刑事司法概論

法学部

LAW67910

コース情報

担当教員: 岩下 雅充

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 火3

形式: 対面授業

レベル: 200

アクティブラーニング: なし

他学部履修:

評価方法

レポート

30%

定期試験

定期試験期間中

70%

その他

《 補足の説明 》 【 「レポート」について 】 この評価要素の全部または一部については,レポート課題による評価に代えて別の方法による評価をおこなうことに変更するという可能性がある。変更の場合には,第1回の授業に先だって Loyola の掲示版をつうじて変更の概要が告知されるのとともに,その詳細について授業で説明がなされる。

0%

詳細情報

概要

この講義においては,刑事司法に関する基本のことがらを概観したうえで,主として日本の刑事司法に関する各種のテーマをとり上げて,刑事司法が現代社会においてどのようにあるべきなのかという問題意識のもとに,さまざまな角度から具体的に解説・検討する。 刑事司法とは,おもに刑事事件(犯罪に対して国家が有する刑罰権の存否について争われる事件)の処理・解決のために設けられている制度を指す語であって,犯罪捜査から公訴・刑事公判に向かう刑事事件のフローにとどまらずに,刑事事件の手続をになう各種の組織や手続の運用にも,私たちの目が向けられなければならない。もっとも,現代社会における刑事司法のありようやあるべき姿に関心をおくのであれば,処罰の有無について決着させる刑事事件の過程をながめるだけで事足りるわけでなくて,学びの対象は,刑罰の執行も含めてひろく刑事手続の全体におよぶべきであるのとともに,少年事件(少年非行を対象とする事件)の手続といった刑事手続に密接する制度にも拡張されなければならないはずである。 この講義においては,刑事司法として営まれる活動(裁判・検察・弁護・警察などの活動)の仕組みと実際を見渡すというのにとどまらずに,ときに,さまざまな社会問題に直面する現代の刑事司法にスポットをあてて,また,日本の刑事司法に対して指摘されてきた問題点の症状(現象)と病理(原因)にも切り込んで,現代社会における刑事司法のあり方を知ってもらう。 【履修にあたっての注意】 この講義においては,憲法および刑法のそれぞれに関する基本の知識を受講者が有しているという前提のもとで,それらの知識をあらためて提供せずに解説・検討がおこなわれる。よって,すでに「憲法(基本的人権)」および「刑法総論」を修得している(単位を取得している)のとともに,少なくとも「刑法各論」を履修して学んでいることは,授業の内容を十分に理解してレポートや定期試験に的確にとり組むために重要となる。

目標

この授業の目標は,第1に,刑事司法に関する基本の知識を確実に習得したうえで,数々の課題を抱える刑事司法の現状や日本の社会状況と刑事司法のシステムとの相関などについて理解して,刑事司法の意義とその機能さらにはそれらの限界を自分なりに説明できるようになるというところにある。また,第2に,とり上げた各種のテーマに関連する知識をもとに,刑事司法に対するもののとらえ方や議論の仕方を学ぶことによって,現代社会における刑事司法のあり方について自身の意見・態度が形成できるようになるというところにある。

授業外の学習

指定の教科書や配付の資料などを(そのつどの指示・予告にしたがって)事前に一覧しておくこと。

所要時間: 授業1回あたり190分以上

スケジュール

  1. 【 刑事司法の概観(1) 】 - 刑事司法の意義 / 刑事司法を支える人々 / 刑事事件の手続(1): 手続のながれとその実際(捜査)
  2. 【 刑事司法の概観(2) 】 - 刑事事件の手続(2): 手続のながれとその実際(公訴・公判) / 刑事事件の手続(3): 手続の目的
  3. 【 刑事司法の概観(3) 】 - 刑事司法のシステムにおけるさまざまな手続 : 多様性と相互の関連性 / 日本における犯罪の情勢と刑事司法
  4. 【 刑事司法における市民の参加(1) 】 - 刑事司法における市民の参加 : 概観 / 裁判員制度(1): 裁判員制度の概観
  5. 【 刑事司法における市民の参加(2) 】 - 裁判員制度(2): 裁判員裁判をめぐる課題
  6. 【 刑事事件の手続に関するさまざまな問題(1) 】 - 逮捕・勾留をめぐって / 被疑者の取調べをめぐって など
  7. 【 刑事事件の手続に関するさまざまな問題(2) 】 - 起訴・不起訴をめぐって / 証拠と証明をめぐって など
  8. 【 刑の宣告・執行と犯罪者の処遇(1) 】 - 刑の宣告・執行と犯罪者の処遇 : 概観 / 死刑・罰金刑の宣告・執行
  9. 【 刑の宣告・執行と犯罪者の処遇(2) 】 - 拘禁刑の宣告・執行と犯罪者の処遇 / 刑事事件の過程と犯罪者の処遇
  10. 【 刑事司法における個別の問題(1) 】 - 児童虐待と刑事司法
  11. 【 刑事司法における個別の問題(2) 】 - 医療事故と刑事司法 / 道路交通と刑事司法 / ストーカーと刑事司法 など
  12. 【 少年非行と刑事司法(1) 】 - 少年法の概要 / 少年事件の手続
  13. 【 少年非行と刑事司法(2) 】 - 少年非行の情勢 / 非行少年の処遇 / 少年法の制度・運用をめぐる課題 など
  14. 【 正しい刑事裁判の実現 】 - えん罪の事例と原因 / えん罪の防止に向けた対策

教科書

《 教科書に関する説明 》 以下の教科書をもれなく購入して使用すること。なお,これらのほかに参考となるものを第1回の授業で紹介する。

  • 『入門刑事法(第8版)』

    著者: 三井誠=瀬川晃=北川佳世子

    出版社: (有斐閣・2022年)

参考書

《 参考書に関する説明 》 参考となるものを第1回の授業で紹介する。

    © 2025 上智非公式シラバス. All rights reserved.