行政法基礎

専門職学位課程法学研究科

LWS10200

コース情報

担当教員: 大橋 真由美

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 火2

形式: 対面授業

レベル: 700

アクティブラーニング: なし

他学部履修: 不可

評価方法

リアクションペーパー

10%

定期試験

定期試験期間中

70%

小テスト等

20%

その他

法科大学院成績評価原則による。平常点評価(30%)の内訳は,リアクションペーパー(10%)と2回の小テスト(20%)である。授業の出席状況のうち,正当な理由のない欠席については,平常点評価からの減点対象とする。

30%

詳細情報

概要

本講義の狙いは,法学初修者を対象として,行政法総論・行政救済法(及び必要に応じて行政組織法)に関わる各種議論のうち,基幹科目の履修の前提となる基礎的な事柄を学ぶことである。テキストや関連判例の予習を前提に,講義形式で進めるが,具体的な紛争事例などについては,時間の許す限り,双方向的な形式も試みたいと考えている。時間数の関係から,やむをえず授業内で取り上げることができない事項や問題については,ポイントを指摘したうえで自習に委ねることとする。 ※本講義については「2年次」での受講を強く推奨する。 ※授業スケジュールについては,授業の進度に応じて調整を行うことがある。

目標

行政法総論および行政救済法(それから,必要に応じて行政組織法)に関する基礎知識の習得ならびにそれらの基礎的応用力の習得を到達目標とする。

授業外の学習

事前に教科書の指定された部分を読み,関連判例に目を通してから授業に参加するようにしてほしい。また,時間との関係でやむを得ず授業で取り上げることのできない部分については,受講者の自習に委ねる。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. 行政法導入論 導入として,行政法の体系,行政法の法源,法律による行政の原理について取り上げる。 【到達目標】行政法の体系の全体像,行政法における各種法源,行政法分野における最重要原理である法律による行政の原理に関わる論点に関する基本的理解の獲得をめざす。
  2. 行政基準 行政により策定されるルール全般について,特に訴訟的救済との関係を視野に入れつつ取り上げる。 【到達目標】行政基準(法規命令,行政規則)に関わる論点に関する基本的理解の獲得を目指す。
  3. 行政行為 行政行為論について,行政行為の効果や行政行為の瑕疵を中心に取り上げる。 【到達目標】行政行為概念に関する基本的理解を深めたうえで,行政行為の効果や行政行為の瑕疵について理解する。
  4. 行政裁量 行政裁量について,特に訴訟的救済との関係を視野に入れつつ取り上げる。 【到達目標】裁量のあり方について様々な観点(専門技術的裁量,政治的裁量等々)を理解し,基本的な論点について理解する。
  5. 行政手続 行政手続の意義について確認したうえで,行政救済法分野との関係で重要な論点を中心に取り上げる。 【到達目標】行政手続法理に関し,特に理由附記および審査基準など,行政救済法分野から見て重要なポイントに関する基本的理解を得る。
  6. 行政の実効性確保 行政の実効性確保をめぐる各種法制度について,特に行政代執行を中心に取り上げる。 【到達目標】行政代執行を中心に,行政の実効性確保をめぐる基本的論点について理解を得る。
  7. 行政救済法の全体像,行政訴訟の種類,取消訴訟の訴訟要件概論 行政救済法ならびに行政訴訟の全体的な構造を踏まえたうえで,抗告訴訟の中心的位置づけを占める取消訴訟の訴訟要件について概観する。 【到達目標】行政訴訟の全体像を鳥瞰したうえで,取消訴訟の訴訟要件について概観的な理解を得る。
  8. 処分性 取消訴訟の訴訟要件の一つである処分性に関する導入的議論を紹介する。 【到達目標】取消訴訟の訴訟要件の一つである処分性について,近年の主要な最高裁判例を取り上げつつ,重要なポイントについての理解を得る。
  9. 原告適格 取消訴訟の訴訟要件の一つである原告適格をめぐる議論を,代表的な判例を踏まえつつ概観する。 【到達目標】原告適格をめぐる議論につき基本的な理解を得る。
  10. (狭義の)訴えの利益・取消訴訟における仮の救済 取消訴訟の訴訟要件の一つである(狭義の)訴えの利益をめぐる議論を,代表的な判例を踏まえつつ,概観する。 【到達目標】(狭義の)訴えの利益ならびに取消訴訟における仮の救済について基本的な理解を得る。
  11. 義務付け訴訟,差止訴訟,仮の義務付け・仮の差止め 取消訴訟以外の抗告訴訟の類型である義務付け訴訟・差止訴訟について,代表的な判例を踏まえつつ概観する。そのうえで,義務付け訴訟・差止め訴訟それぞれに関する仮の救済の仕組みも取り上げる。 【到達目標】義務付け訴訟および差止訴訟,それぞれの類型に対する仮の救済の仕組みについて基本的な理解を得る。
  12. その他の行政訴訟(当事者訴訟),民事訴訟と行政訴訟の関係 抗告訴訟以外の行政訴訟として,当事者訴訟に関する議論を,特に平成16年改正行政事件訴訟法との関係で紹介する。また,民事訴訟と行政訴訟の関係についても言及する。 【到達目標】当事者訴訟に関する基本的理解を得る。また,民事訴訟と行政訴訟の関係についても基本的な理解を獲得する。
  13. 国家賠償法 行政活動に対する金銭的賠償の仕組みとして,国家賠償制度を,特に国家賠償法1条に基づく責任をめぐる議論を中心に紹介する。 【到達目標】国家賠償法1条に基づく責任に関する議論を中心に基本的な理解を得る。
  14. まとめ 【到達目標】それまでの講義内容において取り上げられた重要な論点に関して改めて確認し,知識の定着を図る。
  15. 期末試験の実施 【到達目標】行政法全般の基本的な知識を習得し,より高度な行政法学習に向けた土台作りができたか否かを,筆記試験(論述式)により確認する。

教科書

下記の教科書を用意してほしい。もっとも,すでに別の行政法の基本書(教科書)を持っている場合には,そちらを使っていただいても良い。

  • 行政法(第6版)

    著者: 櫻井敬子・橋本博之

    出版社: 弘文堂,2019年

  • 行政判例百選Ⅰ・Ⅱ(第8版)

    出版社: 有斐閣,2022年

参考書

書籍情報はありません。

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