基礎演習B(民法)
法学部
LAW75500
コース情報
担当教員: 羽生 香織
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 火1
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 不可
評価方法
授業参加
レポート
定期試験
定期試験期間中
その他
【レポート】 レポートが未提出の場合は全体をゼロとし,不合格とする。提出締切後に提出されたレポートおよび課題と全く異なる内容や数行しか記載がないレポートは未提出と評価する。 レポートは以下の各項目を評価要素とする。 ・課題を適切に理解しているか。 ・論述内容は,自分自身の考えが示されており,課題に照らして適切か。 ・記述内容は論理的で説得力があるか。 ・法令,判例,資料等を適切に参照しているか。 ・文章作法は適切で誤字脱字はないか。 ・文章は読みやすく,表現は適切か。 ・分量は,1200字以上1400字までとする。 【レポート提出時の注意事項】 ・Word形式で提出すること。 ・ファイル名を「基礎演習B(民法)・学籍番号・氏名」と記載すること。 ・Word文章にも学籍番号・氏名を記載すること。 ・Moodleで課題提出に使用できるファイルはWord形式 (doc, docx)のみです。別形式で提出した場合,教員は閲覧できず,従って採点できない可能性があります。 ・Moodleで提出し,教員が受理した時点で提出したものとして扱う。教員が受理していない場合には,学生が以下に記載する[教員が指定する方法]で提出したことを証明した場合に限り,正当に提出がなされたものとして扱う。⇒[教員が指定する方法]Moodleの場合,提出を完了すると「提出ステータス」に表示されるので,そのスクリーンショットあるいは写真を保存しておくこと。
詳細情報
概要
本授業は法曹コース生用の演習科目である。 本授業では,一般的に「家族法」と呼ばれている民法第4編「親族」および第5編「相続」に関する条文,制度,学説・判例の展開について学ぶ。具体的には,夫婦・親子といった親族関係とその身分に基づく権利・義務について,自然人の死亡を原因とする財産の承継方法について学ぶ。 家族の多様化に伴い,同性婚,夫婦別姓,人工生殖,親子の面会交流,児童虐待など,現代の家族には新たなかつ深刻な問題が提起されている。最近の学説・裁判例の動向および家族法改正の動向も踏まえ,今後の家族法のあり方についても検討したい。
目標
家族法に関する基礎的知識を修得するとともに,家族に関する諸問題を法的観点から考察するための法的思考力を修得することを目標とする。そして,実際の事案について,望ましい解決方法を考える姿勢を身につけることができるようにする。 講義への理解を深めるには,教科書・参考書・判例集を事前に予習すること,また,復習においては,講義の内容だけでなく,講義で指示された参考文献・資料を学修することが重要である。なお,家族法を理解するためには,民法総則・物権法・債権法で修得した知識が必要であることを付言しておく。
授業外の学習
授業を理解するために,教科書をよく読むこと。授業で扱った判例を判例百選や判例プラクティス民法等で参照すること。
所要時間: 授業1回あたり190分以上
スケジュール
- 婚姻 〔授業内容〕 婚姻の基本的知識について説明する。具体的には,婚姻の成立要件,成立要件に違反する婚姻の無効・取消しについて説明する。続いて,婚姻の効果としての権利義務について,夫婦の氏,婚姻費用,日常家事の連帯責任を中心に説明する。 〔到達目標〕 ○婚姻の成立要件(実質的要件・形式的要件)について理解する。 ○婚姻意思の内容について,学説・判例を理解する。 ○夫婦財産の帰属について,その概要および問題点を理解する。
- 離婚 〔授業内容〕 婚姻の解消である離婚について,離婚の方式,離婚の効果について,具体的な離婚紛争を示しながら説明する。 〔到達目標〕 ○離婚の方式について理解する。 ○有責配偶者からの離婚請求に関する学説・判例について理解する。 ○離婚後の財産関係および離婚後の親子について理解する。
- 実親子関係 〔授業内容〕 実親子関係(嫡出子,嫡出でない子)の基本的枠組みについて説明する。具体的には,嫡出推定制度・認知制度の意義および諸問題を中心に説明する。 〔到達目標〕 ○嫡出推定・嫡出否認制度の意義について理解する。 ○「推定の及ばない子」に関する学説・判例について理解する。 ○父子関係の否認に関する法制度(嫡出否認,認知無効,親子関係不存在確認)について理解する。
- 養親子関係 〔授業内容〕 養子制度の意義,養親子関係の成立・解消について,普通養子と特別養子を比較しながら説明する。 〔到達目標〕 ○養子制度の意義について理解する。 ○普通養子縁組について,未成年者に関する特則を踏まえて,理解する。 ○特別養子縁組について,普通養子縁組との比較の視点から理解する。
- 親権 〔授業内容〕 親権の対象となる者,親権を行使する者,親権の内容,親権の制限について説明する。 〔到達目標〕 ○身上監護の内容について理解する。 ○財産管理・代理の内容について,利益相反行為を中心に理解する。 ○児童虐待の観点から,親権の制限について理解する。
- 後見,扶養,婚姻外のカップル 〔授業内容〕 未成年後見および成年後見について説明する。次に,扶養,続いて,婚姻届を欠くカップルについて説明する。 〔到達目標〕 ○後見制度について理解する。 ○扶養制度について理解する。 ○婚姻届を欠くカップルについて,どのような保護の方法があるかを理解する。
- 相続法総論,相続人 〔授業内容〕 相続制度を概観し,相続法の基本的仕組みについて説明する。続いて,相続人の確定について説明する。 〔到達目標〕 ○相続法の意義・歴史,相続法の基本的仕組みについて理解する。 ○被相続人の死亡により,誰が相続人となるのかについて理解する。 ○代襲相続について理解する。 ○欠格・廃除について理解する。 ○相続の承認・放棄について理解する。
- 相続分 〔授業内容〕 各相続人が有する相続分相続分について,法定相続分・指定相続分・具体的相続分を中心に説明する。 〔到達目標〕 ○法定相続分・指定相続分について理解する。 ○具体的相続分の意義・内容について理解する。
- 相続財産 〔授業内容〕 相続の対象となる財産について説明する。 〔到達目標〕 ○被相続人の遺した財産のうち,何が相続の対象となるかについて理解する。
- 遺産共有 〔授業内容〕 相続開始後,相続財産は各共同相続人の相続分に応じた遺産共有状態におかれ,遺産分割により各共同相続人に帰属するプロセスについて理解する。 〔到達目標〕 ○遺産共有の法的性質について理解する。
- 遺産分割 〔授業内容〕 遺産分割により各共同相続人に帰属するプロセスについて理解する。 〔到達目標〕 ○遺産分割の対象となる財産について理解する。 ○遺産分割の方法について理解する。
- 遺言(1) 〔授業内容〕 遺言制度の意義について説明する。続いて,遺言の方式,遺言の撤回,遺言の執行について説明する。 〔到達目標〕 ○遺言制度の意義について理解する。 ○遺言の方式および問題点について理解する。 ○遺言の執行および問題点について理解する。
- 遺言(2) 〔授業内容〕 遺言の効力について,遺言の重要論点である遺贈および特定財産承継遺言を中心に説明する。 〔到達目標〕 ○遺言の効力について,改正法の内容を中心に理解する。 ○遺贈の意義・種類について理解する。 ○特定財産承継遺言に関する学説・判例・改正法について理解する。
- 遺留分 〔授業内容〕 法改正後の遺留分制度について基本的な仕組みを説明する。 〔到達目標〕 ○遺留分制度の意義について理解する。 ○遺留分侵害額請求の構造について理解する。 ○遺留分侵害額請求権の相手方の利益の保護について理解する。
教科書
最新の六法を準備すること。 テキストは1(学部生・初学者向け),2(法科生向け)の内容となっています。いずれかをご準備ください。
ストゥディア民法7家族法
著者: 金子敬明=幡野弘樹=羽生香織
出版社: 有斐閣・2023
リーガルクエスト民法6親族・相続 第7版
著者: 前田陽一=本山敦=浦野由紀子
出版社: 有斐閣・2024
参考書
民法判例百選Ⅲ 親族・相続[第3版]
著者: 水野紀子ほか編
出版社: 2023
判例プラクティス民法Ⅲ 親族・相続[第2版]
著者: 松本恒雄ほか編
出版社: 信山社・2020