ○双務契約において同時履行の抗弁権がどのような場合に認められるか,また,同時履行の抗弁権が認められる場合の効果は何かについて,説明することができる。 ○賃貸借契約の締結に際して交付された敷金とはどのようなものであるか,また,その返還に関する権利義務関係がどうなるかについて,説明することができる。 ○双務契約において危険負担がどのような場合に問題となり,その場合に契約上の債権債務がどうなるかについて,具体例を挙げて説明することができる。 ○危険負担の代償請求権はどのような場合に問題となるかについて,具体例を挙げて説明することができる。
  5. 契約の解除 〔授業内容〕 契約の解除について解説する。解除の要件に次いで解除の効果を取り上げる。解除についても改正法では考え方が大きく転換されたので,この点の理解に力点を置いて解説する。 〔到達目標〕 ○解除が何を目的とした制度であるかについて,説明することができる。 ○解除にはどのような種類のものがあるかについて,説明することができる。 ○解除が認められるための要件について説明することができる。 ○解除権が行使された場合の当事者間での効果について,説明することができる。 ○解除権の行使が第三者との関係でどのような意味を持つかについて,説明することがで きる。
  6. 贈与,使用貸借,消費貸借,賃貸借1 〔授業内容〕 まず贈与契約について取り上げる。ついで使用貸借,消費貸借を解説する。さらに,賃貸借の概要,賃貸借の成立・効力・終了を取り上げる。 〔到達目標〕 ○贈与とはどのような契約であり,どのような要件が備われば成立するか,どのような場合に契約を解除することができるかを説明することができる。 ○贈与契約に基づいて贈与者がどのような義務ないし責任を負うかを説明することができる。 ○使用貸借とはどのような契約であるかについて,賃貸借との違いに留意しながら,説明することができる。 ○消費貸借とはどのような契約であり,どのような要件が備われば成立するか(消費貸借の予約や準消費貸借を含む)について説明することができる。 ○利息制限法の制限を超える利息を約した消費貸借契約の効力について,具体例に即して説明することができる。 ○賃貸借とはどのような契約であり,賃貸人と賃借人の間でどのような権利義務(賃貸人の修繕義務・費用償還義務等を含む)が生じるかを,説明することができる。 ○賃貸借の終了に関する民法の規律及び判例・学説の基本的な考え方について,説明することができる。 ○借地借家法における存続期間・更新に関する規律(定期借地権・定期建物賃貸借を含む)の概要について,条文を参照しながら説明することができる。
  7. 賃貸借2 〔授業内容〕 賃貸目的物の所有権の移転と賃借権の帰すう,不動産賃借権の譲渡と賃貸人の地位の移転,賃借権侵害を取り上げ解説する。 〔到達目標〕 ○賃貸借の目的物が第三者に譲渡された場合の法律関係について,説明することができる。 ○借地借家法における借地権及び建物賃借権の対抗力に関する規律の趣旨及び概要について,説明することができる。 ○賃借権が第三者によって侵害された場合に,賃借人にどのような救済が認められるかについて,説明することができる。
  8. 賃貸借3 〔授業内容〕 賃借権の譲渡・賃借物の転貸,敷金の問題を取り上げ解説する。 〔到達目標〕 ○賃借権の譲渡や賃貸物の転貸がなされた場合の法律関係について,説明することができる。 ○借地借家法における重要な規律(裁判所による土地の賃借権の譲渡・転貸の許可,建物買取請求権,賃料増減額請求権等)について,条文を参照しながら,説明することができる。 ○賃貸借契約の締結に際して交付された敷金とはどのようなものであるか,また,その返還に関する権利義務関係がどうなるかについて,説明することができる。
  9. 請負 〔授業内容〕 請負について,工事完成前の目的物の滅失・損傷と危険負担(改正法については,請負人が仕事を完成することができなくなった場合の法律関係),工事の完成と所有権の帰属,工事完成後の目的物の滅失・損傷と危険負担,契約不適合責任を取り上げ解説する。 〔到達目標〕 ○雇用,請負,委任(準委任を含む),寄託とはそれぞれどのような内容の契約であるかについて,相互の契約類型の違いに留意しながら,具体例をあげて説明することができる。 ○請負人がどのような義務ないし責任を負うかについて,売買における売主の場合と対比して,説明することができる。 ○建物建築請負契約において,完成した建物の所有権の帰属に関する判例の考え方とこれに関する学説の主要な見解について,具体的な効果の相違に留意しながら説明することができる。 ○請負において仕事の目的物が滅失・損傷した場合における法律関係について,説明することができる。 ○請負人の契約不適合責任について,具体例に即して説明することができる。
  10. 中間試験 〔到達目標〕 債権各論分野に関する判例・学説の状況を理解し,それらの知識を具体的事案に適用することができる。 債権の意義,債権の目的 〔授業内容〕 特定物債権及び種類債権の意義を確認したうえで,種類債権の特定の意義,特定が生ずる要件及び効果などについて解説する。 〔到達目標〕 ○特定物債権及び種類債権の意義を説明し,それぞれ具体例を挙げることができる。 ○種類債権の特定とはどのような制度であり,特定が生ずる要件及び効果はどのようなものであるかについて具体例を挙げて説明することができる。 ○金銭債権における元本債権と利息債権の違いについて,利息債権がどのような場合に発生するかを含めて説明することができる。
  11. 債権の効力 〔授業内容〕 債権にはどのような効力・機能が認められているかを確認したのちに,債権の履行の強制について取り上げ解説する。 〔到達目標〕 ○債権にはどのような権能が認められるかについて,その概要を説明することができる。 ○債権の履行強制の意義と限界及び債権の履行強制の方法について,具体例を挙げて説明することができる。
  12. 債務不履行に基づく損害賠償の請求 〔授業内容〕 債務不履行のさまざまな類型を確認したのちに,債務不履行に基づく損害賠償の問題を取り上げ解説する。 〔到達目標〕 ○債務不履行のさまざまな類型を,それぞれの類型に結びつけられた効果と合わせて説明することができる。 ○債務不履行に基づく損害賠償の要件及び効果について,債務不履行の類型の相違に留意しつつ,それぞれ具体例を挙げて説明することができる。 ○債務不履行に基づく損害賠償請求と不法行為に基づく損害賠償請求の関係(安全配慮義務の位置づけを含む)について,説明することができる。 ○金銭債務の不履行を理由とする損害賠償に関する特則について,説明することができる。 ○損害賠償の予定及び違約金に関する合意はどのような範囲で効力を有するかを説明することができる。
  13. 責任財産の保全1 〔授業内容〕 責任財産の意義,債権者代位権の要件及び効果を確認したうえで,債権者代位権の対象となる権利,債権者代位権の転用について設例及び具体的事例を通して検討する。 〔到達目標〕 ○責任財産とは何か,その保全がなぜ必要になるのかについて,債権者平等の原則との関連にも留意しながら説明することができる。 ○債権者代位権とはどのような制度であり,その要件及び効果はどのようなものかについて,説明することができる。 ○債権者代位権の「転用」とはどのようなものであって,どのような場合に認められるべきであるかについて,いくつかの典型事例を挙げて説明することができる。
  14. 責任財産の保全2 〔授業内容〕 詐害行為取消権について,詐害行為取消権の要件,債権者取消権の行使方法と範囲,詐害行為取消権の行使の効果,債権者取消権の取消の対象となる行為について説明する。なお,詐害行為取消権は改正法により,新設・修正が多いところであることから,改正前法と比較しながら進めていく。 〔到達目標〕 ○詐害行為取消権とはどのような制度であるのかについて,詐害行為取消権の法的性質をめぐる議論の概要を含めて説明することができる。 ○詐害行為取消権の要件(詐害行為と詐害意思)について,いくつかの具体例を挙げて説明することができる。 ○詐害行為取消権は誰を相手として行使すべきであり,その相手方に対する詐害行為取消権行使の効果が誰にどのような影響を及ぼすかを,具体例を挙げて説明することができる。
  15. 債権の消滅1 〔授業内容〕 債務の弁済に関し,誰が弁済すべきか(弁済者),また,誰に対して弁済すべきか(弁済受領者)の問題を取り扱う。弁済受領者の問題については,特に詐称代理人に対する弁済の問題に焦点をおいて,実務における当事者の争い方にも注意しながら検討する。ついで,民法478条の適用範囲の拡大の問題を取り扱う。ここでは,預金担保貸付における相殺と478条の類推適用,生命保険契約上の契約者貸付と478条の類推適用の問題が検討の中心になる。 〔到達目標〕 ○債務者以外に債務の弁済をなすことができるのはどのような者であるかを,具体例を挙げて説明することができる。 ○第三者が債務を弁済した場合に,事後の法律関係(求償権の発生の有無,求償権の範囲等)がどうなるかを,具体例に即して説明することができる。 ○弁済による代位とはどのような制度であり,どのような場合に弁済による代位が認められるかを,具体例を挙げて説明することができる。 ○弁済による代位によって,代位者がどのような権利を行使することができるかを,求償債権と原債権の関係に留意しながら,具体例に即して説明することができる。 ○法定代位をなしうる者が複数存在する場合に,その相互関係がどうなるかを,条文を参照しながら,具体例に即して説明することができる。 ○弁済を受領する権限を有しない者に対して弁済がなされた場合にどのような法律関係が生ずるかを,具体例を挙げて説明することができる。 ○弁済の充当とはどのような制度であるか,また,どのような順序で行われるかについて,条文を参照しながら説明することができる。
  16. 債権の消滅2 〔授業内容〕 弁済の提供の方法および効果を確認したうえで,弁済提供の制度と関連づけながら,受領遅滞の要件および効果を確認する。ついで,代物弁済を取り上げ,さらに,相殺をめぐる法律関係を,相殺の要件,機能の問題に重点をおいて検討する。 〔到達目標〕 ○弁済の提供とはどのような制度であり,弁済の提供があった場合にどのような効果が生ずるか,また,どのような行為をすれば弁済の提供があったといえるかを説明することができる。 ○受領遅滞とはどのような制度であり,その要件及び効果はどのようなものかについて,弁済の提供の制度と関連づけながら説明することができる。 ○供託とはどのような制度であり,供託によってどのような効果が生ずるかを説明することができる。 ○代物弁済とはどのような制度であり,その効果が生ずるためにはどのような要件を備えている必要があるかを,具体例を挙げて説明することができる。 ○相殺とはどのような制度であり,どのような機能を果たしているかを,具体例を挙げて説明することができる。 ○民法で規定される相殺が認められるためにはどのような要件が備わっている必要があるかを,具体例に即して説明することができる。 ○差し押さえられた債権を受働債権として相殺をすることができるか,できるとすればその要件は何かについて,判例・学説の考え方と問題点の概要を,具体例に即して説明することができる。
  17. 多数当事者の債権関係1 〔授業内容〕 分割債権・分割債務関係,不可分債権・不可分債務関係,連帯債務関係(不真正連帯債務関係を含む)のそれぞれについて,対外的効力(対外関係),当事者の1人について生じた事由の他の者に対する効力(影響関係),内部関係(求償関係)という3つの場面における法律関係を整理・確認しつつ解説する。 〔到達目標〕 ○債権者が複数の場合及び債務者が複数の場合について,それぞれ,民法の規律の概要(分割債権・分割債務の概念,不可分債権・不可分債務の概念,分割債権・分割債務の原則性)を説明することができる。 ○連帯債務(いわゆる不真正連帯債務を含む)とはどのようなものであり,どのような場合に認められるのかについて,説明することができる。 ○連帯債務者の1人について生じた事由(請求,弁済,更改,相殺,免除,混同,消滅時効等)が他の債務者にどのような影響を及ぼすかについて,条文を参照しながら,説明することができる。 ○連帯債務者間の求償権がどのような場合に生じるか,及び,その行使の手続等について,条文を参照しながら説明することができる。
  18. 債権譲渡1 〔授業内容〕 債権譲渡について,譲渡可能性(将来発生すべき債権・集合債権譲渡の可能性を含む)を確認したうえで,譲渡禁止特約が付いている場合の法律関係について説明し,さらに,(改正前の)異議をとどめない承諾の趣旨および効果について解説する。 〔到達目標〕 ○債権の譲渡とはどのような制度であり,どのような場合に債権譲渡が行われるかを説明することができる。 ○債権の譲渡可能性(将来発生すべき債権の譲渡可能性・包括的な債権譲渡の可能性を含む)と譲渡禁止特約の効力について,説明することができる。 ○債務者が,債権の譲受人に対してどのような場合にどのような事由を主張することができるかについて,異議をとどめない承諾の制度趣旨を含めて,具体例を挙げて説明することができる。
  19. 債権譲渡2 〔授業内容〕 債権の二重譲渡があった場合の法律関係について解説する。ついで,債務引受の概要を解説する。 〔到達目標〕 ○債権譲渡の対抗要件の構造・仕組み(動産債権譲渡特例法上の対抗要件を含めて,民法上及び特例法上の対抗要件の競合や対抗要件の同時具備の場合に生ずる問題等を含む)について,説明することができる。 ○債務引受とはどのようなものであり,どのような類型があるか,また,それらがどのような場合に認められるのかについて,説明することができる。
  20. 多数当事者の債権関係2 〔授業内容〕 保証債務について,とくに,その内容と範囲の問題をまず解説し,さらに,保証人が債権者に対して主張することができる抗弁,主たる債務者または保証人に生じた事由がそれぞれ他方に及ぼす影響について取り上げる。 〔到達目標〕 ○保証とはどのようなものであり,どのような場合に保証債務が発生するかを説明することができる。 ○保証債務の附従性及び随伴性とはどのような性質を指すのかを,その具体的効果を含めて,説明することができる。 ○保証人の求償権がどのような場合に生じるか,及びその行使の手続等について,条文を参照しながら説明することができる。 ○連帯保証と単純保証の違いを説明することができる。
  21. 事務管理,不当利得 〔授業内容〕 事務管理および不当利得について取り上げ解説する。 〔到達目標〕 ○事務管理とはどのような制度であり,どのような要件が備われば事務管理の成立が認められるかを,説明することができる。 ○事務管理の成立が認められる場合に,事務管理者と本人の間でどのような権利義務関係が生ずるかを,条文を参照して,委任との異同に留意しながら説明することができる。 ○不当利得がどのような制度であり,具体的にどのような場合に問題となるかについて,不当利得についての考え方の対立に留意しながら,具体例を挙げて説明することができる。 ○不当利得債務者はどのような要件の下で,またどのような範囲で利得の返還義務を負うかを,具体例に即して説明することができる。 ○不法原因に基づく給付の返還請求が認められないという原則とその例外について,民法90条との関係に留意しながら,具体例を挙げて説明することができる。 ○いわゆる転用物訴権とはどのような制度であり,どのような場合に認められるかについて,考え方の対立と基本的な問題点を理解している。
  22. 期末試験(50点分)の実施 (到達目標) 本講義で説明する知識(債権総則・契約総則・契約各則・事務管理・不当利得)の基礎知識)の理解を得ることと,その知識の記憶および応用ができることを到達目標とする。

教科書

下記のテキストを指定教科書とする。 中田裕康のテキストは初学者にとっては高度であるかもしれないが,長く使用できるため指定教科書とする。

  • 債権総論〔第4版〕

    著者: 中田裕康

    出版社: 岩波書店・2020年

  • 基本講義 債権各論Ⅰ 契約法・事務管理・不当利得〔第4版〕

    著者: 潮見佳男

    出版社: 有斐閣・2022年

  • 民法判例百選Ⅱ〔第9版〕

    著者: 窪田充見・森田宏樹

    出版社: 有斐閣・2023年

参考書

参考書の中田『契約法』は,潮見『債権各論Ⅰ』と範囲が重複するため,テキストとしては指定しないが,債権法改正に対応した最新のものであるため,手元にあると有用である。

  • 契約法 新版

    著者: 中田裕康

    出版社: 有斐閣・2021年

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