法律学特殊講義 I(立法過程の実務と理論)
法学部
LAW67400
コース情報
担当教員: 梶山 知唯
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 金6
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
リアクションペーパー
レポート
その他
試験は行わず,期末にレポート(3000~5000字)を課します。提出期限の1~2か月前に2つのテーマを伝えるので,いずれかを選んで,法制度設計にチャレンジして下さい(法制度設計の仕方については,途中の講義で説明します)。初回の講義でも概括的に説明しますので,気になる方は一度聞きに来てください。
詳細情報
概要
大学における法学教育は,実定法の解釈を中心としたものが多いと思います。 一方,本授業では,立法機関(衆議院法制局)において,長年にわたり立法実務に携わってきた経験を踏まえ,我が国の法律が実際にどのように制定されているかについて多角的に概説します。 まず,(1)立法過程(①政策が法律案として国会に提出されるまでのプロセス,②提出された法律案が国会で審議され成立に至るプロセス),(2)立法政策・法制度設計(政策を法制度として仕組むに当たって検討すべき事項及びその手順),(3)立法技術・法制執務(法令の構造,用字・用語等条文の作成に当たってのさまざまな約束事)等について総論的な説明を行います。 その上で,実際の立法例に即して,立法過程に関わるアクター,法制度設計における検討内容,特徴的な立法技術等を紹介します。 講義に当たっては,その時々の国会の動向や進行中の案件などについても可能な限り触れることとし,立法という営為がリアルかつアクティブなものと感じられるよう心掛けたいと考えています。 また,講義後はリアクションペーパーを通じて質問や感想を寄せていただきます。それを匿名化した上で,私からの回答を全員にフィードバックし,1回の講義が完結となります(講義のテーマに限らず,国会,政治その他の事象に関する素朴な疑問にも答えるものとして,毎年たくさんの質問や感想をいただいています。こうした取組への評価もあってか,昨年度は「学生が選ぶグッド・プラクティス」に選出もしていただきました)。
目標
立法機関である国会の活動に対する理解と関心を深めるとともに,法令の立案や解釈に当たって必要となる基礎的な技術と思考方法を身につけること。
授業外の学習
1日15分程度,政治(国会)や行政について報じるニュース(新聞,テレビ,インターネット等)に接するようにし,その際,①そこで報じられている当事者は政府なのか,与党議員なのか,野党議員なのか,②そこで報じられている政策課題の実行のために法律を制定したり,改正したりする必要があるのか,あるいは,そのようなことをしなくても実行できるのかということを分析してみてください。 講義資料のアップロード後は,予習として講義資料を一読し,リアクションペーパーを通じて質問したい点を考えて下さい(20分程度)。講義後にはリアクションペーパーに対するフィードバックを読み,そこで紹介する資料等に目を通してください(75分程度)。 その他は,各回の講義で紹介する題材を深堀りできるよう,講義の都度指示します。
所要時間: 200分
スケジュール
- 回:イントロダクション 講義の全体像の概括的説明。講義の進め方のほか,レポート,評価等についてもざっくばらんに話しますので,遅い時間の講義になりますが,少しでも興味のある方は一度聞きに来て下さい。
- 回:我が国の法体系の概観及び立法の推移
- 回:現代立法の動向と特徴
- 回:立法過程① 内閣提出法律案の立案過程
- 回:立法過程② 議員提出法律案の立案過程
- 回:立法過程③ 国会における審議過程(委員会・本会議・両院関係)
- 回:諸外国の議会と立法過程
- 回:法制度設計① 政策(おもい)を法律(かたち)にするためのポイント
- 回:法制度設計② 魂・型・体・技・響
- 回:立法技術(法律の構造,法令用語・表記のルール等) *授業計画15に記載の問題を解いて臨むこと
- 回:事例研究①(災害と法 被災者生活再建支援法の経緯)
- 回:事例研究②(生命倫理と法 臓器移植法の経緯)
- 回:事例研究③(訴訟による個別的救済から立法による一律救済へ)
- 回:まとめ(議会制民主政治の展望)
- 立法技術ドリル(授業外の学修課題) 第10回の授業の前提となる学修課題として,立法技術や法律の読解についてドリル形式で問題を出題する(第9回の授業の資料をアップロードする際に併せてアップロードする予定)
教科書
教科書は指定しない。 関連資料はその都度添付するので,適宜,受講の際に参照すること。
参考書
議員立法の実際―議員立法はどのように行われてきたか―
著者: 茅野千江子
出版社: 第一法規 2017年
条文の読み方 第2版
著者: 法制執務・法令用語研究会
出版社: 有斐閣 2021年
立法学講義〈補遺〉
著者: 大森政輔・鎌田薫 編
出版社: 商事法務 2011年